ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

犬種図鑑

2023年06月26日 更新 (2023年06月21日 公開)

東大農学部獣医学専修卒後、ウガンダ国立遺伝資源研究所でのリサーチフェローや動物病院での臨床業務に従事。2020年に保護犬たちを新しい形でサポートする事業を開始。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの性格や特徴は?飼い方のコツや寿命などについて解説【獣医師監修】

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの歴史やルーツ、英語名は?

犬種名 ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア
英語名 Belgian Shepherd Dog Malinois
原産国 ベルギー
分類 大型犬
グループ 1G:牧羊犬・牧畜犬

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア【英語:Belgian Shepherd Dog Malinois】は、ベルギーが原産の大型犬です。ジャパンケネルクラブの犬種分類では、家畜の群れを誘導・保護する「1G:牧羊犬・牧畜犬」に属します。

 

18~19世紀にかけて牧羊犬として活躍してきた犬種です。当時はさまざまなタイプの被毛があっても同じ犬種とされていましたが、20世紀になると愛犬家がコートタイプごとに分類し、1891~1897年の間に犬種として最初のスタンダードが確立されました。

 

コートには4種類あり、それぞれにグローネンダール、マリノア、ラークノア、タービュレンと名前がつけられAKC(アメリカ・ケネル・クラブ)では別犬種とされています。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのオスとメスの体高や体重は?

体高:オスは62cm、メスは58cm(下限2cm、上限4cmまで)
体重:オスは約25~30kg、メスは約20~25kg

 

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは大型犬に分類されます。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの平均寿命は?

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの平均寿命に関するデータはありませんが、『アニコム家庭どうぶつ白書2021』によると、大型犬の平均寿命は11.5歳となっています。

 

犬を迎える際は、最期の時までしっかり世話ができるかを考えておきましょう。
犬をみとる頃に自分は大体何歳になるか、犬の介護ができるか、自分の生活環境や経済状況などもあわせて考えなければなりません。

 

犬を迎えようと考えているシニアの方は保護犬などで成犬を迎えるケースも検討するほか、万が一自分が世話できなくなった場合を想定しておくことも重要です。犬の世話を頼めそうな人にあらかじめ相談して承諾を得てから迎えたり、老犬ホームといった預かり先を決めたりして急な環境の変化に備えておきましょう。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの毛色や種類、被毛、外貌の特徴は?

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの毛色や種類、被毛、外貌の特徴

ジャパンケネルクラブの犬種標準では、ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの毛色は濃いフォーンからマホガニーで、ブラックのティックがあります。マスクと耳はブラックです。


コートは短い直毛で、頭部、耳、四肢の下部は特に短いです。

 

引き締まった筋肉を持った角ばった体つきで、ベルギーの変わりやすい気候に耐えることができる力強さと、上品さを兼ね備えた外貌をしています。
顔は、整った三角形の立ち耳と先細のマズル、ブラウンからダークブラウンの眼が特徴です。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアはどんな性格、習性?

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、使命感が強く、とても賢く集中力もあるため、訓練が得意です。そのため警察犬や軍用犬、盲導犬としても活躍しています。
穏やかな性質で、家族を守ろうとする忠誠心が強く、特に子どもにやさしいことでも知られています。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアを迎える際にかかる費用は?

犬を飼い始めるとき、飼い続ける際にかかる費用について説明します。
ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは大型犬であるため、生活用品や消耗品の費用は紹介する金額より高くなると見込んでおきましょう。

タイミング 内訳 費用の目安
迎えるとき

ペットショップ、ブリーダー

※ブリーダーによる
飼い始めるとき 畜犬登録料 約3,000円
生活用品(クレートやケージなど) 約5~7万円
1年に1回かかる費用 狂犬病予防接種費 約3,500円
混合ワクチン接種費 約5,000~10,000円
毎月かかる費用 消耗品(フードやおやつなど) 約5,000~10,000円

 

飼い始める際にかかる費用

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、ペットショップでの販売は珍しく、専門のブリーダーや輸入、里親制度が主な入手方法です。ブリーダーから購入する際は時価となり価格は変動することがあります。

また、常に子犬が産まれているとは限らないため、ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのブリーダーにあらかじめ相談したり、問い合わせたりしておくと良いでしょう。


他にも愛犬を迎えるには友人や知人から譲り受ける、譲渡会に参加する、保護犬を迎え入れるといった方法もあります。また、ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは自治体によって飼育に規制がある場合もあるため、事前に確認しましょう。

 

犬を飼い始めるときには飼い始めてから30日以内に(子犬の場合は生後91日を経過してから30日以内に)お住いの自治体に犬の登録(登録料は3,000円程度)を行うほか、混合ワクチン接種費や狂犬病予防接種費も必要になります。

 

母犬の初乳から得た免疫は徐々に低下していくため、混合ワクチンを子犬期に計3回接種してさまざまな感染症を防ぐ必要があります。子犬を迎える際の月齢によっては、ペットショップ側でワクチンを3回打っているため、生体代と一緒にワクチン代も支払います。3回すべて打っていない場合は、飼い主が動物病院に連れて行って接種させましょう。

 

