死なない、死なせない! リアルな被災現場を熟知した防災と救命のプロに聞く、人とペットの【地震対策】

死なない、死なせない! リアルな被災現場を熟知した防災と救命のプロに聞く、人とペットの【地震対策】

立岡伸章(救急救命士)

立岡伸章(救急救命士)

専門分野は救急救命学・防災学・災害レジリエンス・消防団研究。大学ではペット防災についての研究や、リアルな災害現場を再現した環境でのペット同伴避難訓練などを行う。

地震で家具の下敷きになった犬や猫を、あなたは助けられますか? 
防災グッズの準備だけでは、意味がありません。

「ペット防災は本当に役立つ情報が少ないと感じます。昨今、ペットを含め様々な防災セミナーが開催されていますが、災害現場での活動経験がない方が、講師をしていることも多いです。」
そう警鐘を鳴らすのは、救急救命士でペットセーバーの立岡伸章さん。

立岡さんは元々、救急救命士の国家資格を持ち、埼玉県内の消防本部で消防士として活躍していました。消防時代には、“犬が川に落ちているから助けて欲しい”といった通報があれば、市民サービスの一環ととらえて、積極的にレスキューに向かっていたといいます。

なぜ、人命救助のプロである立岡さんが、ペットにも力を入れるのでしょうか?

「私は大の愛犬家です。レスキュー現場ではどうしても人命が優先になりますが、ペットも大切な家族の一員である以上、人の命との優劣はつけるべきではないと思っています。」

そんな立岡さんは、ペットの救命救助法を学ぶため、アメリカ獣医師学会のガイドライン、FEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)、Ready.gov(アメリカ合衆国国土安全保障省)のエビデンスベースで作成されたぺットの救命救助法(一般社団法人日本国際動物救命救急協会主催)を学び、現在はペットセーバーのインストラクターとしても活躍しています。

災害が忘れた頃にやってくるというのは、真っ赤な嘘です。災害は毎年、どこかで必ず起きています。我が家だけは災害に遭わない、想定内の災害しか起きない、ということは絶対にあり得ません。ペットの命を守れるのは、あなただけです」

大地震に備えて、まずは何をすれば良いのでしょうか?
最愛の家族である犬・猫の命を守るために、私たちにできることは?
災害現場を熟知した、防災と救命のプロに詳しく話を聞きました。

目次

  • ・ 【震災時の心得】自分が無事でいないと、ペットも助けられない
  • ・ 【ペット同行避難の現実】避難所は、動物が嫌いな人もいる
  • ・ 【家で揺れたら】リビング、トイレ、お風呂、ベランダで被災したら 
  • ・ ペットを守る部屋づくりとは? 飲み水やリードは複数用意!
  • ・ 【外で揺れたら】街中、エレベーター、駅、電車で被災したら
  • ・ 【NG行動】絶対にやってはいけない大地震後の行動
  • ・ 【安全確認】揺れがおさまった後の確認手順
  • ・ 【火事】逃げる目安と消火の方法
  • ・ 【停電】人もペットも夏は熱中症、冬は低体温に注意! 現金の準備を
  • ・ 【車中泊】リスクを知って安全に! 一酸化炭素中毒やエコノミークラス症候群に要注意
  • ・ 【ペットの救助】車に閉じ込められたら
  • ・ 【ペットの救助】倒れた家具の下敷きになったら?
  • ・ 【ペットの救助】包帯の使い方
  • ・ 【ペットの救助】止血の方法 人獣共通感染症に注意 
  • ・ 【ペットの救助】やけどの応急処置
  • ・ 【ペットの救助】熱中症・低体温
  • ・ 【防災グッズ】プロが選ぶ人とペットの持ち物
  • ・ 【今日からやること】チェックリスト
  • ・ 3.11 東日本大震災を経験して

【震災時の心得】自分が無事でいないと、ペットも助けられない

大地震がきたら、愛犬・愛猫のことが、とても心配ですよね。しかし、皆さんが無傷で生きて助からなければ、ペットを助けることは、絶対にできません。まずは自分の無事を第一に考えてください。それが結果として愛する犬猫のためになります。


また、ペットがいる家庭は、自分以外の命も守らなければなりません。避難のハードルは、高齢者や障害者、妊婦さんや小さいお子さんがいるご家庭と同じと考えて、早めの避難が必要です。

