犬の歯周病の症状とは?原因や治療法、歯磨きなどの予防のためのケアを解説【獣医師監修】

犬の歯周病の症状とは?原因や治療法、歯磨きなどの予防のためのケアを解説【獣医師監修】

歯の周りや歯茎が炎症を起こす歯周病。口腔内のケアを怠ると、犬も人間と同様に歯周病にかかることがあります。今回は、歯周病の原因や症状、愛犬が歯周病になってしまった場合の治療法などをchicoどうぶつ診療所の所長で獣医師の林美彩先生に解説していただきます。

監修/林美彩先生(獣医師)

監修/林美彩先生(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長
酪農学園大学卒業
獣医保健ソーシャルワーク協会獣医ホリスティック医療研究会所属

 

大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。テレビ番組への出演・協力のほか、「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)などの著書がある。

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犬の歯周病とはどのような病気?

犬の歯周病の症状とは?原因や治療法、歯磨きなどの予防のためのケアを解説【獣医師監修】犬の歯周病は、口腔内、特に歯垢や歯石の中の細菌によって起こる歯肉や歯の周囲の靱帯の炎症です。症状がひどい場合は、細菌が歯を支える骨にまで達することがあります。

犬に歯周病が多い理由

犬は人間と違い、口腔内がアルカリ性であるため、歯石や細菌が増えやすく、それらが歯周ポケットに入り込んでしまうことで炎症が起こります。毎日歯磨きをしていれば、基本的に歯周病は防ぐことができますが、まだ犬の歯磨きを日常的に取り入れているご家庭も少ないため、結果的に犬に歯周病が多くなっていると考えられます。

どんどん深刻になる、犬の歯周病のプロセス

歯周病は、「歯肉炎」や「歯周炎」といわれる歯とその周囲の炎症を総称したもので、歯肉炎→歯周炎→歯槽膿漏→歯根膿瘍というプロセスで進行していきます。プロセスごとの症状について解説していきます。

歯肉炎

歯周病の初期段階にあたるのが「歯肉炎」です。歯と歯茎の間にあるポケットに歯垢が付着することで、歯茎の肉が炎症を起こし、歯肉が赤く腫れ上がる病気です。適切な治療を行えば、治るケースがほとんどです。


歯周炎

歯肉炎が進行すると、歯の根っこである歯根(しこん)周囲まで炎症が達します。この状態が歯周炎です。歯周炎まで症状が進行すると、歯磨きなどの日常のケアだけでは治療が難しく、完治が非常に難しい状態となります。


歯槽膿漏

歯周炎が悪化し、歯根に膿が溜まってしまった状態を指します。


歯根膿瘍

犬の歯は、人間と同様に下に行くにつれて細長くなっています。この歯根の奥深くにまで膿が出てしまう状態が歯根腫瘍(歯根腫瘍)です。歯根腫瘍が起きてしまうと、ご飯を食べにくくしていたり、口臭がひどくなってしまったりします。最終的には歯肉が下がり、歯が揺れ動くことがあります。

犬の歯周病の原因とは?

犬の歯周病は、不十分な歯のケアにより残ってしまった歯垢や歯石内の細菌によって引き起こされます。これは日常的に歯磨きをすることで防ぐことができます。

犬の歯周病の症状とは?

犬の歯周病の症状とは?原因や治療法、歯磨きなどの予防のためのケアを解説【獣医師監修】犬の歯周病にはどのような症状があるのか見ていきましょう。

歯肉の腫れや出血

菌感染による炎症反応で歯肉が腫れたり、腫れている部分に刺激が加わったりするなどして出血が見られます。

口臭

歯周病にかかると、口臭が変わります。歯垢や歯石による臭い以外にも、細菌感染による膿の臭いなどもしてきます。

ものを食べにくそうにする

歯や歯茎が腫れるため、痛みが伴って食べにくそうにすることがあります。

歯の汚れ

歯垢や歯石以外にも、色素沈着が見られることがあります。

歯が抜ける

歯肉が後退することで歯を支えることが出来なくなり、歯が抜けてしまいます。

下顎骨の骨折

歯の根の部分が化膿する根尖膿瘍が進行し、膿の通り道である瘻管(ろうかん)が形成され、さらに症状が進行してしまうと骨自体の破壊が起こります。

頬から膿が出る

瘻管が頬のほうに貫通することで、頬から膿が出てくるようになります。

犬の歯周病を放置するとどんなリスクがある?

