【保存版】愛犬を地震から守るには?地震後の正しい対応と同行避難の仕方、もしものための備えについて解説【獣医師監修】

【保存版】愛犬を地震から守るには?地震後の正しい対応と同行避難の仕方、もしものための備えについて解説【獣医師監修】

防災

2023年12月01日 更新 (2022年03月08日 公開)

酪農学園大学獣医学群獣医学類 准教授。 酪農学園大学附属動物医療センター集中治療科診療科長。幼い頃より無類の動物好きで、今も変わらず動物全般が大好き!

【保存版】愛犬を地震から守るには?地震後の正しい対応と同行避難の仕方、もしものための備えについて解説【獣医師監修】

犬は地震を察知する?

全ての動物に言えることですが、「察知している」「察知していない」を明らかに断定・確定することは非常に難しいです。いつもと違う行動を「地震を察知した結果」と推測することはできますが、もちろんすべての犬に当てはまるわけではなく、犬に地震を察知する能力があるかどうかは明確にはわかっていません。

 

一般的に、地震によって体調を崩す犬は多く、地震を経験することで揺れに対して非常に敏感になることはよくあることです。地震が来る前にいつもと違う行動として報告される事例としては、次のようなものがあります。

 

・いつもより鳴く

遠吠えをする

・落ち着きがない

・震える

・いつもより地面の匂いを嗅ぐ

・しきりに外に出たがる

・いつもより甘えてくる

・体調を崩す

地震が起きると犬はどんな行動をとる?

実際に地震が発生し、揺れを感じている間や揺れがおさまった後、犬はどのような行動をとるのでしょうか?

 

飼い主にくっつく

恐怖や不安感、甘えたい気持ちから飼い主にぴったりとくっつき、そばを離れないことがあります。

 

そわそわする

突然の揺れに落ち着きをなくし、不安や恐怖からそわそわと動き回る犬もいます。

 

吠える

地震の揺れだけでなく、緊急地震速報の大きな音に驚いて吠えるケースも見られます。

 

身を隠そうとする

不安や恐怖からテーブルの下など安全な場所に隠れようとする行動をとる犬もいるようです。

 

怯えてパニックになる

地震の揺れでものが落ちたり、ガタガタと大きな音がしたりすると、恐怖を感じてパニックに陥ってしまう犬もいます。

 

失禁や脱糞、よだれ

極度の緊張や恐怖、不安によって失禁や脱糞、大量のよだれを垂らすなどの症状が見られることもあります。

自宅で地震発生!その直後に飼い主がとるべき対応は?

上記で地震発生時の犬の行動を説明した通り、地震が起きると犬も平常心ではいられないと考えておきましょう。では、自宅にいるときに地震が発生した場合、愛犬を守るために飼い主はどのような対応をとるべきなのでしょうか。地震発生直後にとるべき行動を確認していきましょう。

 

1.自分の身の安全を確保する

愛犬を守るためには、まずは飼い主が無事でいることが第一条件です。地震発生時には、飼い主が自分の身の安全を確保することを最優先にします。避難経路を確保し、自分自身の安全が確かめられてから、愛犬の安全を確保する行動に移りましょう。

 

2.犬が逃げ出さないように声をかけて呼び寄せる

突然の地震で犬もパニックになったり、興奮したりして、いつもと違う行動をとることがあります。普段噛まない犬に手を噛まれたり、走り周って逃げたりすることも考えられます。飼い主の気が動転していると犬にも伝わってしまうので、できるだけ落ち着いて普段通りの声かけをし、犬を近くに呼び寄せて落ち着かせてあげましょう。

 

3.リードをつける、ケージに入れて逃げ出さないようにする

犬が動転して逃げ出してしまうのを防ぐため、リードをつける、ケージに入れるなどして、行動を管理します。リードやケージがそばにない場合は飼い主が抱っこして、犬がどこかに隠れたり、入り込んだりしないようにしましょう。

 

4.避難指示の有無を判断する

ラジオやテレビ、行政のホームページなどから、災害の状況に関する正確な情報を積極的に集めましょう。自宅が危険な場合や避難指示があった場合は、飼い主の安全を確保した上で、犬を連れて指定の緊急避難場所や安全な場所に避難します。自宅や地域の状況が安全であることが確認できれば、自宅に留まるという選択肢もあります。

 

愛犬と外出中に地震発生!どこに避難するのが適切?

