子犬がキャリーバッグを嫌がる!?慣れさせるコツと正しい入れ方、注意点などを解説【獣医師監修】

ヤマザキ動物看護大学准教授。博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う

子犬がキャリーバッグを嫌がる!?慣れさせるコツと正しい入れ方、注意点などを解説【獣医師監修】

子犬との移動を快適にするためにキャリーバッグの使用を考えた飼い主は多いのではないでしょうか。しかし、使い方やお手入れの仕方を誤ると、犬の健康を損なう危険性があります。今回は、正しいキャリーバッグの扱い方などについて動物行動学を研究する獣医師の茂木千恵先生にお聞きしました。

子犬の頃からキャリーバッグに慣れさせるとどんなメリットがある?

子犬がキャリーバッグを嫌がる!?慣れさせるコツと正しい入れ方、注意点などを解説【獣医師監修】子犬の頃からキャリーバッグに慣れさせるとさまざまなメリットがあります。どんなメリットがあるのか具体的に見ていきましょう。

愛犬の健康維持に役立つ

例えば、犬の具合が悪くて動物病院に行こうとする時に、キャリーバッグに入れようとしても暴れてしまっては病院へいけなくなってしまいます。また、体調が悪い時に暴れると、さらに体力を消耗してしまうでしょう。そんな事態を防ぐために子犬の頃からキャリーバッグに慣れさせることで、スムーズに診察を受けさせることができ、万が一の際にも健康維持を図ることができます。また、動物病院への通院時、キャリーバッグを用いれば、待合室で他の動物と触れ合わずに過ごさせることができ衛生的です。

災害時、同行避難する時に役立つ

キャリーバッグにおとなしく入っていられる犬は車だけでなく、飛行機、電車、新幹線といった公共交通機関での同行が可能で、災害時にも同行避難が可能になります。

子犬をキャリーバッグに慣れさせる方法は?

では、どうやって子犬をキャリーバッグに慣れさせていけばいいのかを見ていきましょう。

子犬をキャリーバッグに入れるのに必要なしつけ

子犬にキャリーバッグに入らせるには、それまでにまず「おいで」「ふせ」「まて」ができるようになっておくと良いでしょう。犬が飼い主の号令に従えば褒めてもらえることが分かっている場合、不安は最小限で抑えられます。

子犬をキャリーバッグに慣れさせる方法

まず、キャリーバッグを子犬の目に付くところに置いていつでも探索できるような状況を作るところから始めます。次に、ほぼすべての犬が好きな食べ物を使ってキャリーバッグに対する印象を良くしていきます。具体的には以下のような方法をとると良いでしょう。

キャリーバッグの中で食事やおやつを食べさせる

まずは、キャリーバッグの前に容器を置いて食事やおやつを食べさせましょう。その後、徐々に容器をキャリーバッグの中に入れていき、最終的にバッグの中で食べさせるようにします。

キャリーバッグの中でおもちゃ遊び

キャリーバッグの中におもちゃを入れてから子犬を入れ、遊びだすのを待ちます。「キャリーバッグの中で楽しいことがある」とわかれば、キャリーバッグへの抵抗感がなくなります。

子犬をキャリーバッグに入れる正しい手順は?

子犬がキャリーバッグを嫌がる!?慣れさせるコツと正しい入れ方、注意点などを解説【獣医師監修】キャリーバッグに慣れさせた後は、子犬をキャリーバッグに入れる正しい手順を知っておきましょう。

1.入れる前に故障などがないかバッグの隅々までチェックする

製品として販売されている以上、破損等はあまり考えられませんが、返品や交換の必要があるかもしれないので、いきなり犬に見せたり使おうとしたりしないでください。また、購入する前にちゃんと希望したサイズかどうか、使おうとしている場所にフィットするかを確認しましょう。

次に、チャックなど使用頻度の高い箇所が壊れにくい構造であるかどうか、仮に壊れた時でも犬に重大な被害が起こらないかどうかなど、細かなところもチェックします。縫製のされ方によっては犬が中に入った時に擦れやすい箇所が飛び出したままの場合もありますが、そのままにしておくとけがをしてしまう可能性も。犬が中に入った時に擦れやすい部分が無いかどうかなど、安全性を確認すると良いでしょう。

2.バッグの底にタオルなどを敷く

犬は自分や飼い主の匂いがついているものは基本的に安心できます。日頃から使っていて、すでに匂いがついているタオルなどを敷くことをおすすめします。キャリーバッグに入れる前にタオルの上で「ふせ」「まて」の練習をしておくのも良いでしょう。

3.必ず頭からバッグに入れる

犬にとって嗅覚が何より大切です。鼻先がバッグの中を探索できるように頭からバッグに近づけていきましょう。抱き上げないと入れられない構造のバッグでも、犬が自分で中の臭いを嗅げるようにすると良いでしょう。

