犬は寒がり? 犬の寒さ対策と暖房の必要性について解説【獣医師監修】

犬は寒がり? 犬の寒さ対策と暖房の必要性について解説【獣医師監修】

全身を毛で覆われている犬でも、冬は寒いもの。ホットカーペットの上や暖房の前でくつろいでいる姿に、冬の訪れを感じる飼い主もいるのではないでしょうか。しかし、犬にとって安全で快適な「防寒」についてどのぐらい知っていますか? この記事では、本格的な冬を前に備えておきたい犬の寒さ対策について家庭動物診療施設の獣医師・吉田尚子先生の監修のもと解説します。

監修/吉田尚子先生(獣医師)

監修/吉田尚子先生(獣医師)
家庭動物診療施設・獣徳会で獣医師として勤務。NPO法人CANBE「子どものための動物と自然の絆」教育研究会理事、公益社団法人 日本動物病院協会(JAHA)理事、NPO神奈川子ども支援センター「つなっぐ」理事、滝川クリステル氏が主宰する一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル にてアドバイザーを務めている。

小児病棟や司法の場面で、動物福祉を重視したアニマルセラピーの調査研究に従事。いのちの犬介在教育を通して、子どもと犬の安全で幸せな関係を推進。犬猫の保護活動にも注力している。

犬に寒さ対策は必要なの?

犬の寒さ対策犬は全身を毛に覆われていますが、寒さに強いとは一概には言えません。犬にとって寒さ対策がどのように必要なのかを見てみましょう。

 

寒さに強い犬と弱い犬がいる

狼を祖先に持つ犬ですが、進化の過程で人の手が加わったことによって、今ではその種類も多種多様です。なので、一概に「犬は寒さに強い/弱い」と言い切ることはできません。しかし、例えば原種に近い遺伝子を持つ日本犬やシベリアン・ハスキー、サモエド、チャウ・チャウなどは、真冬の寒さに耐えられる冬毛があり、寒さに強いと言えるでしょう。

 

家庭で飼育されている犬の場合

この30年ほどで日本で飼育されている犬のほとんどが室内飼いになりました。本来ならば寒さに強いはずの犬種も、暖かい家の中で暮らすことで寒さに弱くなっていくかもしれません。快適な環境にいれば、それに体が馴染んでいくのでしょう。

 

犬の被毛と寒さの関係

犬の被毛の密度や毛質は、犬が寒さをどのぐらい感じるかに関係します。毛質が細かく密な被毛は、空気を含んで体を包み体温を閉じ込めます。この毛質は北方にルーツを持つ犬種にもよく見られ、さらに長くしっかりとした毛の2種類の被毛によって犬は寒さから身を守ってきたのです。

寒さに弱い犬種と寒さに強い犬種は?

前章をふまえて、現在の犬の中で寒さに弱い犬種と強い犬種と考えられるものを見てみましょう。

 

寒さに弱い犬種

トイ・プードル
チワワ
パグ
パピヨン
・ブル・テリア
・イタリアン・グレーハウンド
ヨークシャー・テリア
ミニチュア・ピンシャー

など、シングルコートや皮下脂肪が少ない、短毛といった特徴を持つ犬種は寒さに弱いと考えられます。

 

寒さに強い犬種

シベリアン・ハスキー
・サモエド

など、北方にルーツを持つ犬種の他、

 

・レトリーバー種
バーニーズ・マウンテン・ドッグ
・日本犬

など、ダブルコートでアンダーコートが密になる、大型で皮下脂肪が多い犬種は寒さに強いと言えるでしょう。

犬が寒がっているサインは?

実際に犬が下記のような行動をしていたら、寒がっているサインかもしれません。部屋の気温を調整したり、犬用湯たんぽやホットカーペットなどを使って暖を取れるようにしてあげましょう。

 

・小さく丸まる
・小刻みに震える
・毛布にもぐる
・ヒーターに近づく
・ずっと寝ている
を飲む量が少ない
・尿量が減る
散歩に行きたがらない
・お腹を触ると冷えている

室内での犬の寒さ対策のポイントは?