犬の歯周病を放置すると、全身に菌が巡る形になりますので、肝臓胆嚢疾患(肝炎、肝障害胆管炎)、腎臓病、腎盂腎炎、心臓病、炎症性腸炎などさまざまな疾患を引き起こします。

特に歯周病にかかりやすい犬種はある?

ミニチュアダックストイプードルパピヨン、イタリアングレーハウンドあたりは顎が細長く歯が密集しているため歯周病になりやすいと言われています。歯並びが悪くなることが多く、歯垢がつきやすい短頭種も歯周病になりやすい犬種です。また、大型犬よりも小型犬のほうが歯周病にかかりやすい印象です。

犬の歯周病の治療法とは?

犬の歯周病の症状とは?原因や治療法、歯磨きなどの予防のためのケアを解説【獣医師監修】犬が歯周病になった場合、どんな治療方法があるのでしょうか。一般的に動物病院で行われる主な治療方法をご紹介します。

歯石や歯垢の除去

麻酔下でフックのような形をしたスケーラーという器具を使って歯石や歯垢除去を行います。ただし、処置の最後にはポリッシングという表面を磨く(研磨をする)処置を行わないと、歯の表面に細かい傷がついたままになりますので、歯垢がさらにつきやすい状態になってしまうため要注意です。

投薬

体力が著しく低下していて麻酔をかけること自体にリスクがあったりする場合には、投薬で感染対策を行います。

抜歯

歯と歯肉の間にぐらつきがあると、その隙間に歯垢や細菌が溜まりやすい環境になってしまい、歯周病にかかりやすいため、抜歯を行うことがあります。

犬の歯周病の治療費用はどれくらい?

犬の歯周病の治療費用は歯肉の切開をするのか、抜歯を何本するのかなどより変わります。また、入院が必要となった場合によっても費用は大きく変わってきます。大がかりな外科手術を伴わず基本的な治療のみであれば、歯石除去と同じように口腔内の処置は概ね24万円くらいが相場だと言われています。

犬の歯周病の予防法とは?

犬の歯周病は日常的なケアを徹底することで予防することができます。どういった点に注意すればいいのか、確認しておきましょう。

子犬の頃から歯磨き習慣をつける

やはり、歯磨きの習慣をつけるのが一番効果的な予防法でしょう。準備段階として、子犬の頃からマズルを触っても嫌がらないようにトレーニングをしておくようにしましょう。マズルを触ることに抵抗がなければ、歯磨きが出来る以外にも、投薬が必要になった場合にもスムーズに行うことができます。

毎日歯みがきを忘れずにしっかりと行う

食後だけではなく、朝起きたら朝食前に歯を磨くこともおすすめいたします。理由としては就寝中に口腔内の菌が繁殖しやすいためです。もちろん、朝食後にも磨いておきましょう。飼い主とのスキンシップの時間としても、歯磨きは貴重な機会です。

歯石が気になった場合の対処法は?

犬は歯垢の石灰化が早く、歯石が非常に短い期間で作られます。歯石の付着が気になる場合は早めに病院を受診し、対処法を教えてもらいましょう。場合によっては歯周外科処置が必要になることがあります。軽度な場合は、家での歯磨きの方法を教わったりして、これ以上症状が進行しないよう徹底的なデンタルケアを心がけてください。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント

犬の歯周病は、放っておくと全身にまで影響が出てくる恐ろしい病気です。犬にとって歯磨きやデンタルケアは健康維持以外にもコミュニケーションのとれる貴重な機会です。日頃から歯磨きをして、歯周病にかからないように予防を徹底しましょう。また、普段の犬の様子や口内の状態をよく見ておくことで、早期発見することができません。


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