子犬をキャリーバッグに入れる際に注意すべきこと

次に、子犬をキャリーバッグに入れる際に注意すべきことをご紹介します。

絶対に無理やり押し込めない

犬はキャリーバッグのような狭い場所が基本的には好きですが、嫌がっているのに無理やり押し込むと、キャリーバッグが愛犬にとって嫌な場所になってしまうこともあります。前述したように、愛犬が自分から入りたくなるように飼い主が演出することが大切です。

叱ったり、疎外感を感じさせたりするのはNG

愛犬にキャリーバッグに入ることは怖いことだと感じさせないように、キャリーバッグに入っている間は叱ったり、疎外感を感じさせたりするのはやめましょう。

キャリーバッグから出たタイミングで過度に構わない

キャリーバッグから愛犬が出てきた時にはリアクションをしてしまいがち。そうすると、愛犬が「外に出たほうが気にかけてもらえる、ほめられる」と、勘違いしてしまうおそれがあります。ほめるのは、愛犬がキャリーバッグに入ろうとしているタイミングにしましょう。ごほうびのおやつもキャリーバッグの中でおとなしくしている時にチャックの隙間などから与えましょう。

子犬がキャリーバッグに入るのを嫌がる時はどうすればいい?

子犬がキャリーバッグを嫌がる!?慣れさせるコツと正しい入れ方、注意点などを解説【獣医師監修】子犬がキャリーバッグに入るのを嫌がった場合にどうすればいいのかご紹介します。

慣れるまで気長に待つ

子犬が活発に動きたいと思っている時間帯にキャリーバッグに入れるのは行動を制限することになり必然的に欲求不満が高まります。こういう時に無理矢理入れると「嫌なことがあった」「嫌な場所だ」と誤って認識してしまいます。まずは、少しずつキャリーバッグに慣れさせていきましょう。

 

慣れさせるためには眠そうな時に誘導する、自分から入ろうとするまで無理に入れない、自由に出られるようにしておくといったことがおすすめです。次に、キャリーバッグを閉じて、持ち上げるというステップへ移りましょう。ほんの数センチ持ち上げたら下ろします。キャリーバッグに入れて車に乗せて出かけることが最終目標であったとしても、このようにして少しずつステップアップさせていくことで嫌いにさせずに進歩できるでしょう。

中に入ったらたくさん褒めておやつをあげる

おやつを使って誘導した場合には、中に入ったら追加のおやつをあげてみましょう。先に紹介した方法と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。

子犬がキャリーバッグの中で粗相してしまったら?

基本的に、キャリーバッグにトイレシートは敷きません。目を離している間に犬がトイレシートを破って食べたら、腸閉塞等の緊急手術が必要な状態になる危険があるからです。ただし、過度に緊張した時などにキャリーバッグの中で排便してしまうことがありますので、汚れてもふき取りやすいような素材が安心です。キャリーバッグにタオルやブランケットなどを敷いておくと取り替えられるので便利です。

 

子犬は3か月齢位になると12時間の尿意は我慢できるようになります。それでも、キャリーバッグに入れる前になるべく排泄させておきましょう。遠出もする際も休憩を2時間おきにとるようにして、キャリーバッグから出してあげた時に持参したトイレトレーを使って排泄をさせるとスマートです。

子犬用のキャリーバッグの正しい選び方とは?

子犬用のキャリーバッグを選ぶ際に押さえておきたいポイントがあります。どういった点に気を付けて選べばいいのか見ていきましょう。

サイズに気を付ける

犬の体格にフィットするようサイズは慎重に選んでください。小さすぎると夏場に熱中症の心配が起こります。また、不自然な体勢で長時間過ごすと居心地の悪さからキャリーバッグを嫌がるようになることも懸念されます。

 

一方、キャリーバッグのサイズが大きすぎると、移動中に体が安定せず不快を感じる場合があります。また、中で動き回れると代謝が活発になり、尿意や便意が起こりやすくなるという欠点もあります。犬の脇の片方がバッグの側面に接していて必要に応じて体勢を変えられるくらいの余裕があるのが最適です。大型犬の場合は、成長にあわせて買い替えることを計画したほうが良いでしょう。

持ち運びやすさを意識する

キャリーバッグの持ち手は意外に大きすぎたり、小さすぎたりします。また、犬が入るとバッグはとても重たくなります。それを長時間持ち続けられる形状なのかは購入前によく考えましょう。

使用用途に合ったものを選ぶ

使うシチュエーションをしっかりイメージしましょう。同行避難で使いたいのであれば、両手はふさがれないような形状が良いでしょう。他にも持ちたいものがあるはずです。車での外出を想定している場合は座席のサイズに合うことなども重要です。

安全性が高いものを選ぶ

犬が起こしがちな「かじる」「ひっかく」「吠える」といった行動が起こったとしても、犬の安全が確保されるような形状を選びましょう。簡単に壊れるもの、犬が出てこられるもの、空気の出入りが少なく、密閉されてしまうものなどは避けてください。

