愛犬に合ったドッグフードの正しい選び方とは?注目すべきポイントや与える際の注意点を紹介【獣医師監修】

林美彩(獣医師)

林美彩(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、往診・カウンセリング専門の動物病院を開設。

愛犬に合ったドッグフードの正しい選び方とは?注目すべきポイントや与える際の注意点を紹介【獣医師監修】
愛犬に合ったドッグフードの正しい選び方とは?注目すべきポイントや与える際の注意点を紹介【獣医師監修】

目次

  • ・ ドッグフードは「総合栄養食」のものを選んで!
  • ・ ドッグフードはドライタイプ、ウェットタイプのどちらを選ぶべき?
  • ・ ドッグフードを選ぶポイントとドッグフードが犬に与える影響とは?
  • ・ ドッグフードの種類と傾向
  • ・ ドッグフードは犬の体質に合ったものを!

年齢別、犬種別、体質別など、さまざまな種類のドッグフードがペットショップに並べられていますが、うちの子には一体どのドッグフードが適しているのか悩んだことはありませんか? 今回はchicoどうぶつ診療所所長の獣医師・林美彩先生に、ドッグフードの正しい選び方のポイントを伺いました。

ドッグフードは「総合栄養食」のものを選んで!

愛犬に合ったドッグフードの正しい選び方 総合栄養食

ドッグフードには「総合栄養食」「間食」「療法食」「その他の目的食」という4つの目的別の分類があります。基本的には総合栄養食のものを選ぶようにしましょう。ドッグフードの総合栄養食とは、「犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで、指定された成長段階における健康を維持できるような、栄養素的にバランスのとれた製品」(一般社団法人ペットフード協会HPより)のことをいいます。これと水だけで、わんちゃんの健康が維持できるという食べ物です。

ドッグフードはドライタイプ、ウェットタイプのどちらを選ぶべき?

ドッグフードはドライタイプ、ウェットタイプの違い

ドッグフード(総合栄養食)は大きくわけて、ドライ、ウェット、ソフトドライ、セミモイストなどの種類があります。ドライフードは水分含有率が10%以下で、保存期間が長いのがメリットです。ウェットフードは水分が75%程度のフードで、あまり水を飲まない子におすすめです。他にも、水分26~35%程度で発泡処理がされているソフトドライフード、同含有率で発泡処理がされていないセミウェットフードがあります。

ドッグフードを選ぶポイントとドッグフードが犬に与える影響とは?

ドッグフードを選ぶポイントとドッグフードが犬に与える影響

ドッグフードを選ぶ際は、パッケージをチェックするとよいでしょう。人間用の食品と同じ品質基準で作られたことを意味する「ヒューマングレード」の記載があるものがオススメです。記載がない場合はメーカーに問い合わせてみてください。

他にも、保証成分値(栄養分析値)を見て、タンパク質量がしっかりと確保できているかチェックしましょう。大体30%以上あるとよいですが、疾患によっては必要とされるタンパク質量が変わります。愛犬に疾患がある場合は、かかりつけ獣医に相談してみてください。あわせて、保存料や香料、着色料などのよけいな添加物が入っていないかどうかも確認しましょう。

また、一般的に「よい」といわれているドッグフードでも、愛犬の体質に合わないと意味がありません。フードを食べた後に体調不良を起こしていないか、しっかりと見てあげてください。「フードを全て食べているかどうか」を基準に考えるオーナーもいらっしゃいますが、これは好き嫌いによるものも多いため、体質的に合っているかどうかを最優先させるべきでしょう。

ドッグフードの種類と傾向

ドッグフードの種類と傾向

わんちゃんのライフステージ、体型・体質などによっても適したドッグフードは変わります。ドッグフードの種類と、ターゲットにしたわんちゃんの傾向を紹介します。

・全ライフステージ・全犬種対応ドッグフード

その名の通り、わんちゃんにとっての平均的なフードです。どんなわんちゃんでも食べられるものなので、基本的にこれを選んでおけば問題ないでしょう。材料や成分はメーカーによってさまざまです。

・ライフステージ別ドッグフード

ライフステージ(幼犬、成犬、シニア犬)に合わせたカロリーが摂取できるフードです。たとえばシニア犬用は、あまり高カロリーにならないよう設定されています。

・体型別ドッグフード

大きく分けると、通常の体型用か肥満用かの2通りです。肥満用のフードはカロリーと脂質が抑えられています。

・避妊、去勢済み犬用ドッグフード

基本的に脂質が控えめかつ低カロリーで、満腹感を出させるために繊維質が多く含まれるものです。

・妊娠、授乳期犬用ドッグフード

高カロリーを必要とする時期のため、脂質が高いです。あまりにも食が細い子には、妊娠・授乳期ではない場合でもカロリー摂取目的で与えることもあります。

・アレルギー持ち犬用フード

アレルギーを起こしづらいタンパク源(鹿やラム、加水分解されたタンパク質)や、炭水化物がメインになっています。アレルギー検査で何かしらの反応があったわんちゃんや、一般的なドッグフードでは皮膚に赤みや痒みが出たり、嘔吐・下痢などを起こしたりしてしまう子にオススメです。

・腸内改善用ドッグフード

乳酸菌やオリゴ糖が配合されています。便が落ち着かない子や腸内環境があまりよくないと思われる子に向いています。

ドッグフードは犬の体質に合ったものを!

犬の体質に合ったドッグフードを与える

ドッグフードを選ぶ基準はさまざまですが、何よりも優先したいのはわんちゃんの体質に合うかどうかです。体質に合う・合わないとはどういうことかというと、例えば、体に熱がこもりやすいわんちゃんに体を温めるようなタンパク質(ラムや鹿など)が含まれるドッグフードを与えると、呼吸が速くなってしまいます。

逆に、体に冷えがあるわんちゃんに体を冷やすようなタンパク質(馬肉)を与えると、血の巡りが悪くなってしまうということも。巷ではアレルギーや皮膚病の子にはラムがよいといわれていますが、ジュクジュクタイプで熱がこもっているような皮膚炎を起こしている子の場合、ラムを取り入れるとさらに悪化するケースも起こり得ます。

ドッグフードに含まれる材料や成分だけで安心せず、わんちゃんが食べた後の状態も確認して、愛犬に合う合わないをしっかりと見極めてあげてください。

新しいフードを試したいときには、いきなり全てを切り替えると消化器官に負担がかかってしまいかねません。そのため、現在のフードに新しいものを少しずつ混ぜ様子を見ながら、約1週間かけて徐々にその割合を増やしていくとよいでしょう。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家の コメント:

フードの種類はさまざまですが、メーカーや表示などにとらわれすぎず「愛犬に合っているものを選ぶ」ということを最優先にしてあげてください。年齢や体質、アレルギーの有無、現在の健康状態などから最適なものを選べるといいですね。もし、愛犬にどんなものが合うかわからない場合には、かかりつけ病院などで相談してみるのもよいでしょう。


関連リンク

この記事に関連するキーワード