グレート・デンの平均・最高寿命は?長生きさせる秘訣とかかりやすい病気について解説【獣医師監修】

グレート・デンの平均・最高寿命は?長生きさせる秘訣とかかりやすい病気について解説【獣医師監修】

病気・健康

2022年09月10日 更新 (2022年07月29日 公開)

かどのペットクリニック院長。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、特にこれらの分野は院内の診療の中でも力を入れている。

グレート・デンの平均・最高寿命は?長生きさせる秘訣とかかりやすい病気について解説【獣医師監修】

グレート・デンの平均寿命、最高寿命は?

グレート・デンの平均寿命は、7~10年と言われています。現存では14歳が最高齢と言われていますが、正確な情報ではありません。

 

大型犬の寿命が短い理由は?

大型犬は体の大きさに対して臓器が小さいため、内臓の負担が大きい傾向があります。また、それに伴う腫瘍などの病気も寿命を縮める一因と考えられます。

 

人間でいうと何歳?グレート・デンの年齢換算表

平均寿命が7〜10歳程度と言われているグレート・デン。人間の年齢に換算するとどのくらいなのでしょうか? 以下の換算表をひとつの例としてチェックしてみましょう。

 

グレート・デン

人間

生後半年

6

1歳

12歳

2歳

19歳

3歳

26歳

4歳

33歳

5歳

40歳

6歳

47歳

7歳

54歳

8歳

61歳

9歳

68歳

10歳

75歳

グレート・デンがかかりやすい病気やその予防法は?

グレート・デンを長生きさせるためにも、気をつけたい病気やその予防方法について、よく理解しておくことが必要です。グレート・デンがかかりやすい病気には、以下のものが挙げられます。

 

胃拡張・胃捻転症候群

グレート・デンに限らず、大型犬は胃拡張・胃捻転症候群になりやすいとされています。ガスによって胃が拡張・捻転するため、強い違和感や痛みを覚え、腹部が膨満します。ガスの産生につながるような、体質に合わないご飯を与えないこと、早食い防止、食後の運動の抑止などが予防につながる可能性が高いでしょう。

 

胃を固定する手術がある?

胃捻転を防止するには、胃を腹壁に固定する手術「予防的胃固定術」も効果があるとされています。胃捻転を発症したことがなく、病気の発症度合いが高いとされる犬種や、既に一度発症してしまった犬が再発を予防する目的で行ないます。現在では腹腔鏡で行なわれるケースもあります。費用は病院によって異なりますが、腹腔内の処置であることや、術後の管理などもあるため高額になる可能性が高いでしょう。犬の健康状態や入院の期間によりますが、15〜30万円くらいが相場です。

 

骨肉腫

骨にできる悪性の腫瘍です。進行が早く、転移しやすいのが特徴です。痛みや腫れ、腫瘍が原因の骨の変化による骨折などにつながります。歩き方の不自然さなどで気付くことが多く、CTやMRIなどの画像検査を併せて行い、確定診断につなげるのが一般的です。悪性度が高く、転移や進行も早いため、外科的な処置として断脚などが必要になる場合もあります。

 

三尖弁閉鎖不全症

心臓の右心室と右心房を分けるための「三尖弁」と呼ばれる弁構造が完全に閉じなくなる疾患です。この弁がしっかり閉鎖しないことで、右心室から肺へと血液を送る際などに逆流が生じ、効率よく血液を送り出すことができず、心臓が肥大したり負担がかかったりします。さらに、心臓の肥大による周囲の臓器の圧迫や、循環不全が起こる場合も。症状は呼吸の異常や腹水の貯留などが挙げられ、他にも元気消失、食欲不振なども併せて起きることが多々あります。

 

アジソン病(副腎皮質機能低下症)

腎臓の近くにある副腎と呼ばれる内分泌の機能に大きく関与する臓器の機能不全です。副腎皮質のホルモン分泌の機能低下が生じ、元気消失や食欲不振、下痢嘔吐など体調不良が生じるようになります。極度の場合、ショック症状に似た状態に陥り、命を落としてしまうこともあります。普段から健康診断を行い、血液検査の健康時の平均的な値を把握しておく、体調の変化を感じた場合にすぐに動物病院を受診する、といった心がけで早期発見につなげましょう。

 

ウォーブラー症候群

大型犬や馬などに見られる病気です。脊椎の形成異常によって脊髄の圧迫が起こり、首の痛みやふらつき歩行が生じることが多いとされています。一般的な検査と画像診断によって、病気を確定します。確定後は程度によって内科的治療、または外科的な治療を行います。

グレート・デンを長生きさせる秘訣は?