散歩の最中など、愛犬と外出している時に大きな地震が発生した場合は、安全な場所に避難する必要があります。地震発生時の状況や、自分がいる場所によってどこに避難するべきかは異なりますが、基本的に避難場所とされるのは次のような場所です。

 

避難場所の表示がある広場

周りにビルなどがある場合は、ガラスの落下や倒壊にも注意しながら、付近の公園など広くて安全な場所に避難します。住宅街では、ブロック塀などが崩れてくることもあるので、危険な場所には近づかないようにしましょう。かばんなどで頭を保護しながら避難してください。

 

公共施設やビルなど耐震性の高い建物

近くに避難できる広い場所がなかったり、逃げる余裕がなかったりする場合は、耐震性が高いと考えられる、比較的新しい鉄筋コンクリートのビルに逃げ込みましょう。


地震発生後、愛犬と同行避難する方法は?

リードをつける犬

飼い主が飼育しているペットと一緒に避難することを「同行避難」と言います。災害時に避難指示があった場合は、飼い主の身の安全が確保できた上で愛犬を連れて避難所などの安全な場所に同行避難することが原則です。その方法と注意点を確認しておきましょう。

 

1.避難先がペットの受け入れ可能か確認する

避難所でのペットの受け入れが可能・不可能かは、各自治体や避難所ごとに異なります。最寄りの避難所の受け入れ態勢を確認しましょう。

 

また、受け入れ可能な避難所でも、人とペットの生活スペースが分けられていることが多いです。犬をケージやクレートに入れて屋内または屋外の別の場所で過ごさせるという措置がとられたりします(犬と一緒の空間で避難生活をすることを「同伴避難」と言いますが、盲導犬や介助犬、聴導犬などは同伴避難が認められています)。

 

避難所の受け入れが不可能だった場合には、安全な場所に移動し車の中で過ごす「車中避難」や犬を知り合いや自治体、動物病院、ペットホテルなどに預ける、などが考えられます。

 

2.逃げないように犬にリードをつける

同行避難先が決まれば、移動の準備を始めます。犬が地震に遭遇すると興奮状態となり、普段と違う行動をとることがあるので、途中で逃げ出したりしないようリードを装着しましょう。首輪が緩んでいないかを確かめ、飼い主はリードをしっかりと持ち、放さないように気をつけてください。

 

3.ガラスの破片などで怪我をしないように犬に靴を履かせる

車が使えず徒歩で移動しなければいけなくなった時など、犬が地面にじかに触れて歩くと、ガラスや瓦礫の破片などで足を怪我してしまう恐れがあります。足の怪我の痛みで歩きづらくなることも考えられるので、避難する際には、犬にもを履かせておいてあげると安全です。

 

4.犬が落ち着けるようクレートやキャリーバックに入れる

小型や中型犬の場合は、リードを装着した上で、クレートやキャリーバックに入れて移動するとより安全です。クレートやキャリーバックはしっかりと抱えて持ちましょう。避難の道中や避難所で、周りの人に迷惑をかけない配慮としても重要です。

 

5.避難先までの経路が安全かを確認する

避難経路に崩壊した建物や切れた電線などがあると危険です。避難所までのルートが通行可能か、危険がないかの情報収集を行いましょう。移動する際には足元や頭上に気を配り、落ち着いて避難してください。


避難先での過ごし方の注意点は?