それから、災害時はSNSなどでデマ情報も多く出回ります。情報収集は安心できるではなく信頼できることを軸にして、公的機関や信頼できるサイトから取得することを心がけましょう。

避難場所でもペットの安全な飼養環境を守るために

避難場所でもペットの安全な飼養環境を守るために

愛犬・愛猫の安全を守るのは、飼い主の責任です。避難生活を送る場所で、安心な環境をどのように守るのか、具体的に考えてみましょう。

 

  • 避難所

各避難所が定めたルールに従い、飼い主が責任を持ってお世話をします。環境の維持管理は、飼い主同士の助け合いや協力が必要です。ペットも慣れない場所でストレスを感じ、心身の不調につながることが考えられます。こまめに様子を見て、少しでも不安を軽減できるよう心がけましょう。

 

  • 自宅

まずは、自宅の安全確認を確実に行いましょう。食料・飲料・生活必需品などの備蓄は、最低3日分、できれば7日分を準備しておきましょう。また、支援物資や情報は、必要に応じて指定避難所などに取りに行く必要があります。

 

  • 車中避難

ペットだけを車の中に残す時は、車内の温度に注意し、十分な飲み水や食料を用意しましょう。また、長時間車を離れるような場合には、ペットを安全な場所に移送させてください。支援物資や情報は、必要に応じて指定避難所などに取りに行く必要があります。

 

  • 誰かに預ける

自宅周辺が被災しても、親戚や知人宅は安全かもしれません。万が一に備えて、誰かに預けられるのかも検討しておきましょう。施設に預ける場合には、条件や期間、費用などを必ず確認します。後でトラブルにならないよう、預かり覚書などを取り交わすことも大切です。

【ペット同行避難の現実】避難所は、動物が嫌いな人もいる

国はペットとの同行避難を原則としています。しかし、残念ながら、避難所の中には動物が苦手な人もいて、断られることも少なくありません。

実際、熊本地震の避難者に対して、避難所へのペット同伴について聞いたデータでも「ペットを避難所内には入れてほしくないと思う」が 35.5%となっています。(内閣府「平成28年度 避難所における被災者支援に関する実例等報告書」p.96)

内閣府「平成28年度 避難所における被災者支援に関する実例等報告書」
内閣府「平成28年度 避難所における被災者支援に関する実例等報告書」より

 

入れて欲しくないと思う理由については、

内閣府「平成28年度 避難所における被災者支援に関する実例等報告書」
内閣府「平成28年度 避難所における被災者支援に関する実例等報告書」より

 

  • 臭いが気になる 79.9%
  • 鳴き声や音が気になる 77.6%
  • ペットアレルギーが心配 56.7%
  • 動物が怖い 23.9%
  • 動物が嫌い 18.7%

 

という意見がありました。

このように、動物が好きな人ばかりではありません。前もって避難先は複数検討しておきましょう。また、日頃から呼び戻しや待てなどの、公共施設でマナーを守るためのコマンドを練習したり、飼い主が犬の興奮を静止できるようトレーニングしておくことも大切です。

万が一、ペット可のはずの避難所に断られても、その場で言い争いをしている余地はありません。まずは、みなさんの安全を最優先に。全てが落ち着いてから市役所に報告しましょう。

また、「避難とは難を避けること」です。必ずしも、避難所に行くことだけが、避難ではありません。安全が確保できれば、自宅や車で避難生活を送ることも考えてOKです。

【家で揺れたら】リビング、トイレ、お風呂、ベランダで被災したら 

それではまず、飼い主であるみなさんが、無事に助かるためのシミュレーションを始めましょう。

 

家の中では、家具が倒れたり、いろいろなものが落下し大変危険です。阪神淡路大震災では、室内の怪我の原因の75%が、家具等の転倒落下と飛散したガラスによる負傷で占めています。

日本建築学会「阪神淡路大震災 住宅内部被害調査報告書」/総務省消防庁HPより
日本建築学会「阪神淡路大震災 住宅内部被害調査報告書」/総務省消防庁HPより

 

 

大きな揺れの時は、まず身の安全

 

