犬が床を舐める理由とは?行動の裏にある心理、やめさせる方法について解説【獣医師監修】

犬が床を舐める理由とは?行動の裏にある心理、やめさせる方法について解説【獣医師監修】

愛犬が部屋の床を一心不乱に舐めている様子を目にしたことはありませんか? 不衛生で掃除も大変なため、やめさせたいと思っている飼い主も多いと思います。そもそも、犬はなぜ床を舐めるのでしょうか? 犬が床を舐める行為に込められた意味や、舐めるのをやめさせる方法について、chicoどうぶつ診療所所長の林美彩先生に解説していただきます。

犬はなぜ床を舐める?

【獣医師監修】犬が床を舐める理由とは?行動の裏にある心理、やめさせる方法について解説犬には、部屋の床をペロペロと舐める癖がある子がいます。飼い主としては「汚いからやめてほしい」「愛犬の体によくないのではないかと心配」という本音があるものの、注意してもなかなかやめてくれずに困っている場合も多いのではないでしょうか。

 

犬が床を舐める行為には、次のような背景があると考えられています。愛犬の場合はどれにあたるのか考えてみましょう。


床の匂いを確かめている

ダイニングなどの床には、食べこぼしによって人間の食べ物の匂いが染みついていることが少なくありません。「何か食べ物が落ちているかもしれない」と思い、食べ物の匂いを確かめるために床を舐めている可能性があります。


退屈を紛らしている

暇つぶしのような感覚で床を舐めたことがいつのまにか習慣となり、暇だと感じるたびに舐めるようになっている可能性があります。この場合は単なる退屈しのぎです。床を舐め始めたら退屈しないようおもちゃを与えたり、家ではしっかり休息が取れるように十分な運動(散歩)を行ったりしましょう。


飼い主の関心を引きたい

飼い主の「床を舐めるのを制止するために声をかける」という行動が、愛犬にとっては「構ってもらっている」という認識に変わってしまうこともあります。そういった場合はあえて反応せず、床を舐めるのをやめるまで無視したり、他の部屋に移動したりしましょう。


ストレスや不安を感じている

落ち着かない気持ちを自分でなだめるため、床を舐めてしまう犬もいます。例えば、去勢をしていない犬は性ホルモンが原因でイライラやストレスを感じやすいため、床を舐める行動が見られやすい傾向にあります。

 

また、なんらかの理由で不安を感じていたり、運動や飼い主とのコミュニケーションが不足していたりする場合も、落ち着かせるために床を舐めることがあります。日頃からしっかりとコミュニケーションを取る、十分な運動をさせるなどの対策で、ストレスを解消してあげましょう。


自律神経が乱れている

不規則な生活によって自律神経が乱れているときも、床を舐める行動が見られます。ストレスを感じているときと同様、自分を落ち着かせようとしています。

 

また、自律神経が乱れると胃腸の機能が落ちるため、消化不良を起こしたり、胃酸過多になったりすることで胃がむかむかします。そうした吐き気をこらえるために床を舐めている可能性も考えられます。


小腹が空いている/胃腸の調子が悪い

人間と同じように、犬も小腹が空いているとき、胃腸の調子が悪いときは胃がむかむかしがちです。そのため、胃を落ち着かせる目的で床を舐めることもあるかもしれません。その場合は、床を舐めた後に嘔吐することもあります。


満腹感を感じている

食後に気持ちを落ち着かせたり、リラックスしたりするために床を舐めることがあります。この場合は、前足や肉球を舐めていた延長で床を舐めているケースが多く見られます。

犬が床を舐めることでどんな影響がある?

【獣医師監修】犬が床を舐める理由とは?行動の裏にある心理、やめさせる方法について解説床を舐めることが愛犬の体にどのような影響を及ぼすか、心配になる飼い主も多いのではないでしょうか。フローリングの床には、ワックスやコーティング材などが塗られています。また、床掃除をするためにクリーナーを使うこともあるでしょう。

 

そうした家庭用の塗料や洗剤は、たとえ犬の口に入ってもそれほど危険性が高いものとは言えません。とはいえ、床には汚れや雑菌が付着しており不衛生なため、舐め続けることがないように注意が必要です。

 

万が一、床を舐めた後に嘔吐や下痢などの症状が見られた場合には、塗料や洗剤の現品を持って動物病院に行き、医師の診断に従ってください。

犬が床を舐めるときは、どのように対策すればいい?