避難先で過ごす際には、体調を崩しやすくなったり、周りの人への配慮が必要になったりします。以下のようなことに気をつけましょう。

 

避難所では動物の健康に気をつける

避難所という慣れない環境に身を置くことは、犬にとって大きなストレスにつながります。フードや水分が不足することで免疫力が下がり、体調不良を起こす犬もいます。飼い主は愛犬の健康状態に気を配り、できるだけコミュニケーションをとって不安を取り除いてあげましょう。

 

避難所では周りの人へ配慮する

ペットがいることで避難生活中の心の支えや癒しにもなりますが、その一方で、吠え声がうるさい、抜け毛による不衛生などのトラブルを招くことも。また、動物が苦手な人も一緒に生活するので、周りの人への配慮が必要です。

 

避難所での犬の飼育は飼い主の責任

基本的に、避難所での犬のお世話やフードの確保、飼養場所の管理は飼い主の責任のもと行います。衛生面や周囲の人へ配慮しながらの飼育が求められます。

 

車中避難する場合は熱中症とエコノミー症候群に注意!

車中避難する場合は、車内での犬の熱中症に注意してください。特に夏場は曇りの日でも車内は想像以上に高温になることがあります。窓を開けてこまめに換気をし、十分な水分補給を行いましょう。

 

狭い空間での滞在は、飼い主のエコノミークラス症候群も心配されます。定期的に車外に出て運動する、シートをできるだけ平らにして休むなど血流が滞らないよう予防しましょう。

 


地震発生後、愛犬と同行避難できない場合の適切な対応は?

避難する際は、同行避難が原則ですが、何らかの事情でそれが叶わないことも考えられます。その場合の飼い主の対応方法を見ていきましょう。

 

自宅から犬を連れ出せない場合、ペット残留情報カードを準備する

やむを得ず自宅から犬を避難させられないときは、犬の食料や飲料水を残しておき、犬が逃げないよう戸締りをして飼い主だけで避難しましょう。その際に大事なのは、家の中にペットが残っていることを知らせる「ペット残留情報カード」を自宅の目立つ場所に貼っておくことです。万が一、飼い主が自宅に戻れなくても、ペット残留情報カードの情報を目にした誰かが残された犬を助けてくれるかもしれません。情報を残しておくことで、愛犬と再会できる可能性が高まります。また、自治体の動物担当部署にも相談しましょう。

 

飼い主が家を留守にしている場合、避難させることが可能かを判断する

地震発生時に飼い主が外出中で犬と離れた場所にいる場合は、飼い主が自宅に戻って自分で愛犬を避難させることができるのかを見極める必要があります。自らの被災状況や周囲の状況、自宅までの距離、避難指示などを総合的に考えて判断します。


余震を怖がる犬に対しての適切な接し方は?

怖がる犬

地震発生後も多くの場合で余震が起こります。人は余震が発生する可能性があることに対して心構えができますが、犬は再度揺れることを恐れて怯えた様子を見せる犬もいます。何かの拍子に急に暴れて動き出すこともあるので、まずは落ち着かせてあげることが大切です。狭いケージなどに入れて動かないようにしてあげると、安心し、リラックスすることができます。飼い主が不安そうにしていると犬にも伝わってしまうので、飼い主自身が落ち着いた態度で接することを心がけましょう。

地震後の犬のケアや健康チェックの方法は?

地震後、犬は強いストレス状態に置かれていることが考えられます。以下のような適切なケアを行い、健康状態に問題がないかを定期的にチェックする必要があります。

 

いつもよりも長くスキンシップをしてあげる

地震後のケアとしては、飼い主とのスキンシップが重要です。飼い主が体をくっつけて穏やかに声かけをしたり、ゆっくりと呼吸を促すように声かけをしたりしてあげましょう。愛犬が少し落ち着きを取り戻したら、水分補給も忘れずに行ってください。

 