地震が来たら、まずは出口の確保と火元の確認と聞いたことがあるかもしれません。しかし、大地震ではまともに立っていることすらできません。

最近の都市ガスやプロパンスガスは、震度5程度の揺れを観測すると自動的にガスの供給が止まる設定になっているものが多いので、大きな揺れの時は、火元よりも身の安全を優先してください。

それでは、家の中の具体例を挙げて考えていきましょう。

【家で揺れたら】リビング、トイレ、お風呂、ベランダで被災したら

  • リビングにいたら

すぐにテーブルの下などで頭を守りましょう。この時、必ずテーブルの脚を持って支えてください。脚を持たないとテーブルだけが移動し、落ちたり倒れてきたもので怪我をします。近くに座布団やクッションがあれば、それで頭を守ることも有効です。

揺れを感じたら頭を守る

  • キッチンにいたら

食器などが落下・散乱し大変危険です。冷蔵庫は、揺れによって扉が勢いよく飛び出してきて、怪我をすることもあります。頭を守れるテーブルの下などに急いで移動しましょう。

 

※揚げ物中のNG行動

揚げ物の調理中は、慌てて水をかけると爆発的に炎上し、火のついた油が飛び散って大火傷します!注意してください。消火器やエアゾール式簡易消火具を準備しておきましょう。

 

  • お風呂にいたら

浴室内はタイルや鏡が割れて飛び散ることもあり、大変危険です。すぐにドアを開けて、避難路を確保し揺れが収まるのを待ちましょう。かなり揺れていて、立っていることも難しいような場合には、ひとまず洗面器やお風呂の蓋などで頭を守ってください。

 

  • ベランダにいたら

建物の中でも構造が弱い部分のため、上の階のベランダごと落ちてくる可能性もあります。すぐに室内に入り、安全な場所へ。

 

  • トイレにいたら

歪んで扉が開かなくなると、閉じ込められます。まず、すぐに扉を開けてください。トイレは安全と聞いたことがあるかもしれませんが、一概に安全とは言いきれません。揺れで棚の中身が落ちてきたり、水栓タンクが外れたりすることもあります。


1階と2階、震災時に安全なのはどっち?

ペットと暮らす家の耐震は?

 

戸建ての家屋では、1階と2階どちらがより安全なのか? これは、家の構造や、家具配置によっても異なります。とはいえ、耐震性のある家に住んでいるなら1階、耐震性のない家なら2階にいる方がベターと考えます。


新耐震基準(1980年6月1日以降)を満たした建物、更に木造では2000年6月1日以降のものは安全性が高いと言われています。


ただし、新耐震基準を満たしていたとしても、絶対安心という訳ではありません。耐震性があったとしても、2階は1階よりも強く揺れます。家具が固定されていなければ、その分倒壊による事故リスクも高くなります。また、災害時は2階の方が逃げにくいので、その点にも注意が必要です。

ペットを守る部屋づくりとは? 飲み水やリードは複数用意!

先述したように、地震による負傷の多くは家具類の転倒・落下が原因です。家具の配置は次の5つのポイントで確認しましょう。

 

  1. 揺れる(倒れる)向きを考える
  2. 家具部屋を作る
  3. 作りつけの家具を使う
  4. 寝室やペットの留守番部屋には家具を置かない
  5. 家具を置く場合には、必ず固定する

 

基本は、家具を置かないことが一番良いです。置く場合には家具部屋を作るのがおすすめです。また、配置する際は、必ず倒れてくる方向を考えて、固定しましょう。

防災 ペットが留守番する部屋で注意すること

ペットが留守番する部屋には、家具を極力置かないようにします。また、いざというときカーテンはガラスの飛散防止に役立つので、閉めておきます。お水はこぼれる可能性があるので複数用意し、いつでも安全な場所(クレート)に自分で逃げられるようにしておきましょう。


リードは複数用意し、家のあちこちに置いておくことが、早く避難するのに役立ちます。また、ドアが歪んで開かなくなってペットが部屋に閉じ込められてしまうことを防ぐため、ドアストッパーを活用するのも良いでしょう。

 

【外で揺れたら】街中、エレベーター、駅、電車で被災したら

外ではつい足元にばかり注目してしまいがちですが、頭上にも注意してください。街中ではガラスや看板が落ちてくる危険性もあります。カバンなどで頭を守って避難しましょう。

