【獣医師監修】犬にケージが必要な理由とは?メリットや使用するときの注意点、商品の選び方について解説

【獣医師監修】犬にケージが必要な理由とは?メリットや使用するときの注意点、商品の選び方について解説

日本でも犬の室内飼いが広まり、犬にとって家の中に安心できる場所を作ってくれるケージも普及しています。そこで、犬にケージが必要な理由やメリット・デメリット、使用時の注意点や購入ポイントなど、犬のケージについて、獣医師の林美彩先生に改めて解説していただきます。

犬のケージって何?

ケージに入った犬

ケージとは室内に犬の居場所を作ってくれるハウスのことです。似たようなものにサークルやクレートがありますが、その違いを見ていきましょう。

 

ケージ

ケージとは、四方を柵で囲まれた、床面と天井のあるハウスのこと。全方向が囲まれている分、犬が安心感を得やすいと言われています。ドアの開閉は引き戸式タイプや前後ろに開くタイプなど商品によって異なり、中には折り畳みができる布製のソフトケージと呼ばれるものもあります。

 

サークル

サークルは、側面だけが柵で囲まれ天井がなく、簡易的にエリアを作ることのできるアイテム。何枚かの柵を組み合わせたものや床があるもの、布製で折りたためるタイプのものまで種類はさまざま。子犬の場合、プラスチック製や木製のものは、噛む恐れがあるため、ステンレス製がおすすめです。

 

クレート

クレートは、持ち運びできる犬小屋のようなもので、旅行時などによく使われます。ケージやサークルと異なり、この中でトイレや食事をする空間はありません。クレートにはプラスチック製と布製がありますが、水洗いしやすく安全性の高いプラスチック製がスタンダードです。

犬にケージが必要な理由とは?

ケージに入った子犬

犬を家族に迎える際は、必ずケージやサークルを準備するよう言われます。それには次のような理由があるからです。

 

ケージは犬が不安や興奮した時の避難場所

犬は慣れない環境に置かれた時や雷・地震といった突発的な出来事が起きた時、不安や興奮によって人間が予期しない行動を起こすことがあるため、犬の身を守る場所の用意が必要だからです。

 

ケージは犬が落ち着いて過ごせるテリトリー

犬にはテリトリー(縄張り)の意識があり、それを守ろうとする習性があります。室内全体を犬のテリトリーとしてしまうと、守る範囲が広いうえ、来客を警戒・威嚇することにもつながります。犬が警戒することなく、ゆっくり落ち着いて過ごせる場所を作ってあげるためにも、彼らのテリトリーとしてのケージが必要です。

ケージを使うことのメリット・デメリットとは?

クレートに入った犬

ケージのメリット

犬にとってのメリットは、自分のテリトリーとしてリラックスできる空間や避難場所になる点です。

 

飼い主にとっては、床に落ちていたものを誤って食べてしまったり、コードなどをかじってしまったりという留守番中の危険を避けられる他、多頭飼育での管理が楽になるなどのメリットがあります。

 

また、災害時に避難する際は、一般的にケージやクレートを用いることが多いようです。ケージに入り慣れている犬であれば、そうした非常時に感じるストレスの軽減にもつながり、飼い主も安心できるというメリットが挙げられます。

 

 

ケージのデメリット

犬によっては、ケージに入れられることでストレスを感じる場合があります。

 

また、飼い主にとっては、掃除をしなければならない、ケージの中でのトイレトレーニングが必要、ケージ購入費がかかる(犬の成長によってサイズが変わり、買い替えが必要な場合もある)など、さまざまな負担が挙げられます。

ケージが犬の性格に与える影響は?

安心して過ごせる場所があることで、必要以上に警戒や威嚇することがなくなり、リラックスして過ごせる時間が増える分、穏やかな性格の犬になると言われています。

 

しかし中には、逆に縄張り意識が強くなり、吠えるようになるケースもないわけではありません。

ケージを設置する際の注意点は?