犬の寒さ対策愛犬が寒さで体調を崩さないようにするために、下記を参考にして犬が室内で快適に過ごせる環境を作ってみましょう。

 

犬が普段生活している部屋の気温をチェック

まずは犬が主に活動している部屋の気温を朝から夜まで記録してみてください。日中と朝晩では、どのぐらい気温が変わるか? 日中はどのぐらいまで気温が上がるか? その記録を元に、時間帯に合わせた寒さ対策を検討してみましょう。

 

暖房や寒さ対策グッズを活用する

エアコンやこたつなどの暖房は、人が寒くて利用することも多いでしょう。犬にとって安全な範囲でそれらを使いながら愛犬のための寒さ対策を整えてください。犬は人よりも床との距離が近いので、床からの冷えに強い影響を受けます。エアコンだけだと床が暖まらないので、ラグやホットカーペットを敷いたり、体を暖める犬用湯たんぽを併用するのもおすすめです。

 

加湿器を使い乾燥を防ぐ

暖房器具を使って部屋全体を暖める際は、加湿器も忘れずに使いましょう。空気が乾燥してしまうと、犬の粘膜も乾いてウイルスなどが体内に入りやすくなり、皮膚の弱い犬の場合は痒みや皮膚トラブルも起こりやすくなります。加湿器がない場合は、濡れタオルを干すなどして部屋の湿度を上げる工夫が必要です。その上で、暖かい空気と湿気を循環させるためにサーキュレーターなども一緒に使えるとより良いですね。

 

毛布は下に敷く

犬が寒そうに丸まっていると布団をかけてあげたくなりますが、寒さ対策を考えるならば、毛布は床に敷きその上に犬を寝かせてあげましょう。床からくる寒さを防ぐためです。

 

涼める場所も確保する

犬が暑く感じたときに、自分から涼みに行ける場所も忘れずに確保しておきましょう。あえて暖房をつけない部屋や冷たい床などを残しておくのがおすすめです。

犬の寒さ対策に暖房を使う際の注意点は?

家庭にある暖房器具を使う際は、下記のポイントに注意してください。

 

エアコン

設定は、20℃前後がおすすめ。温風が犬の体に直撃しないように風向きや風量を調整してあげてください。

 

ホットカーペット

部屋全体に敷き詰めず、犬が冷たい床で寝たいときに移動できるスペースを残しておきましょう。

 

こたつ

やけどや熱中症などのリスクなどがあるため、犬は布団の中に入れないというルールを作ってもいいでしょう。もし使う場合は、飼い主が常に犬の状態をチェックできるときにしましょう。最近ではペット用のこたつもあるのでそういったものを使用してもよいでしょう。

 

犬用湯たんぽ

水を入れるタイプで、カバー付きのものを選んでください。温度が高くなり過ぎないことが大切です。

 

ストーブ、ヒーター

犬が倒してしまうと、火傷や火災の原因となってしまいます。基本的に使用しない方がいいでしょう。

 

暑がっていたり体調に変化がないか、犬の様子に注意!

上記の暖房を使っている間に、愛犬がハアハア荒い呼吸をしていないか、体表を触った感覚がいつもと違わないかなどもこまめに確認してください。特に自分で体を動かせないシニア犬などは低温やけどや床ずれを防ぐために、こまめに姿勢を動かして様子を見てあげてくださいね。

 

暑さを避ける逃げ場を用意する

暑いときに犬が自分で涼みに行ける場所を用意するのも大切です。床の一角にすのこを置いたり、部屋を完全に締め切るのではなく熱源から離れられる道を残しておいたりするなどの工夫をしましょう。水をいつでも飲めるようにすることと、適度な換気も忘れないようにしてくださいね。

 

火事のリスクを考える

熱を発する暖房は、飼い主の目が届くときだけ使うようにしましょう。留守番中や夜家族が寝ている時間帯に使うと、犬がコードをかじってしまったり熱源に粗相をしたりした場合、火事に発展しても気づくのが遅れます。急な地震などの自然災害時にも、発火・引火のリスクがあります。寒さ対策を火事防止はセットで考えてくださいね。

子犬とシニア犬で寒さ対策はどう変わる?

