ボーダー・コリーの平均寿命や最高齢は?長生きさせる秘訣とかかりやすい病気について解説【獣医師監修】

ボーダー・コリーの平均寿命や最高齢は?長生きさせる秘訣とかかりやすい病気について解説【獣医師監修】

葛野莉奈(獣医師)

葛野莉奈(獣医師)

かどのペットクリニック院長。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、特にこれらの分野は院内の診療の中でも力を入れている。

抜群の運動神経と賢さが有名なボーダー・コリー。一度その魅力にハマると何頭も代々飼い続ける、というファンも多い犬種です。今回の記事では、そんなボーダー・コリーの平均寿命や健康に長生きさせる秘訣、注意すべき病気などを、かどのペットクリニック院長で獣医師の葛野莉奈先生監修のもと、詳しく解説していきます。

目次

  • ・ ボーダー・コリーの平均寿命や最高齢は?
  • ・ ボーダー・コリーがかかりやすい病気とその予防法は?
  • ・ ボーダー・コリーを長生きさせる秘訣は?
  • ・ ボーダー・コリーの食事で気を付けたいポイントは?
  • ・ ボーダー・コリーに老化のサインが表れたときの対処法は?
  • ・ ボーダー・コリーがシニア期に入ったときのケアは?

ボーダー・コリーの平均寿命や最高齢は?

ボーダー・コリーの平均寿命は10~15歳前後です。中型犬の寿命としては平均的ですが、健康管理の仕方次第では17歳程度まで生きる子も多いと言われています。イギリスでは、27歳まで生きたボーダー・コリーがギネス記録に認定されているようです。

 

避妊去勢をすることで寿命は伸びる?

避妊手術または去勢手術によって性ホルモンに関わる病気のリスクを減らせるため、長生きできる可能性が高まります。メスの場合は乳腺腫瘍や子宮蓄膿症などの生殖器疾患、オスの場合は生殖器にできる腫瘍や会陰ヘルニアなどの病気を予防することができます。なかでも乳腺腫瘍や子宮蓄膿症、生殖器の腫瘍などは死につながる危険性もある病気です。適切なタイミングで避妊や去勢手術をおこなうことで、寿命を伸ばすことができるでしょう。特にメスは、最初の発情期が訪れる前に避妊手術をすると、より予防効果が高まると言われています。

 

人間でいうと何歳?ボーダー・コリーの年齢換算表

平均寿命が10〜17歳程度といわれるボーダー・コリーですが、人間の年齢に換算するとどのくらいなのでしょうか? 以下の換算表をひとつの例としてチェックしてみましょう。

 

ボーダー・コリー

人間

1歳

12歳

2歳

19歳

3歳

26歳

4歳

33歳

5歳

40歳

6歳

47歳

7歳

54歳

8歳

61歳

9歳

68歳

10歳

75歳

11歳

82歳

12歳

89歳

13歳

96歳

14歳

103歳

15歳

110歳

ボーダー・コリーがかかりやすい病気とその予防法は?

ボーダー・コリーを長生きさせるには、病気のリスクやその予防方法について理解しておくことが大切です。次にボーダー・コリーがかかりやすい病気について解説します。

 

股関節形成不全

股関節形成不全は先天性の病気です。生まれつき股関節の形状に異常があるために、運動や負荷がかかった際に痛み・違和感などが生じます。歩き方や立ち方、座り方の変化で気づく場合が多いようです。愛犬のしぐさに違和感を覚えたら、ただの癖ととらえずすぐに動物病院を受診しましょう。その際は変化を感じた歩き方や座り方を動画で撮影しておくと、診察の手がかりになります。

 

コリー眼異常(CEA)

別名コリーアイとも呼ばれる、遺伝的な病気です。眼の構造の形成不全や血管の異常などが起き、若いうちに失明するケースもあります。一方で、遺伝的な素因を持っていても、生涯発症しないこともあるようです。コリー系の犬種によく見られる疾患と言われています。あらかじめ検査を受け、遺伝的な素因を調べておいてもいいかもしれません。そのほか視力の変化などに気づいたら、すぐに動物病院を受診することも大切です。

 

セロイド リポフスチン症(CL病)

遺伝病で、とくにボーダー・コリーに多く見られる病気です。脳内の代謝産物を処理できないことで中枢神経の異常につながり、認知力や方向感覚の異常、錯乱などが見られます。治療法が未だ見つかっておらず、病気が進行するにつれ、死に至る可能性が高くなります。

 

白内障

特に注意したいのが、加齢性のものではなく、病的な白内障です。進行に応じて視力の低下や、周囲の炎症などが起きる場合があります。早期発見と処置がとても重要です。進行のスピード早さや左右の進行度合いの違いなどで気付くケースが多いと言われています。違和感に気づいた際は、眼科機器のある病院で検査をしてもらえると早期発見につなげられるでしょう。眼科を得意とする動物病院や眼科専門の獣医師では特殊な機械を使用した精密な検査が可能です。