通気性が良いものを選ぶ

夏場は車内が高温になりますし、車酔いをする犬もいます。そのため、通気性が確保されているキャリーバッグを選ぶと良いでしょう。また、「吐く」「粗相する」といった不測の事態などで愛犬が窒息してしまわないよう、通気口が確保されているデザインがおすすめです。一方で、通気性が高い素材は破れやすいこともあり、移動中に犬が放り出されてしまう危険性もあります。しかし、現在では安全性を確保しつつ通気性に配慮されているデザインも多く出ていますので、そのような観点で作られたものかどうかを調べてみると良いでしょう。

子犬用キャリーバッグの種類

子犬がキャリーバッグを嫌がる!?慣れさせるコツと正しい入れ方、注意点などを解説【獣医師監修】子犬用のキャリーバッグにはさまざまな種類があります。形状ごとにそれぞれの特徴を知っておきましょう。

クレート型

周囲の壁が強化プラスチック製でできていて外からの圧に対して強く、中の空間が維持できる形状です。自立することができ、床など平らなところであれば長時間そのまま置いておくことができます。すべての犬種に適しています。

ショルダー/トートバッグ型

肩や腕にかけて運ぶことを目的とした形状で、周囲の壁の素材によって自立するものと自立できない物に分かれます。体にかけて運ぶことが目的のバッグですから、5キロ未満の体重の犬に適しています。

リュック/スリング型

リュック型は背部に背負うための取手が付いていて長方形をしています。表面の素材が立体的な構造を持つように比較的しっかりとした作りで、平らな床面に置いても自立する物が多いです。肩にかける目的のため体重は上限があり、8キロ未満の動物が対象です。

 

スリング型は一枚の布で作られていて、動物を入れて体にクロスさせるように布を肩にかけるタイプです。バッグ自体が軽く、折りたためるため持ち運びが容易ですが、構造を維持する形状ではなく、動物の体に素材が密着しているため、不快を感じた時に体の位置を自分で調整することが難しいという短所もあります。おもに超小型・小型犬のために作られています。

カート一体型

ペットカート、車輪がついていて動物を乗せて押すことで移動できるタイプのケージに取り付けられる形状です。必要に応じてカートから外して持ち運ぶことも可能です。しっかりとした構造で床面に置いても自立できます。横からの出入りを想定してないため、犬が自発的に中に入るのは容易でないことが多いです。また、車のシートに設置することができるような製品もあります。

子犬用キャリーバッグの正しいお手入れ方法とは?

素材によってお手入れ方法は少し異なりますが、どんなキャリーバッグも汚れがこびりついてしまうと掃除するにも時間がかかってしまいます。なので、使用後はすぐに掃除するようにしましょう。

 

プラスチック製なら食器用洗剤で簡単に洗えます。洗剤が残らないように水拭きを何度か行って仕上げてください。布製・ナイロン製は洗濯ネットに入れて洗濯機で洗えるものもあります。洗濯機で洗えないものは、掃除機で毛や埃を取ってから、中性洗剤を薄めてからタオルに付け、絞ってから拭きあげましょう。

子犬用キャリーバッグとあわせて使うと便利なグッズとは?

キャリーバッグは以下のような便利グッズを一緒に使うとより快適に使用できます。それぞれ、どんなメリットがあるのか見ていきましょう。

キャリーバッグ用の底材

製品の用途とサイズに合った底材を使うことで、愛犬に不快な思いをさせることも少なくなります。体圧分散の機能があるもの、速乾・吸湿機能があるものなど、長時間乗っていても快適になる工夫があるものが良いですね。

クールマット

夏場のキャリーバッグの内部はとても蒸し暑くなることが想定されます。短時間の使用であっても快適に保つ工夫が必要です。クールマットはあらかじめ冷凍庫などで冷やしておいた保冷剤を使用する物が多く、マットに触れている部分の過熱は防げます。ただし床全面をクールマットにしてしまうと、冷たいと感じた愛犬の逃げ場がありません。なので、壁面の一部に隠して使えるような形状がおすすめです。

マナーポーチ

外出先で排泄した時に排せつ物を持ち帰ることができます。防水・防臭機能を兼ね備えたものが良いでしょう。

ワンタッチで操作ができるウォーターボトル

公共の場で犬が排泄した時に水などをかけて清潔な状態に復帰させるのに使いますが、水をかける場合はたくさんの量を使うほうが効果的です。ワンタッチで水を出せるボトルは飼い主が量を調節しやすくて便利でしょう。

専門家のコメント

キャリーバッグは犬と暮らす上で欠かせないアイテムです。子犬の頃から慣れさせておくことで、いざという時に活用できるようになります。さまざまなアイテムともかけあわせて活用し、より快適に愛犬が過ごせるように工夫していきましょう。

監修/茂木千恵先生(獣医師)

監修/茂木千恵先生(獣医師)
博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う。フジテレビ系列「モノシリーのとっておき」、日本テレビ系列「志村どうぶつ園」などに動物行動学コメンテーターとして出演。雑誌「Shi-ba」(辰巳出版)などの記事監修も多数担当している。

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