チャウチャウには大型犬によく見られる病気や、被毛や顔の構造による影響でかかりやすい病気があります。
熱中症
被毛が密であるため、体の熱を逃しにくく熱中症になりやすい傾向にあります。気温が高い時間帯の散歩は控えたり、散歩時に保冷剤やファンなどを用意して体の熱を逃がしてあげたりすると良いでしょう。
眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)
瞼が内側に巻き込まれ、まぶたのふちが眼球に接してしまうことによって、流涙、角膜の傷、粘膜充血などの症状が出てしまいます。予防法はなく、目薬で対症療法を行います。また、あまりにも症状がひどい場合は外科的治療が検討されます。
鼻腔狭窄
短頭種に多い疾患で、鼻腔が狭くなっていることによって空気の通りが悪く、ちょっとした運動や気温の上昇で、息が荒くなり呼吸促拍(こきゅうそくはく)が見られてしまう疾患です。鼻腔狭窄があることによって、熱中症も起こりやすくなります。体のつくりによるものなので予防方法はありませんが、外科的手術で鼻腔を広げるなどの治療を行うことができます。
軟口蓋過長(なんこうがいかちょうしょう)
硬口蓋から後方に伸びた軟口蓋と言われる部分が通常よりも長いことによって、呼吸が妨げられて起こる呼吸器系疾患です。短頭種によくみられる疾患で、短頭種症候群の一つと言われています。症状がひどい場合には手術を行い、軟口蓋を切除します。
股関節形成不全
関節部分の骨の変形によって、股関節がかみ合わなくなることで起こる疾患で、痛みから運動をしたがらなくなります。歩くときにお尻が左右に揺れる(モンローウォーク)などが見られるのも特徴です。遺伝による要素が大きいといわれていますが、肥満などによっても悪化することがあります。予防は難しく、軽い症状であれば内服薬を用いた理学療法などを取り入れたりしますが、症状が重い場合には手術で骨頭切除を行ったりします。
皮膚病
左右対称脱毛を起こす成犬型成長ホルモン反応性皮膚病になりやすい犬種とされています。そのほかにも顔に深いしわがありますので、皴壁性(しゅうへきせい)皮膚炎なども起こしやすいです。こまめにブラッシングをすることで皮膚の異常に早く気付くことができ、早期治療が行いやすくなります。
監修/林美彩先生(獣医師)
chicoどうぶつ診療所所長
酪農学園大学卒業
獣医保健ソーシャルワーク協会、獣医ホリスティック医療研究会所属
大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。テレビ番組への出演・協力のほか、「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)、「獣医師が考案した一汁一菜長生き犬ごはん こだわりの安心レシピ&作り置きOK! 」(世界文化社)などの著書がある。林先生が執筆された著書の紹介ページはこちら。
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