犬の寒さ対策気温の変化に反応しにくい子犬とシニア犬にとって、寒さ対策はより重要です。それぞれの寒さ対策について気をつけるポイントを解説します。

 

子犬の寒さ対策

幼齢期のうちは体も小さく、被毛や皮下脂肪も未熟です。本来であれば、母犬や兄弟犬と体を寄せ合って体温の低下を防ぎます。そのため、秋冬あるいは寒冷地で朝晩の気温が低下する時期に、子犬を1頭で飼育する場合には十分な注意が必要です。こまめに様子を確認し、犬が過ごす空間やライフスタイルに合わせて適切な寒さ対策をしてあげましょう。

 

シニア犬の寒さ対策

シニア犬の場合は、適応能力や代謝が弱り、気温の変化への反応も鈍くなります。特に季節の変わり目や気温の激しい変化にも十分備えておきましょう。

犬の寒さ対策がきちんできていないと病気や怪我のリスクも

犬にとって快適な寒さ対策ができていないと、下記のような病気が悪化したり、怪我につながったりする危険もあります。よく注意して寒さ対策をしましょう。

 

泌尿器系疾患の悪化

もともと尿に結晶が出やすい、膀胱炎になりやすいといった犬の場合は、寒さによって飲水量と尿量が減ることで悪化しやすくなります。愛犬が水を飲んでくれないときは、ウェットタイプのドッグフードに切り替えたり、ドライのドッグフードに水を入れるなどして飲水量の確保を心がけてください。

 

呼吸器系疾患の悪化

家の中が乾燥していたり、屋外の冷えた空気を吸い込んだりすると、気道が刺激されて咳が出やすくなります。呼吸器系の疾患がある犬は特に注意が必要です。

 

関節疾患

寒さ対策が足りないまま過ごしていると、血行不良になって神経系の痛みや症状なども出やすくなります。家の中でマッサージをしてあげたり、少し体を動かせるような遊びができるとよいでしょう。

 

低温やけど

暖房器具を正しく使えていないと、長時間熱に当たることで低温やけどになってしまうケースもよく見られます。特に、動きや反応の鈍いシニア犬は注意が必要です。

 

心臓病の悪化

寒さによって血管が収縮してしまうため、寒い冬は循環系疾患のある犬にとってよりリスクが高まる時期です。特に、暖かい室内から急に寒い屋外に出るときは、体にストレスがかかるので、少しずつ温度に慣れさせるなど十分注意してください。

 

肉球の凍傷

雪の多い地方では、散歩時に、地面にまかれた融雪剤で皮膚に刺激が出たという話も耳にします。保護クリームや犬用ブーツなどを活用してください。犬がグッズに慣れるまでは誤飲などにも注意を。

 

肥満

寒いからと散歩に行かない日が続くと、肥満になりがちです。飼い主は、愛犬の運動量と摂取カロリーを意識した生活を心がけてください。散歩や遊びで体力と筋肉をつけること自体が、寒さ対策になります。愛犬の体調に問題がなければ、暖かい時間帯を狙って、愛犬にあった寒さ対策をして積極的に散歩にでかけてくださいね。

犬の散歩時の寒さ対策は?

犬の寒さ対策冬でも犬の健康を守るために散歩は大切です。散歩時の寒さ対策には、どのようなものがあるのか見てみましょう。

 

暖かい時間帯を狙う

室内と屋外の気温差は、犬の体に負担がかかります。なるべく温度差が少ない日中、太陽が出ている暖かい時間に出かけるのがおすすめです。

 

洋服を着せる

風や冷気から体をカバーする洋服を着せてあげるのは効果的です。犬の動きを妨げず、首回りや腰回りまでしっかりカバーできるものを選んでください。また、トイレもスムーズにできるかも洋服選びのポイントです。

 

シューズを履かせる

特に雪が降る地域では、雪はもちろん、地面にまかれた融雪剤から肉球を守るためにシューズを履かせるのもひとつの手です。

 

雪が積もる地域で気をつけたいこと

雪が積もる地域の場合は、散歩から帰ったら必ず体を乾かすようにしましょう。特にシニア犬や循環系疾患のある犬は要注意。雪の上を歩いたり、濡れた地面を歩いたりすると、体に水分が残ったままになり体温を奪っていきます。帰宅したらぬるいドライヤーなどで体を乾かしてあげましょう。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

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