【外で揺れたら】街中、エレベーター、駅、電車で被災したら

  • 道端にいたら

道端にいた場合、まずは姿勢を低くして頭を守ります。ガラスが割れたり落下物が多いような繁華街にいる場合は、鉄筋コンクリートの比較的新しい建物の中に逃げる方が安全かもしれません。

 

※電線からの感電に注意

倒れた電柱の近くは感電の可能性があるので、すぐに離れてください。揺れがおさまったら、公園や小学校の校庭など、近くの広くて安全な場所に避難しましょう。また、ブロック塀は崩れてくることがありますので、離れて歩いてください。

 

  • エレベーターにいたら

エレベーターは揺れを感じた瞬間、即座に止まるわけではありません。大きな揺れを感じた時点で、すぐさま押せる階のボタンを全て押してください。近くの階に停止したら、慌てて飛び出さず、階の状況をよく確認してから出るようにします。

 

もし閉じ込められてしまったら、無理やり扉をこじ開けたりするのは、体力を消耗する上に、事故につながる可能性もあります。非常用ボタンを押して、助けを待ってください。

 

  • 駅にいたら

揺れた拍子に転倒して、ホーム下に転落する可能性があります。白線の内側にいるようにしましょう。

 

※パニックに注意

地下鉄や駅のホームなど、たくさんの人がいる場所ではパニックが起きやすいです。群衆が一気に階段に押し寄せて、将棋倒しになったりします。特に、恐怖を感じる場面で、誰かの叫び声が聞こえると、人は感情的になってしまいます。

 

たとえ「こっちに逃げろ!」という声が聞こえても、声の主やその状況が信用できるかどうかはわかりません。一度落ち着いて、自分でよく周りの状況を確認することが大切です。

 

  • 電車に乗っていたら

急停車しますので、転倒しないようにつり革や手すりにつかまってください。また、荷台から何か落ちてくるかもしれませんので、カバンなどで頭を守ります。停車後は乗務員の指示に従いましょう。

新幹線も急停止する場合があります。座っていたら、前のシートに頭をつけて守ります。地下鉄も、震度5程度を感知すると止まります。電車であれば仮に停電しても、1時間くらいの間は非常灯がつきます。

 

車の中で被災したら? 降りる時にやること

もし車に乗っている時に大きな地震が来たら、急ブレーキは禁物です。ゆっくり減速し、ハザードランプをつけ、緊急車両が通れるよう左に寄せて停止します。停車する位置も、看板など上に落ちたり倒れてくるものがないか、よく注意してください。安全なところに止めたら、エンジンを切って、揺れがおさまるまで車の中で待機します。

高速道路にいる場合

高速道路は大変危険です。ハザードランプをつけて、前後の車に注意喚起を促しましょう。また高速道路は、1キロごとに避難経路が設置されています。避難する場合には、そこから徒歩で高速外に出ます

車から出て避難する際は、次のことをしましょう。

車から降りて避難する時の注意点

  • キーはつけたままか、運転席などの目立つところに置いていく(緊急車両が通る時に、車を移動する可能性があるため)
  • 窓を閉める
  • 車検証などの貴重品は持ち出す
  • 連絡先を書いたメモを見えるところに置いていく

 

犬と旅行中の被災も想定して!

もし、愛犬と一緒に車に乗っている時に災害に遭遇したら、そこから一緒に避難しなければなりません。ですので、車にも最低限の防災グッズを積んでおくことは必須です! 炎天下だった場合、避難するときに道路で愛犬が足の裏を火傷してしまいます。キャリーやスリング、犬用の靴などに慣らしておくことも大切です。

知らない土地に行く前に

馴染みのない土地で災害に遭わないという保証はありません。知らない土地に行く場合は、必ず事前の下調べをしましょう。

 

例えば

  • 宿泊先のホテルの耐震性や安全確認
  • その土地の地形(土砂災害や噴火のリスクがないかなど)の確認
  • 宿泊先近くの避難所や動物病院の確認(複数調べておくこと)
  • 初めて行く施設に着いた時には、必ず非常口の位置を確認

 

これらも、愛犬と安全な旅行をするために、必要な準備の一環です。

 

山間部にいたら

土砂崩れなどの自然災害も想定しておかなければなりません。キャンプなど、アウトドアにいく場合も地形や川の位置を確認しておいてください。地鳴りが聞こえたら、土砂災害の危険が迫っていると考えて、すぐに安全な場所へ。