 

水晶体脱臼

水晶体とは眼球内に存在するレンズのような役割をする部分で、チン小帯と呼ばれる上下の構造物により支えられています。構造的な異常や加齢際の変化によるチン小帯の断裂などで、水晶体がずれた状態が水晶体脱臼です。水晶体が脱臼すると、周囲の構造物にも影響を及ぼし、炎症が起こる可能性が高まります。治療は脱臼の状態により異なり、内科的な治療以外に手術を必要とする場合もあります。特にボーダー・コリーは遺伝的に若齢でも水晶体脱臼が起こりやすい犬種なので注意しましょう。

 

ブルーマールという毛色のボーダー・コリーは遺伝的な疾患をおこしやすい?

ボーダー・コリーには「マール因子」という遺伝子を持つ、マール種という種類が存在します。マール因子によって色素生成を抑制する働きが起きるため、ブルーマールやレッドマール、ブラウンマールといった珍しい毛色が生まれます。しかし、マール因子が身体に作用した場合、耳が聞こえなかったり、眼が全く見えなかったりといった身体的機能の欠如や心疾患を引き起こすことがわかっています。

 

そのためブルーマールを購入する際は、体の特徴をペットショップやブリーダーから詳しく聞くことが大切です。また、マール因子を持った個体は一般的に繁殖に向いていないため、繁殖目的での飼育はやめましょう。

ボーダー・コリーを長生きさせる秘訣は?

ボーダー・コリーを長生きさせるためには、以下のようなポイントに気をつけましょう。

 

作業意欲を満たす

ボーダー・コリーは知能が高く、知的好奇心の旺盛な犬種です。そのため運動だけでなく、作業意欲を満たしてあげられるドッグスポーツがおすすめです。アジリティやノーズワークなどに取り組めば、頭を使いながら体力を発散させることができます。ドッグスポーツは飼い主との連携も大切なので、信頼関係の強化にも役立つでしょう。

 

十分な運動を行う

ボーダー・コリーは体力がある犬種なので、運動で発散させることが大切です。特に若いうちは十分な運動量をとらせるよう心がけてください。毎日長時間の運動が出来ない場合は、週末に広い場所で思い切り運動させてあげるだけでもかまいません。

 

ストレスを与えない

ボーダー・コリーは知能が高い分、感受性も豊かです。恐怖心を感じやすかったり、苦手なものや音によってストレスを受けたりする場合があります。このように苦手な感覚から感じられるストレスが少しでも軽減できるよう、小さい頃からトレーニングを重ねることが大事です。特に生後4か月齢までの社会化期にさまざまなことを体験させてあげて、身の回りの環境に慣らしてあげましょう。

 

適切な体重管理

運動能力の高いボーダー・コリーは、肥満になると思うように運動ができないことで、ストレスが溜まりやすくなります。健康面でも特に肥満は、関節や内臓の負担になることが多いため、適切な体重管理が必要です。

 

日常的にお手入れをする

ボーダー・コリーは、外で遊ぶのが大好きな性格の子が多いです。ただし、外に出て汚れた体のまま過ごすと、皮膚炎につながる可能性があります。こまめなお手入れで体を清潔に保つのが大切です。また、日常のお手入れは、わずかな体調の変化や、肉球裏の傷など小さなケガにも気付いてあげられるというメリットがあります。愛犬を健康に長生きさせるためにも、触れ合う時間をしっかり作って健康チェックができると理想的です。

 

口内環境のケア

長生きさせるためには健康な口内環境づくりも重要です。歯周病をはじめとした口腔内トラブルで、口周りや口腔内に違和感が出て食欲不振につながるケースもあります。ボーダー・コリーは知能の高い犬種なので、口周りのケアに慣れさせやすい犬種です。小さいころからケアする習慣をつけましょう。

 

子犬の頃から定期的に健康診断を行う

ボーダー・コリーは犬種的に遺伝的な疾患が多く、定期的な健康診断がかかせません。血統に関係なく病気になる確率は同じで、どの子でも病気になる可能性はあります。健康状態を把握するためにも若いうちから健康診断をはじめましょう。

ボーダー・コリーの食事で気を付けたいポイントは?

ボーダー・コリーを健康的に育てるために、食事に関しては以下の2つのポイントに気をつけるようにしてください。

 

食事の与え方

肥満にさせないことはもちろん、運動能力の高いボーダー・コリーは、しっかりとした筋力をつける必要もあります。タンパク質をはじめ、成分の割合に配慮して健康的な体作りを目指してください。特に若いうちは、良質な筋肉を作るために、タンパク質が多めのフードを選ぶとよいでしょう。

 

適切な食事量

肥満を防ぐために、食事量には特に気を付けましょう。過度に与えてもいけませんが、運動量の多い犬種でもあるため摂取カロリーが少なすぎても問題となってしまいます。そのため、体つきや健康状態から、食事の量や質を調整するのが望ましいです。こまめに体重を測りながら、獣医師や専門家にアドバイスをもらうとよいでしょう。

ボーダー・コリーに老化のサインが表れたときの対処法は?