グレート・デンを長生きさせる秘訣は、やはり健康を保つことです。飼い主として日常生活の中で以下のことを意識してみましょう。

 

室内の床が滑らない場所で飼育する

大型犬は体格が大きく体重も重いため、関節にかかる負担が多く、床が滑る場所では関節を痛めかねません。若い頃に近い状態で長生きしてもらうためには、関節も健康でいられるよう、負担を軽減する工夫が必要です。

 

また、屋外で飼育すると夏の暑さや冬の寒さによって体力を消耗させてしまうことも。温度の管理をしっかり行える室内で飼育することをおすすめします。

 

十分な運動をする

高齢になると、筋力の低下は避けられません。少しでも筋力の低下を予防するために、散歩など普段から十分な運動を欠かさず行なうようにしましょう。ただし、熱中症予防などにも注意が必要です。散歩コースや時間帯を考慮し、犬の負担にならないよう注意しましょう。

 

毎日のお手入れで体を清潔に保つ

大型犬の場合、お手入れが大変で億劫になってしまうかもしれません。しかし、人間と同じように、かゆみや違和感など皮膚や被毛の異常からくる負担は大きいものです。皮膚や被毛の健康に配慮し負担をできるだけ減らすためにも、体を清潔に保つよう心がけましょう。しつけの一環として、小さい頃から体を触らせるお手入れに慣れさせておくことも大切です。

 

定期的な健康診断

小型犬と比べて寿命の短い大型犬にとって、1年、1か月はより大切です。わずかな変化を察知して医療機関を受診し、早期治療を行うことが長生きにつながります。そのためにも、愛犬の健康時の平均的な状態をしっかり把握しておくべきでしょう。飼い主だけでは異変を発見するのが難しい場合もあるので、定期的な健康診断を通して獣医師に病気を見つけてもらいましょう。

グレート・デンの食事で気を付けたいポイントは?

胃拡張・胃捻転症候群のリスクを下げるためにも、グレート・デンの飼育では食事に気を配ることが大切です。以下の点に注意して食事を与えましょう。

 

食事の与え方

食事と一緒に空気を吸い込んでしまうと胃が拡張しやすくなります。ガスを産生させる原因にならないよう、お腹に良いグレート・デンに適した食事にすること、早食いを防止することが大切です。なおかつ、散歩の前には食事を避けるなど、与えるタイミングも配慮しましょう。

 

適切な食事量

満腹で胃が膨れてしまうことのないよう、体格に合った適切な量の食事を与えてください。フードの袋に記載された表などを参照すると良いでしょう。

グレート・デンのシニア期・高齢期は何歳から? 老化のサインが表れたときの対処法

グレート・デンは、人間の約60歳に該当する8歳くらいから高齢期に差し掛かります。その年齢に差し掛かると以下のような老化のサインが表れます。

 

耳や目が悪くなる

耳や目が悪くなると、今まで聞こえていた声や生活音への反応が薄くなる、壁などにぶつかるといった行動の変化が表われます。犬には気づきやすい高さの音があるため、聞き取りやすい声の高さの大きな声で名前を呼んであげましょう。聞こえにくい音を発すること、視界が悪く怖がるような場所は避けるようにしてください。

 

散歩の時間が短くなる

グレート・デンは体が大きいため、年を取ると筋力の低下によって、太くて重い骨や体を支えることが困難になります。疲れやすくなることもあるので、散歩を嫌がるようなそぶりを見せたら、無理せず散歩時間を減らしましょう。

 

足がぶるぶると震える

体が大きいグレート・デンは筋力の低下にともない、体を支えることが負担になり、足がぶるぶると震えることがあります。腰を落とすのが大変そうだったり、歩く際に足が震えたりといった動きが見られたら、負担を軽減してあげましょう。胴体などを持つことで重さによる負担を軽減する介護用ハーネスを使用してみるのもおすすめです。

 

特に排泄の際などは、腰を落としたり、踏ん張ったりすることで筋肉への負担がかかりやすくなります。筋力低下したシニア犬の場合、こうした姿勢がとりづらいせいで排泄を我慢したり、排泄困難になったりすることも。病気につながりかねないため、予防のためにも身体を支えてあげると良いでしょう。

 

食欲がなくなる

加齢とともに、消化機能も衰えていきます。特に大型犬は、若い頃にたんぱく質を多く摂ったり、運動量が多いため高カロリーの食事を摂取したりする傾向があります。そのため、年を重ねてからも若い頃と同じ食事を与え続けると消化器に負担がかかり、食欲の低下や消化器症状などが見られるようになることもあるでしょう。年齢に応じて、愛犬に適した食事を選択することが必要です。

グレート・デンがシニア期に入ったときのケアは?

大型犬の場合、筋力低下は特に負担が大きい傾向があります。今までのような日常生活が送れなくなるだけでなく、排泄や食事などの生命維持のための行動を取るのが難しくなることも。飼い主として愛犬の体重を支えるといったサポートをする必要が生じるでしょう。また、愛犬が寝たきりになった場合、体重の重さから褥瘡(床ずれ)ができるなど、小型犬よりも負担が大きくなる場合もあります。

 

そのため、すべてを飼い主だけでカバーしようとすると体力的にも大変です。便利な介護アイテムを上手に利用したり、介護やケアなどの専門家のアドバイスを聞いたりするなど周囲にサポートしてもらいながら、少しでも飼い主の負担を減らしてケアを行なうのが理想です。