震災時、近くに川や谷筋があったら、そこに対して直角に逃げて


もし、近くに川や谷筋があったら、そこに対して直角に逃げてください。土石流が流れ込んでくるからです。細い川であっても、急激に流れ込んでくるため大変危険です。もちろん、逃げた先に同じような地形がないかも、事前によく調べておきましょう。

【NG行動】絶対にやってはいけない大地震後の行動

大地震の時、揺れがおさまってからやってはいけないことが3つあります。

大地震の時、揺れがおさまってからやってはいけないこと

  • 火を点ける
  • ブレーカーを上げる(地震を感知すると自動的に落ちるブレーカーが大半ですが、自動的に落ちない場合は、火災の危険があるので必ず自分で落としましょう)
  • 裸足で歩く


これらは、火災や爆発、怪我をする危険がありますので、絶対にやらないでください。

【安全確認】揺れがおさまった後の確認手順

安全確認は、次の手順で行いましょう。

  1. 火元の安全
  2. 周囲の状況
  3. 避難経路
  4. 家族やペットの状況


【安全確認】揺れがおさまった後の確認手順

家の中では
火や煙、臭い、軋む音、温度、倒壊しそうなものなど、異変や危険がないかを確認し二次災害の予防に注意します。その上で、避難経路を確認してください。

外の様子が見られる場合は、
周囲の状況、道路の亀裂、電柱の倒壊や、電線の垂れ下がり、停電、火災の煙、津波、土砂崩れ、液状化、地割れなどの状況を確認し、犬も一緒に外を歩けそうな環境かどうか合わせて確認しましょう。

また、自宅から避難する場合には、次のことを忘れずにやりましょう。

 

  1. 電気のブレーカーを落とす(復旧時に通電火災が起きる危険も)
  2. ガスの元栓を閉める(復旧時にガス漏れを起こして爆発の危険も)
  3. 戸締りをする
  4. 家族にメモを残す

 

家が倒壊したら、罹災証明書が必要! 写真を撮ろう

万が一、家が倒壊するなどの被害にあったときは、写真を撮っておきましょう。災害により家が壊れてしまった、浸水したなどの被害にあったときは、税金や保険料等の減免や、損害保険の申請、建て直しなどにかかる資金の融資を受けるために「罹災証明書」が必要になります。その際、被害の事実を証明する必要があります。これはスマホで撮影した写真でも問題ありません。

【火事】逃げる目安と消火の方法

まず、天井まで火が届いたら、自分で消火は不可能と考えて、すぐにその場から避難してください。火が消火できる場合には、いくつかの消火方法があります。

 

  • 身近なもので冷却消火

火が小さければ、水、お茶、ジュースなどで冷却消火します。

 

  • 防炎カーテンなどで窒息消火

火が燃えるためには酸素が必要ですので、防炎カーテンや濡らした布を、燃えているものに覆いかぶせて消火することもできます。ちなみに自分の服に火がついた場合も、この窒息消火を応用し、その場に倒れて、両手で顔を覆い、左右に転がって火を消します。

 

  • 燃えているものを外に出す除去消火

家の安全を守るために、燃え移るものがなければ外に出してしまうのも一つの手です。

 

  • 消火器

消火器を使う場合、まず安全のために火元に対して風上側、7〜8メートルほど離れた場所に置きます。また使う際、必ず避難経路は確保しておいてください。

 

[消火器の使い方]

  1. 安全栓を引き抜く
  2. ホースを火元に向ける
  3. レバーを強く握る

思った以上に勢いよく噴射します。ホースの先をしっかり持って、向きが変わらないように注意しましょう。

【停電】人もペットも夏は熱中症、冬は低体温に注意! 現金の準備を

停電が起きると、次のような状況が想定されます。

 

  • 水を送るポンプが止まり、断水(水道・トイレ・お風呂が使えない)
  • エアコンが停止(熱中症や低体温症のリスクが高まる)
  • Wi-Fiが使えない
  • エレベーターが停止する(マンションの人は高所難民に)
  • 防犯カメラや消防設備などセキュリティが機能しない
  • 信号が消えて交通事故が多発、交通も混乱
  • 公共交通機関が停止
  • ガソリンスタンドの給油ポンプが使えず営業停止
  • 電子マネーやカード決済も利用不可、現金決済のみ