地震後の健康チェックのポイント

犬の健康状態を確認するには、次の点をチェックしましょう。普段の犬の状態と比べて異変があった場合は、獣医師などの専門家に相談してください。

 

□食事

・食事を食べるか/食べないか

・食事の時間や好みに変化はないか

 

□うんちの状態

・うんちが出るか/出ないか

・うんちの硬さはどうか(下痢はしていないか)

 

□睡眠時間

・寝られているか/いないか

・普段と違う時間に寝ていないか

  

□飲水

・水を飲んでいるか/いないか

・どれくらいの量を飲んでいるか

 

□その他

・普段と違う行動が見られないか(ものを壊す、普段とは違う場所にずっといる、など)

・嘔吐した場合、食事に関係しているか/空腹時であったか

  

地震から愛犬を守るための備え① ペットと同行避難できる場所と避難ルートを確認しておく

ここからは、いざという時のために準備しておきたい地震への対策について紹介していきます。地震から愛犬を守るためには、平常時から災害への備えをしておくことがとても大切です。中でも、愛犬と一緒に避難できる場所やルートを把握しておくことは、非常時に適切な行動がとれるかどうかを大きく左右します。次の点に注意して、避難場所とルートを確認しておきましょう。

 

ペットと同行避難・同伴避難できる場所を確認するときの注意点

避難所の所在地や避難ルートは、住んでいる地域の防災計画や自治体の広報誌、ホームページなどで確認できます。避難所に犬を連れて行く場合の注意事項なども、管轄の自治体に前もって確認しておくとよいでしょう。

 

避難ルートを確認するときの注意点

避難所までのルートを確認する際は、犬を連れて実際の道を歩き、道順だけでなく、避難場所までの所要時間もチェックしておきましょう。ルート上にガラスの破損、看板落下などの恐れがある危険な場所がないかどうかも確認しておくと安心です。

 

また、ルートはひとつではなく、複数考えておくことが大切です。災害時は、建物の倒壊などで想定していた道が通れなくなることもあるので、通行できない場合の迂回路も検討しておきましょう。

地震から愛犬を守るための備え② 同行避難を想定した準備をする

常備薬

避難先では、愛犬の飼育に必要なものは、飼い主が責任をもって用意することが基本です。最低限、避難時に持っていきたいものは首輪とリード、キャリーバック(小型・中型犬などの場合)の3つです。加えて、以下のような備蓄品も優先順位をつけて一緒に持ち出せるように準備しておきましょう。

 

【備蓄品の優先順位1:常備品と飼い主や犬の情報】

□療法食、常備薬 

□フード、水(少なくとも5日分、できれば7日分以上が望ましい)

□予備の首輪、リード(伸びないもの)

□食器

□ガムテープ

□飼い主の連絡先、親戚など飼い主以外の緊急連絡先、預かり先などの情報

□犬の写真(印刷されたもの、スマートフォンなどに保存した画像)

□犬のワクチン接種状況、既往歴、健康状態、かかりつけの動物病院の情報

 

【備蓄品の優先順位2:ペット用品】

□ペットシーツ

□トイレ用品

□タオル、ブラシ

□おもちゃ

□ビニール袋

 

備蓄する際の注意点

犬用の備蓄品は人の避難用品と一緒にすぐに持ち出せる場所に保管しましょう。地震で家具が倒れたり、建物の一部が崩れたりすると、備蓄品を取り出せなくなることも考えられます。自宅の複数の場所や車の中に用意しておくことで、リスクを分散できます。

地震から愛犬を守るための備え③ 室内の地震対策をしておく

室内の地震対策をしておくことも、地震発生時の犬の安全につながります。次に挙げるポイントを意識して、室内の安全性を見直してみてください。

 

家具や大型の家電などを固定する

家具や大型の家電は、転倒しないようしっかりと固定しましょう。食器棚や本棚などの収納家具の場合、重いものを下に入れ、重心を低くすることで倒れにくくなるだけでなく、中のものが飛び出してくるのも防げます。