リビングに設置した犬のケージ

人の往来が激しい場所や人気のない場所への設置はNG

ケージを設置する場所は、人の往来がそれほど激しくない場所が望ましいです。かといって人がほとんどいないような場所もいけません。というのも、犬は群れで生活する動物であるため、1匹で過ごすことが苦手だからです。

 

家族の様子がよく見えるリビングなどがおすすめ

おすすめの設置場所は、リビングのドア付近から離れたところなど、家族の様子がよく見える場所です。ただし、犬は聴覚が優れているため、テレビの近くは避けましょう。また、夏は風通しの良いところ、冬は暖かなところなど、季節に応じて快適な場所を選んであげてください。

ケージを使う際に絶対にしてはいけないこととは?

犬が「ケージに入る=怖いことがある」という認識になってしまうような行動はNGです。犬に懲罰を与えるためにケージに入れる、ケージの中にいる時に柵を蹴る、何かを投げつけるといった行為はもってのほかです。また、ケージはあくまでも安心していられる休息の場ですから、必ず自然を感じながらの散歩や、自由に走りまわれる活動の機会を設けてください。

ケージの正しい選び方は?

ケージの中で眠る2匹のチワワ

最適なケージのサイズは?

万一、犬が暴れても、壊れない頑丈なつくりであることが一番です。サイズは、広いほうが落ち着く、狭いほうが落ち着くなど、犬によって個体差があるので一概には言えませんが、ケージ内で無理なく方向転換ができる程度の広さを確保されていることが、最適なサイズの一般的な認識です。またケージの高さは、犬が4本の足で立ち上がった時に頭上5~10cmほどのゆとりがあると理想的です。

 

子犬の場合は、成犬になった時にどの程度の大きさになるかを予測して、最初から大きめのものを購入しておくと買い替える必要がなくなります。また、掃除が簡単に行えるかどうかも選ぶポイントのひとつです。

 

 

多頭飼育のケージの数は?

多頭飼育の場合、犬同士の相性が良ければ、ひとつのケージ内で過ごさせても構いませんが、喧嘩の危険性がある場合は、頭数分を用意したほうが無難です。

ケージは何歳から使える?

ケージは何歳からでも、迎え入れた時から使用を!

ケージの使用に、特に何歳からという決まりはありません。迎え入れた時に、しつけの一環として、ケージで生活をさせておくと、後々、留守番や災害時など、どうしてもケージ内で過ごさなくてはいけないという時のストレスを軽減できます。

ケージに慣れるための練習方法は?

おやつをもらう犬

犬の個性にもよりますが、ケージに慣れるには、ある程度の練習が必要です。次のような方法でケージに慣らしていきましょう。

 

おやつを使って、ケージの慣らし練習をする

犬がケージに入っている時間を少しずつ延長していき、時間をかけて慣らしていきましょう。ケージに入ったら大好きなおやつがもらえるというように、「正の条件付け」をしていくと、比較的早い段階で慣れてくれます。

 

時間をかけて根気強く、ケージへの出入りを繰り返す

犬がケージに入っても最初はドアを開けたままにしておき、出たり入ったりを自由にさせます。やがてケージへの抵抗が少なくなったと思える頃に、ドアを閉めてみましょう。嫌がる場合は、すぐに開けます。その繰り返しで、犬が慣れるまで焦らずに取り組んでください。

ケージのお手入れはどうすればいい?

ケージ内は常に清潔を保つため、定期的な掃除が欠かせません。特に子犬の時期は、ケージ内が汚れることも多いので、こまめにチェックして掃除をしてください。軽い汚れであれば拭き掃除程度でも良いですが、糞尿がついたり、食べ物がこびりついてしまったりしている時は、丸ごと水洗いしましょう。

専門家のコメント:

「室内飼育にケージが必要?」「閉じ込めるのは、かわいそう」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実はケージは犬がリラックスして過ごすための安全エリア。不安な時に逃げ込める場所であり、災害などで避難する際にも役立つ大事なものです。犬のサイズに合ったものを用意して、迎え入れた時から慣らし練習を始めましょう。

監修/林美彩先生(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。著書に「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)。


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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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