賢い犬ランキングTOP5
カナダの心理学者スタンレー・コレン氏が1994年に発表した「犬種別知能ランキング」では、賢い犬種TOP5を挙げています。このランキングは「本能的知能」「適応的知能」「使役と服従」の3つの観点からそれぞれの犬を調査しています。1位から順番にTOP5の犬種の特徴を見ていきましょう。
1位:ボーダーコリー
牧羊犬としての歴史があり、指示の理解度や指示内容に対しての理解度を調べる実験で、さまざまな犬種の中でもトップの成績を収めたという結果を持っているようです。高い知能を活かしてアジリティなどのドッグスポーツでも活躍するため、非常に賢い犬種といわれています。
2位:プードル
元来、カモ猟として使われていた犬種で、その記憶力や学習能力は非常に優れているといわれています。近年だとサーカスでの場で活躍したり、警察犬として働いていたりする個体もいるようで、そこから知能の高さはかなり高いと考えられます。
3位:ジャーマン・シェパート・ドッグ
警察犬、軍用犬、麻薬探知犬など、難しい立ち位置での仕事もそつなくこなせる賢さを持っています。人間の指示を理解する速さと行動の精密さはあらゆる犬種の中でも群を抜いているといわれています。
4位:ゴールデン・レトリーバー
ゴールデン・レトリーバーはもともと狩猟犬として誕生した歴史を持ちますので、知能は高いと考えられます。近年では災害救助犬としても活躍しています。
5位:ドーベルマン
もともとはドイツで警備犬として作られた犬のため、厳しい訓練や護衛任務などにも耐えるとても賢い犬種といわれています。どんな分野でも活躍できる万能犬で、日本では軍用犬、警察犬、番犬としてさまざまな場面で起用されています。
犬の知能の高さってどのくらいなの?
賢さを考えた時に、つい人間と比較してしまいがちですが、当然犬と人間の脳のつくりは同じではありません。犬の知能は、どのくらいでどのような特徴があるのでしょうか。
犬と人間の脳の作りの違い
人間は大脳が発達していて、その中でも本能を抑える理性をつかさどる前頭葉が脳全体の30%程度を占めています。前頭葉の割合について犬は7%程度、サルは11.5%、猫は3.5%です。犬は嗅覚が非常に発達しているため、その匂いを元に本能的に行動を決める場合がありますが、それも脳のつくりの違いによるものです。
犬の知能を人間の知能と比較すると?
人間の言葉を165単語程度、また4~5つの数字までを認識できるといわれていることから、概ね人間の2〜3歳程度の知能を持っているといわれています。
犬にIQはある?
犬にもIQは存在します。基本的に犬の知能は人間の知能と同じように、それぞれの個体で異なる形で分布していて、当然ながら同じ犬種の中でも個体差が見受けられます。犬に向けてのIQテストも存在しており、例えば大きめのタオルを犬の頭の上に被せてみてからの反応を見たり、家具の配置を変えた部屋でもお気に入りの場所にスムーズに辿り着けるかと言った課題が実施されることがあるようです。
大型犬の方が小型犬よりも賢い?
一般の家庭犬に対して10種類程度の実験をしたところ、短期記憶のテストと自制心のテストについては脳の重量が大きい大型犬のほうが成績がよいという結果が出たことがあるようです。しかし、その他の実験については脳の重量と関連はありませんでした。大型犬のほうが小型犬よりも賢いとは一概には言えないと考えられます。
子犬の頃の訓練や刺激で脳は発達する?
生後2~3か月程度の時は脳が未発達状態ですので、この時期を過ぎてからしつけを始めることで、記憶力なども定着しやすくなると考えられます。
犬種内での知能の個体差はある?
前述しましたが、人間同様に同じ犬種内でも個体差はあるでしょう。犬種間での違いよりも個体差のほうが影響していると考えている方も少なくないようです。
犬が人間と共存する中で得た能力とは?
犬が人間と共存する中で得た能力として以下のものが挙げられるかと思います。どのように会得していて、どのようなシーンで活かされているのでしょうか。
人間の感情を読む
人の感情を読み取って、その時に合わせた行動をとれるような子もいます。感情を読むことが得意な犬は、セラピー犬として人の心を支えるお仕事をすることもあります。
飼い主の感情に寄せることができる
飼い主が嫌だ、苦手だと感じる人に対して同調して警戒する犬がいるように、飼い主に危険が迫った時などに守ろうという行動を起こすことがあります。
賢い犬の長所とは?
これまで賢い犬の特徴について述べてきましたが、賢い犬にはいくつか行動するうえでの特徴があります。飼い主がちょっと自慢したくなるような、愛犬の長所と言えるでしょう。
物覚えが早い
賢い犬は教えたことの理解が非常に早いです。トレーニングなどで教えたことをすぐに習得できる能力を持っていることがあります。
飼い主に従順
飼い主に対する信頼感を持っていて、かつ従順なので、しつけやトレーニングしたこともしっかりと最後まで守ることができる傾向にあります。
賢い犬の短所とは?
賢い犬には、長所がある一方で、賢いゆえの短所があります。以下で紹介する点は時に飼い主を困らせてしまうかもしれません。
いたずらや悪いことを覚えるのも早い
単に遊び好きの子もいますが、退屈したり、ストレスがたまったりするといたずらをしてあえて飼い主を困らせることがあります。賢い犬は、いたずらの方法など悪いことも覚えやすい傾向にあります。
飼い主を見て、自分が従うべき存在なのか判断する
愛犬が可愛いからと常にわがままを許していると、飼い主の言うことを聞かなくなるかもしれません。賢い犬はとくに飼い主の行動をよく観察しているので、格下と見た場合は指示に従わなくなってしまう場合があります。
賢い犬を飼う場合の注意点
犬は最初から人間に対して従順なわけではないので、正しいトレーニングをしてしっかりと主従関係が築く必要があります。犬が飼い主を「自分が従うべき存在」と認めなければ、主従関係はいつの間にか逆転し、わがままな子に育ちかねません。賢い犬は、飼い主を見て「自分が従うべき存在なのかな?」と常に考えているのを忘れないようにしたいものです。また、一般的に賢い犬種はしつけをしやすいものですが、賢いがゆえに飼い主の指示に矛盾点があったりするとすぐにそこに気付いて混乱してしまう傾向があります。飼い主は一貫性のあるしつけや対応を心がけるといいでしょう。
専門家の コメント:
犬種によってそれぞれの賢さや個性がありますが、犬は基本的に賢い動物と言って良いでしょう。きちんとしたトレーニングを行い、コミュニケーションを取ることで、人間の感情を理解し、心を支え合える犬に成長します。その一方で、賢い犬は育て方を間違えると、悪い事を覚えたり、わがままになってしまったりする可能性もあります。主従関係を意識しつつ、しっかりとしたしつけを行いたいものですね。