 

ガラスに飛散防止フィルムを貼っておく

地震でガラスが割れて飛び散ると、飼い主、犬ともに怪我をする危険があります。窓ガラスや水槽などには飛散防止フィルムを貼っておくことで、ガラスが割れても破片の飛散を防ぐことができます。

 

家具の配置を工夫する

家具は、避難経路や出入口を塞がないように配置することが基本です。家具が倒れても危なくないよう、愛犬が普段いる場所の近くには置かないようにするか、配置する向きを工夫しましょう。加えて、家具が倒れないように固定しておくとなお良いです。

 

ケージ、クレートなどの犬の居場所を安全な場所に設置する

室内での犬の居場所となるケージやクレートは、地震の際に倒れてきそうな大型の家具や家電のある場所や、窓ガラスの近くから離れた安全な場所に設置しましょう。そうすることによって、地震の際に倒れきた家具などの下敷きになったり、割れた窓ガラスでケガをする可能性が低くなります。

 

 

地震から愛犬を守るための備え④ 迷子札やマイクロチップを装着する

迷子札をつける

地震の際、一緒に避難することができず、愛犬が行方不明になってしまったという事例は数多く報告されています。そこで重要になるのが、迷子札やマイクロチップなど犬の身元を示す情報です。

 

迷子札/マイクロチップをつける必要性は?

飼い主の連絡先を書いた迷子札やマイクロチップを首輪につけることで、災害時に愛犬とはぐれてしまった場合、どこかで保護された犬が「飼い犬」であることを証明でき、飼い主の元へと戻ることができます。

 

環境省の「東日本大震災における被災動物対応記録集(※)」によると、東日本大震災の際に動物救護施設に保護収容された犬のうち、飼い主が判明した割合が、首輪に迷子札をつけている犬の場合100%、鑑札・狂犬病予防注射済票をつけていた犬の場合も100%だったのに対し、迷子札をつけていない犬では0.5%のみだったという記録があります。

 

この数値からも、犬の飼い主の特定には何らかの所有者を明示するものを装着していることが必要です。外から見てすぐに身元がわかる迷子札と、確実な身分証明として機能するマイクロチップの両方を装着しておくことで、万が一愛犬とはぐれてしまっても再会できる可能性が高くなります。

 

マイクロチップを装着するときの注意点

マイクロチップを装着する際は必ず、住所や電話番号などの飼い主の情報とペットの情報をAIPO(動物 ID 普及推進会議)に登録してください。マイクロチップを装着していていても、AIPOへ登録されていなかったために飼い主が判明しなかった事例もあります。

 

※参考

環境省「東日本大震災における被災動物対応記録集


地震から愛犬を守るための備え⑤ 基本的なしつけを覚えさせておく

避難所では大勢の見知らぬ人と一緒に生活することになります。不必要に吠えたり、攻撃的になったりしないよう、普段から基本的なしつけを行っておきましょう。他人に友好的に接することができるようにしつけておくと、犬自身のストレス軽減にもつながります。

 

教えておいた方がいいしつけ

・「待て」「Stay」など…その場でじっとさせるしつけ

・「来い」「Come」など…呼べばくるようにするしつけ

・「Drop」「Leave」など…咥えているものを離すしつけ

・「静かに」「Calm」など…吠えているのをやめさせるしつけ


地震から愛犬を守るための備え⑥ キャリーバッグやケージに慣らしておく

ケージに入った犬

災害時には、キャリーバッグやケージに入れることが同行避難の条件になることも多いです。予期せぬ逃走を避けるためにも、災害時にキャリーバッグやケージに入れておける状態を作ることはとても重要です。普段から、ケージの中でも大人しくしていられるように慣らしておきましょう。

 

キャリーバッグやケージに慣らす方法

まずは、キャリーバッグやケージに興味を示すかどうかを確認してください。興味を示したら、ケージに近づいたり、鼻を入れたりしたときに、褒める、おやつをあげるなどし、「ケージに近づくといいことがある」と認識させます。