【獣医師監修】犬が床を舐める理由とは?行動の裏にある心理、やめさせる方法について解説犬に床を舐めるのをやめさせたい場合、飼い主は次のような対策を取ってみましょう。


床掃除をする

愛犬が床を舐めるのは、人間の食べこぼしの匂いが床に残っているせいである可能性があります。食べこぼしをしたときはすぐに拭き取り、匂いが残らないように注意してください。

 

フローリングの床の場合は、食べこぼしをティッシュなどで取ったあとに掃除機をかけて食べかすを吸い取り、しっかり絞った雑巾やモップなどで水拭きします。また、フローリングの隙間に食べかすが挟まっていることもあるため、掃除機はフローリングの目に沿ってかけるようにしましょう。

 

カーペットの場合は、表面に食べかすが入り込んでいることがあります。毛の流れに逆らって掃除機をかけたり、ナイロンブラシなどで毛を起こしてから掃除機をかけたりすることで、入り込んだ食べかすを取り除いてください。

 

フローリングやカーペットに洗剤や消臭スプレーなどを使うのも、染みついた食べ物の匂いを取るのに有効です。ただし、愛犬が舐めても体に害がないよう、ペットのいる家庭向けの商品を選ぶようにしましょう。


しつけ用のスプレーを床に噴射する

床を十分に掃除しても舐める行為が直らないときは、床を舐めるのが習慣になってしまっている可能性があります。犬が苦手な味を感じさせるしつけ用のスプレーを床に噴射し、「床を舐めると嫌な味がする」と覚えさせることで舐め癖を直しましょう。

 

しつけ用のスプレーはさまざまなものが市販されています。犬が口に入れても安全であると確認されているものを選ぶようにしてください。


ストレスを解消させる

愛犬が床を舐める行為の裏には、ストレスや退屈、不安、運動不足などが隠れている場合も少なくありません。ストレスを感じている可能性があるときは、十分遊んだりたっぷり運動させたりすることで、ストレスを解消させてあげましょう。

 

加齢や病気などさまざまな事情で散歩に連れ出すのが難しい場合は、ノーズワークマットなどのおもちゃを使うのもおすすめです。ノーズワークとは、飼い主が隠したおやつを犬が嗅覚を使って探し出す遊びのこと。体が不自由な犬でも主体的に楽しむことができ、ストレス解消につながります。


去勢手術をする

ストレスに性ホルモンが関連している可能性があれば、去勢手術を行うのも有効です。床を舐める行為だけでなく、他の問題行動が収まる可能性もあります。手術に適しているのは生後6か月から1年未満の時期と言われていますが、個体差があるため、家族や獣医師とよく相談して決断するようにしてください。


胃腸の調子が悪い場合は動物病院に相談する

床を激しく舐めたり、長時間舐めたりした後に嘔吐する場合は、胃腸の調子が悪いのかもしれません。自律神経失調や胃腸の病気が隠れている可能性があるため、獣医師の診察を受けましょう。

犬に床を舐めさせないためには、どのようなしつけを行えばいい?

床掃除をしたり、床にスプレーを吹きかけたりしても床を舐める行為が改善せず、ストレスや体調不良などの兆しが見られない場合は、「床を舐めると構ってもらえる」と覚えてしまっている可能性があります。その場合は、床を舐め続けていても声をかけずに無視をしたり、他の部屋に移動したりして、「床を舐めると構ってもらえなくなる」「飼い主がいなくなってしまう」ということを教えるといいでしょう。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント:

愛犬が床を舐める行為の裏には、退屈や構ってほしい気持ちのほか、ストレスや自律神経・胃腸の不調などが隠れている可能性があります。また、単純に食べこぼしの匂いに反応していることも少なくありません。犬が床を舐める場合は、まず床の掃除を行い、そのうえでしつけやストレス解消のための対策を取りましょう。また、自律神経・胃腸の不調が疑われる場合は、動物病院を受診し獣医師の診察を受けるようにしてください。

監修/林美彩先生(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。著書に「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)。

監修者の他の記事一覧


関連リンク

著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

詳しく見る

この記事に関連するキーワード