フレンチ・ブルドッグは病気にかかりやすい犬種です。意外にも暑さや寒さが苦手だったり、皮膚が弱かったりと、とても繊細な犬なので、皮膚トラブルや皮膚疾患が起きないような食事を心がけたり、日々の体調チェックをしたりすることは欠かせません。また、たまに頑固な子だと、病気の疑いがあっても獣医に触られるのを拒んで診察させてくれない場合があります。日頃から、スキンシップをはかり、身体に触られることへの抵抗をなくしておくといいでしょう。以下にフレンチ・ブルドッグがかかりやすい病気をまとめましたので参考にしてください。
熱中症
鼻が短く、口呼吸となるため、体温調節をすることが苦手です。そのため、夏場でなくても気温や運動後の体温上昇で熱中症や体調不良になってしまうことがあります。こまめな休憩と水分補給、冷感グッズなどで事前に対策をしましょう。
短頭種気道症候群
短頭種であるフレンチ・ブルドッグは、鼻から気管の入口である喉頭にかけての気道が狭く、鼻腔狭窄症や、喉の奥にある軟口蓋が空気の通り道を塞いでしまう軟口蓋過長症などの呼吸器疾患にかかりやすいと言えます。
子犬期から、いびきをかくことや、口を開けて荒い呼吸をすることが多い場合は、早めに獣医師に相談をするといいでしょう。肥満によって症状はひどくなるので、体重管理をすることが予防になります。また、呼吸器に負担をかけるような過度の運動はさせないようにしましょう。首輪も避けてハーネスなどの胴輪を使ってお散歩をしてあげるのがおすすめです。
アレルギー性皮膚炎
フレンチ・ブルドックは、肌が弱く、アレルギー性皮膚炎や膿皮症になりやすい犬種です。皮膚を清潔に保ってあげることが病気の予防になります。
食物アレルギーや、生活環境のハウスダスト、室内ダニなどが原因で、皮膚炎になるケースがよくあります。皮膚になにか当たって、その刺激から皮膚炎になる場合もあります。獣医師を受診し原因やアレルゲンがはっきりさせて、それを取り除く食事療法や対症療法で治療します。
膿皮症(のうひしょう)
膿皮症とは、ブドウ球菌の細菌感染で起こる皮膚炎です。赤いブツブツとした発疹が出現し、しだいにドーナツ状に拡がり放っておくと膿が出てにおいがするようになります。
抗菌作用のあるシャンプー療法を行いつつ、抗生物質を投与するのが一般的な治療法です。シャンプー後に保湿剤を使うなどして皮膚を保護してあげるといいですね。
椎間板ヘルニア
フレンチ・ブルドッグは、生まれつき軟骨の変形を起こしやすく、椎間板ヘルニアになりやすい犬種です。椎間板が脊髄に向かって飛び出した状態が椎間板ヘルニアですが、脊髄が圧迫されると激しい痛みを伴います。抱き上げると悲鳴を上げたり、運動をしたがらなくなったりします。重症になると、後肢に力が入らずに歩行困難に陥ることもあります。腰に負担をかけるような激しい運動やジャンプは避けて、毎日少しずつ筋肉を鍛えることが予防につながります。ヘルニアの悪化を招く体重増加を避けるためにも、ゆっくりとしたお散歩を行いましょう。
その他
上記の他にも外耳炎や、肥満細胞腫、悪性リンパ腫などのがんを起こしやすい犬種です。悪性腫瘍の早期発見のためにも、定期的に超音波検査を含めた健康診断を受けるようにしましょう。
監修/箱崎加奈子先生(獣医師)
ペットスペース&アニマルクリニックまりも病院長
株式会社WVN代表
麻布大学卒業
獣医師でありながら、トリマー、動物看護士としての実務経験を持ち、ドッグトレーナースクールで学んだしつけの知識も豊富。「グラン・ジュテ~私が跳んだ日〜」(NHK Eテレ)、「天才!志村どうぶつ園」(日本テレビ)、「もふもふモフモフ」(NHK Eテレ)などのテレビ番組出演の他、講演活動や、雑誌・Webメディア・書籍への執筆など精力的に活動。ペットとその家族がラクに楽しく暮らすために、医療、ケア、生活面をサポート。獣医師(トリマー、動物看護士)が家族と共に、健康維持管理を行い、病気にならない身体つくり、病気の早期発見、未病ケアに努める0.5次医療を提唱している。
▷監修者の他の記事一覧