 

【熱中症を防ぐ】
人の場合は脇の下や内腿など、ペットの場合も頭部や首・脇などの太い血管がある場所を冷やします。氷嚢や保冷剤(ペットには肌に直接つけず、タオルに巻いて使用します)、叩くと冷える瞬間冷却材、冷却タオルなども有効でしょう。

経口補水液(人用)は水1リットル、砂糖40グラム(大さじ4と1/2杯)、塩3グラム(小さじ1/2杯)でつくることができます。

【低体温症を防ぐ】
人もペットもできることは一緒です。保温シート(エマージェンシーシート)は、絶対に持っておきましょう。その他、タオルや毛布をかぶる、ホッカイロを使う、カセットボンベ式のヒーターやストーブを使うなども有効です。

【車中泊】リスクを知って安全に! 一酸化炭素中毒やエコノミークラス症候群に要注意

「寒い冬でも車は暖房が効くから快適」なんて、思っていませんか?
車の排気ガスには、一酸化炭素が含まれています。雪の中でエアコンをつけていた場合、マフラーに雪が積もっていると、一酸化炭素中毒になる危険性があり大変危険です。


車中泊のリスク 一酸化炭素中毒

 

どうしても一時的にエアコンを使いたい時は、まず車の外に出て、マフラーに雪が積もっていないか確認し、周辺の雪をよく除雪します。また、窓を開けていれば安全とは限りません。周りの車がエンジンをかけていた場合には、窓から排気ガスが入ってくるため、同じリスクがあります。


冬の車中泊は車という箱がテント変わりになるだけで、エンジンは切るのがお約束。寝袋など、防寒具は必須です。また、広い駐車場などで車中泊をしている場合には、周りの車のエンジンにも注意を配りましょう。

エコノミークラス症候群に要注意

体の一部を曲げた状態で長時間過ごしていると、そこに血栓ができます。起き上がった拍子のその血の塊が起き剥がれて流れ、肺の血管に詰まることで、息苦しさや胸の痛みを引き起こしたり、最悪死に至るのが、エコノミークラス症候群です。

熊本地震では、震災が起きてから2ヶ月以内にエコノミークラス症候群で入院した51名のうち、42名が車中泊をしていたことがわかっています。(エコノミークラス症候群におけるKEEP受援マニュアル 2018年4月より)

車中泊のリスク エコノミークラス症候群

 

エコノミークラス症候群を防ぐポイントは3つ

 

  • こまめに水分補給する
  • 体を水平にして、曲げる箇所を作らない
  • 適度に体を動かす

 

水分を摂らないと血液がドロドロになり、エコノミークラス症候群になりやすくなります。また、ホルモンの関係で女性の方が血栓ができやすいためより注意が必要です。寝る前だけでなく、日中から水分を摂るよう心がけましょう。足の位置を枕などで少し高くすることも有効です。

車のペット閉じ込め事故に注意

ペットだけを車に残して離れるのにはリスクが伴います。車中でリードに絡まってしまう、勝手に窓を動かして首が挟まってしまう、中からドアロックを掛けてしまうといった事故を想定し、十分に注意しましょう。また、夏は数分で高温になり熱中症のリスクもあります。

【ペットの救助】車に閉じ込められたら

事故が起きないように十分注意しなければなりませんが、万が一、窓を割らなければならなくなった場合にどうするかも知っておきましょう。まず、緊急脱出用ハンマーや、窓ガラスクラッシャーを準備しておきましょう。

フロントガラスとリヤガラスは割れにくいため、側面ガラスを割ります。割る場合は、窓枠で固定された四隅の1ヶ所に緊急脱出用ハンマーなどで強い力を加えると簡単に割ることができます。

ペットの救助 車の窓を割る場合


ただし、他人の車の窓ガラスを割る行為は「器物損壊罪」に該当します。通りがかりの他人の車で放置されているペットを発見した場合は、周囲へ助けを呼び、手分けして関係者や警察への通報を行いましょう。

【ペットの救助】倒れた家具の下敷きになったら?