次に、ボーダー・コリーの老化のサインについて解説します。ボーダー・コリーは体格のよい個体が多いため、高齢になってからの介護を大変に感じる飼い主も多いようです。介護が難しい場合は、トレーナーや獣医師などの専門家に相談するとよいでしょう。

 

運動の際、息切れを起こすようになる

筋力や心肺機能の低下から、息切れの症状が出る場合があります。無理をさせずに、今までより散歩の量や運動量を減らしてあげてください。また、息切れは心臓疾患などの初期症状の可能性もあります。いつもと様子が違うと感じたら、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

 

目が悪くなる

視力の低下から何か物にぶつかったり、段差に躓いたりする反応が見られます。角やとがったものにぶつかるとケガにつながる恐れがあるので、十分注意しましょう。また、近くのものに気づかずに驚くといった反応も出るかもしれません。生活環境の見直しや、触ったり近寄ったりする際には声をかけるなど工夫すると愛犬も安心して過ごせます。

 

耳が遠くなる

今まで聞こえていた音が聞こえづらくなり、想定外の事象に驚く可能性があります。特に、散歩中に車やバイクの大きな音にびっくりして、パニックを起こしてしまうといったトラブルも考えられます。愛犬の苦手な音や聞き取りやすい音、聞こえづらい音を把握して、お散歩コースや生活環境の見直しを行いましょう。

 

睡眠時間が増えた

老化による体力の消耗や疲れやすさによって、睡眠時間が増えることがあります。若いころは運動量が多くパワフルなボーダー・コリーが多いため、急な変化に戸惑う飼い主も多いでしょう。対処法として、しっかりと落ち着いて睡眠できる環境を整えてあげることが大事です。それ以外にも食欲不振や元気消失、脚を引きずるなどの変化が見られた場合は、体調不良が原因の場合もあるので、動物病院の受診をおすすめします。

 

毛つやが悪い(被毛の色が薄くなる)

白い毛が増えてくるのは、加齢に伴う色素の変化です。生理的なものであるため、問題はないと考えてよいでしょう。ただし、毛つやが悪い、脱毛量が増えて地肌が見えるなどの変化がある場合は、ホルモン性の疾患や栄養失調が考えられます。栄養失調はシニアになったボーダー・コリーの消化吸収能力に合わないため、栄養が吸収できていない場合が多いです。この場合は動物病院を受診してください。

 

おしっこの回数が変化した

膀胱の尿を溜めておく能力の低下、膀胱括約筋や尿道括約筋などの衰えによって、おしっこの回数が変化する場合があります。ただし、加齢による生理的な変化であれば問題ないと考えられます。一方で、腎疾患や内分泌疾患が原因の尿量の増加、飲水量が増えたことによる排尿の回数の増加であれば治療やケアの必要があります。疑わしい場合はできるだけ早く動物病院を受診しましょう。また、定期的な健康診断を欠かさずに行なって、現在の全身状態を把握することも大事です。

ボーダー・コリーがシニア期に入ったときのケアは?

ボーダー・コリーは体の大きい中型犬であるため、筋力や体力の低下により、腰を落とすような排泄の姿勢を取ることが困難になる場合があります。また、場合によっては寝たきりになることも考えられるでしょう。寝たきりになった場合、体重が軽くはないため、床ずれが起きやすくなります。さらに、体勢を取りづらいことによるケガや精神的なストレスなどのケアが必要です。

 

飼い主は加齢によってできなくなったことをサポートしてあげたり、要求があれば応えてあげたりすることが多くなります。そのため、飼い主にとっても睡眠時間の減少や、生活環境が大きく変わることによるストレスが増える可能性も考えられます。最近では便利な犬用介護グッズも市販されているので、上手に使いながら向き合うようにしてください。

専門家の コメント:

ボーダー・コリーは中型犬とはいえ、健康に生活できれば平均寿命を超えて長生きできる犬種です。一方で遺伝的な疾患や目の病気などが心配されるので、定期的な健康診断や日常的な健康チェックは欠かせません。また、運動量の多い犬種のため、適切な運動や食事を意識して健康的な体作りをすることで、長生きできると言えるでしょう。高齢になってからの介護は大変なことも多いですが、ひとりで悩まずトレーナーや獣医師に相談しながら、無理なくボーダー・コリーとの生活を楽しんでもらえたらと思います。

監修/葛野莉奈先生(獣医師)

監修/葛野莉奈先生(獣医師)
かどのペットクリニック院長。麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。 獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に動物病院を開院。 開院後、ながたの皮膚科塾を修了。 皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、特にこれらの分野は院内の診療の中でも力を入れている。

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