 

次に、ケージに入った状態でご飯を食べさせる練習を行います。次のように段階を踏みながら慣らしていきましょう。

 

1.頭・上半身がキャリーバッグやケージに入った状態でご飯を食べさせる

 

2.全身がキャリーバッグやケージに入った状態でご飯を食べさせる(扉は開けたまま)

 

3.全身がキャリーバッグやケージに入った状態でご飯を食べさせ、その途中で扉を閉じる

 

うまくできたら、たくさん褒めてあげることで「キャリーバッグやケージに入るといいことがある」と学習し、入ることを嫌がらなくなります。

 

 


地震から愛犬を守るための備え⑦ 犬の健康管理

犬の健康管理も災害時の対策のひとつに挙げられます。普段から以下のようなことに気を配りましょう。

 

普段から愛犬の健康状態を把握しておく

地震を体験したことによる恐怖や、避難所での生活など環境の変化が原因となり、災害時に体調を崩す犬は数多く認められます。その体調の変化が、地震の影響なのか、持病やその悪化によるものなのかを判断するためにも、普段から愛犬の健康管理をしっかりと行い、健康状態を把握しておくことが大切です。継続投与・摂取が必要な薬などがあれば、非常時に持ち出せるよう準備しておきましょう。

 

不妊・去勢手術を済ませておく

避難先で発情期が来ると、犬の行動をコントロールするのが難しくなります。夜に遠吠えをするなど、周りの避難住民に迷惑がかかる行動をとってしまうケースも多々あります。また、避難中に生殖器関連の疾病が発生すると、その管理に非常に苦慮することになります。こうした様々なリスクを最小限に留めるため、不妊・去勢手術を済ませておくことが重要です。

 

各種ワクチン接種を済ませておく

狂犬病の予防接種は、避難の有無に関係なく、犬の飼育者が飼い犬に接種させておかなければならないワクチンです。必ず接種しておきましょう。その他の混合ワクチンは、避難所や保護施設などでの生活になった場合に、犬自身の健康を守るためだけでなく、他の犬に病気を伝染させないためにも接種しておくことが求められます。

 

地震から愛犬を守るための備え⑧ 共助のため飼い主同士のネットワークを作っておく

緊急時に飼い主同士や近所の人が連携してお互いに助け合えるような良好な関係を築いておきましょう。日頃からコミュニケーションをとる、飼育マナーに気を配る、防災について話し合っておく、飼い犬を把握してもらうことなどが、共助のネットワークを機能させる上で重要です。

地震から愛犬を守るための備え⑨ 家族で防災会議をしておく

家族でも防災会議を行い、地震が起こった時の対応について、様々なケースを想定して話し合っておきましょう。以下の点について確認し、認識合わせをしておくことが大切です。

 

・家族間の連絡方法や集合場所の確認

・犬の避難方法や役割分担

・飼い主が留守中の対処法と協力体制

・緊急時の犬の預け先の確保

・備蓄物資の保管場所と中身

 

犬の預け先は複数確保しよう

飼い犬の一時預け先については、親戚や友人など複数探しておくことが望ましいと言えます。特に大型犬を飼っている場合や複数飼いをしている場合には、避難所での受け入れが難しいこともあるので、必ず一時預け先や飼養管理を検討・準備しておきましょう。

地震から愛犬を守るための備え⑩ 犬と避難訓練に参加する

地震で避難指示が出た場合などに備え、住んでいる地域のハザードマップや防災計画を確認しておきましょう。地域で実施している避難訓練に愛犬を連れて参加し、地域住民と避難方法や避難所での対応を話し合うことも大切です。また、家族単位で愛犬を連れて避難所へ行く訓練を自主的に行い、所要時間や危険な場所などを把握しておくことで、避難時の安全性を高めることができます。