下敷きになっているのが人であってもペットであっても、基本的に対応は同じです。

まずは、椅子の背中、壊れたテーブルの脚など、近くにある丈夫な物を探して、持ち上げて引き出します。3センチくらい持ち上げられるものであれば、頑張って引き出し救助できることが多いです。


ある程度持ち上がったけど、どうにもならないといった場合には、ジャッキを使って持ち上げることができるかもしれません。自家用車をお持ちの方は、搭載されていると思うので、いざという時のために、使い方を確認しておきましょう。

パンタグラフジャッキの使い方

パンタグラフジャッキを持ち上げたい家具の下にセットする

ハンドルを時計回りに回す

 

【ペットの救助】包帯の使い方

首より上は伸びない包帯、それ以外の手足などは伸びる包帯

包帯には、伸縮するタイプとしないタイプがあります。伸縮するタイプは伸びる分、きつく巻けてしまい首や頭に使うと、圧迫の危険があります。伸びるものは手足等に、伸びないものは首より上と覚えましょう。

 

動物は痛い場所を触られるのを防ごうと、本能的に噛んでしまうことがあります。応急手当ての際に飼い主が怪我をしないよう、エリザベスカラーやマズル(口輪)を使用します。


次のように包帯で口輪をすることも可能です。

包帯を使った口輪の作り方

  1. 顎下から包帯(伸びないタイプ)を巻いて、マズルの上で一度クロスします
  2. もう一度顎下でクロスします
  3. 首の後ろで縛ります

 

窒息の恐れがあるので、鼻腔部分はきつく巻きすぎないようにしてください。また、首には2周以上巻きつけないようにします。

マズルの短い短頭種や猫の場合は、タオルなどで鼻から顎下まで全体を覆い、首の後ろで持つようにすると良いでしょう。苦しくないように適宜ゆるめながら様子を見て行ってください。

 

また、次のようなことはしないでください

  • 動物が嘔吐している時、痙攣している時、呼吸困難時に口輪をすること
  • 口輪をつけまま放置すること

【ペットの救助】止血の方法 人獣共通感染症に注意 

世の中には人獣共通感染症が存在します。血液、分泌物、排泄物、粘膜、損傷した皮膚など、ペットの体液に触れる場合、汗以外すべてに感染性があると考え、手袋をして処置しましょう。

【血が滲んでくるような、静脈性出血の場合】
ペットの止血法 直接圧迫

血液がつかないよう手袋を装着し、減菌ガーゼで傷口をしばらく圧迫することで止血します。この方法が最も基本的な止血法であり、多くの出血はこの方法で止血できます。

滅菌ガーゼがなければ、きれいなTシャツやハンカチ、生理用ナプキンなどでも圧迫止血が可能です。ティッシュは傷口にくっついてしまうので、使用しないこと。

【鼓動と連動してドクドク噴出する、動脈性出血の場合】
ペットの止血法 出血量が多いとき

まずは直接圧迫止血法を試みます。

それでも出血が止まらない場合は、傷口よりも心臓に近い位置を三角巾などで縛り、その間に棒などを入れ、回して止血します。出血が止まったらそれ以上きつくしめないようにします。ガラスなどが刺さっている場合は、抜かずに刺さったものが動かないように固定します。

【ペットの救助】やけどの応急処置

やけどをしている場合、消毒効果のある軟膏や消毒液を使用することはNGです。自己判断で患部に軟膏や消毒液を使用してしまうと、治療に支障をきたすこともあるので、冷やす以外の処置はせずにおくのが正解です。

まずはできるだけ早く水道水で十分に冷やすことが大切です。冷やすことでやけどによる痛みを和らげます。ただし、体の小さな犬猫は冷やしすぎると低体温症になりやすいため、冷やしすぎには要注意です。

ペットが火傷をした時の応急手当て

※冷やす場合は、直接患部に水道水を当てず、洗面器などに水道水を出しっ放しにし、溜まった水の中に患部を入れ、痛みがとれるまで十分に冷やします。

【ペットの救助】熱中症・低体温

熱中症の対応

急激に冷たい水などにつけると末梢血管を極度に収縮させ、かえって熱を発散できなくしてしまいますので注意してください。また犬や猫は、人間のように全身で水のような汗をかけないので風だけを送っていても体温を下げられません。

さらに、体に直接水をかけると、水はすぐに蒸発してしまいます。日陰や冷たい地面の上に移動し、タオルなどをかけて、その上から水(冷水や氷水はNG)をかけましょう。タオルは水を吸収して濡れたままになるので、冷たさが持続します。脇の下やお腹の部分まで冷やせると良いです。

ペットの熱中症 応急処置

低体温症の対応

低体温症になりかけている時は、足先やお尻・顔など、心臓に遠い場所からゆっくり温めます。ドライヤーなど急激に高温になる温め方は体への負担が大きいので注意してください。


ペットの低体温症 応急処置

【防災グッズ】プロが選ぶ人とペットの持ち物

大前提として、防災グッズの内容は、家族構成・住んでいる場所や環境・季節等によって必要なものが変化します。また、徒歩で避難する際、持っていけるものには限界があります。


緊急度が高い場合には、人もペットもとにかく命に関わるもの(食べもの、飲み水、生活必需品)を最優先にしましょう。通常の防災グッズとは別に、いざという時に最低限持って逃げるものだけをまとめたリュックを1つ作っておくのも手です。

人とペットの防災グッズ 緊急用 持ち出し例

今回は実際に、プロ目線で災害時に本当に役立つと思ったものを、ホームセンターのカインズで選びました。優先度別に紹介しますので、ぜひ準備の参考にしてください。

【人の防災グッズ】

優先度No.1

 

優先度No.2

 

優先度No.3

 

【ペットの防災グッズ】

優先度No.1

猫の場合は使い慣れた猫砂、または使用済み猫砂の一部

  • ペットの救急用品(包帯、ガーゼ、ビニール手袋、人工呼吸シート)
  • ワクチン証明書など(避難所で提示を求められることがあります)

 

優先度No.2

  • ペットと飼い主が写っている写真
  • 飼い主の連絡先とペットに関する飼い主以外の緊急連絡先
  • ペットの病歴やかかりつけ病院、与えている薬がわかるメモ
  • 迷子ポスター(WanQolオリジナルテンプレートはこちら

 

優先度No.3


いかがでしたか? 季節ごとや家族構成に変化があった時など、定期的に見直しをしながら、必要なものを考えてみてください。また、防災グッズは必ず買ったら一度開封し、必ず実際に使ってみましょう

【今日からやること】チェックリスト

今日からすぐに次のことをやってみましょう。

 

家でやること

  • 家具の向きと、固定をチェックする
  • 車のガソリンの残量をチェックする(できれば常に満タンに)
  • 私とペットに必要な防災グッズを揃える
  • 防災グッズを実際に使ってみる
  • あらゆるシチュエーションを想定し、避難や連携について家族と相談する

 

お散歩でやること

  • 避難所の候補をリストアップする
  • 候補先の避難所へのルートを複数考える
  • お散歩コースに、災害対応自販機があるかチェックする

3.11 東日本大震災を経験して

みなさんは、3.11のことをどれだけ覚えていますか?

 

わたしは、東日本大震災の時、すでに消防は退職していましたが、ボランティアとして真っ先に現場に入りました。現地に到着して最初に目にしたのは、瓦礫の山から人の手や足が飛び出しているような、想像を絶する光景です。

 

わたしはそこで、瓦礫の撤去作業や、避難所生活を過ごされる方々の健康管理支援を行いました。また、気仙沼市を拠点に、NPO法人がヘリコプターを運用して医療支援を行っていたのですが、わたしはそこで救急救命士としてヘリコプターに搭乗し、病院搬送などの医療支援を行いました。

 

わたしは、様々な災害現場で活動した経験から、「人」に対する支援はとても迅速でシステム化されていると思いました。しかし、ペットに目を向けると、まだまだ整備されていないのが現状です。それ故に、ペットは二の次になってしまう現実があります。

 

ペットも家族です。

 

だからこそ、今までの現場活動経験を通して、より多くの方に「人とペットの命を守るための本当に役に立つ防災の知識を伝えたい」、「もっとペットと一緒に安心して暮らせる社会をつくりたい」、「ペット避難所運営やペットの救命・救助ができるペット専門の救援チームを作りたい」と考えています。

 

私たちにとって犬や猫は、大切な家族の一員。絶対に一緒に無事で助かるために、今日からできることを、ぜひ真剣に考えてみてください。

 


関連リンク

この記事に関連するキーワード