狂犬病予防接種は生後91日を過ぎたすべての犬が年に1回摂取するよう法律で定められており、子犬の場合は混合ワクチンの接種を終えて2週間過ぎたタイミング(およそ生後110日前後)で打たせます。

 

犬を飼うための初期費用や毎月の支出についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
>犬を飼うのにかかる費用はどれくらい?初期費用や毎月の支出を解説【獣医師監修】

 

飼い続けるために必要な費用

犬を養育するうえでの生涯コストは、ドッグフードやペットシーツ、留守番時のエアコン代、一般医療費、トリミング代、レジャー費など200~300万円といわれています。

体の大きい犬種だとグッズ代やトリミング代などが高額になるなど犬種によって大きく異なるため、目安としてベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの場合は平均より高額になると考えておきましょう。

 

なかには僧帽弁閉鎖不全症など手術費が100万円以上になる病気にかかる場合や、アレルギーなどによって継続的な通院や投薬の費用がかかることもあります。犬を迎えるにあたっては、計画的な貯金やペット保険の利用なども検討し、予期せぬ出費にも対応できるかよく検討しておきましょう。

 

犬を飼う際に生涯かかる費用についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
>迎える前に知っておこう!犬の一生にかかるお金はどれくらい?

 

犬を迎える際に必要な生活用品としては、クレートやケージ、サークルをはじめ、首輪やリード、食器、給水器、ドッグフード、トイレなどが挙げられます。

 

また犬が遊べるようおもちゃも用意するとよいでしょう。ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは家畜の群れを誘導・保護してきたことからドッグランで思い切り走り回らせるようにするのがおすすめです。

 

とても賢い犬でもあるため、ボールボール遊びやフライングディスクなどの飼い主が投げて取ってくる遊びも楽しんで取り組みます。複数のおもちゃを準備して普段の散歩以外でもストレスを発散させてあげるとよいでしょう。

 

犬の生体代を除く初期費用としては、一般的には5~7万円程度ですが、ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは体が大きくなるため、クレートやケージ、サークル費用は平均より高くなる傾向にあります。

 

毎月の消耗品としては、ドッグフードやおやつ、トイレシーツ、歯ブラシやボディシートなどが挙げられます。一般的に毎月の平均額は5,000円~10,000円ほどですが、ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは体が大きいので食事量は多く、トイレシーツも大型タイプを選ぶ必要があるので平均よりかかると見込みましょう。

 

犬を飼うための初期費用や毎月の支出についてもっと詳しく知りたい方はこちらもおすすめ!
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2022年6月から、ペットショップやブリーダーで販売される犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。マイクロチップは思わぬ事故や災害で迷子になってしまった時に、保護された犬を飼い主のもとへ返すための重要な役目を果たします。

 

装着費用は3,000~5,000円程度で、さらに飼い主の氏名や住所、電話番号などの情報登録料としてかかります。登録はオンライン申請で300円、郵送する場合は1,000円です。

 

ドアを開けた際に外へ飛び出したり、散歩中大きな音に驚いて逃げてしまったりなど、飼い主の不注意やアクシデントで犬は迷子になってしまう可能性があります。

そのため、ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアを迎える際は迷子対策もしっかり講じましょう。迷子対策としてはマイクロチップの装着のほかに、迷子札などの導入が挙げられます。

 

迷子札は、飼い主の連絡先を記載したキーホルダーで犬の首輪に装着します。値段は1,000~5,000円程度で、素材やデザインによって異なります。


そのほか、家からの飛び出しを防ぐために玄関にゲートを設置するといった対策をとるのもおすすめです。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのしつけと社会化トレーニングのポイント

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのしつけと社会化トレーニングのポイント

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、知能が高くトレーニングが得意な犬種です。


しかし、賢いがゆえに飼い主のことを良く観察しています。犬にとって飼い主が頼れるリーダーでないと判断されると指示を聞かなくなってしまうことがあるので、毅然とした態度でリーダーシップを取るように意識しましょう。

 

また身体が大きく育つ犬種なので、飛びつき癖や噛み癖があると将来的に事故につながる恐れがあります。子犬の頃から適切なトレーニングをしっかり行って、犬が興奮してもコントロールできるようにしておくことが重要です。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊びは?

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアに必要な運動量や散歩の目安、おすすめの遊び

✓散歩:1時間以上を1日2回
✓運動量:多い
✓おすすめの遊び:ボール遊びやドッグスポーツなど

 

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、牧羊犬の祖先を持つため非常に活動的で、高い運動能力を持っています。

 

スタミナも豊富なため、運動不足でストレスが溜まらないよう、散歩は1時間以上を1日2回が理想です。ジョギングを混ぜたりして、充分に運動をさせてあげましょう。
さらに月に数回は、ドッグランなど広い場所を思い切り走らせるような激しい運動が必要です。

 

優れた身体能力と知能を持ち合わせているので、飼い主がボールやフライングディスクを投げて取ってくる遊びはもちろん、ドッグダンスやアジリティーにも向いています。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアを飼うのに向いている人は?

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアを飼うのに向いている人

✓子どものいる家庭でも大丈夫
ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは、子どもにやさしい犬として知られています。しかし体が大きいため、しっかりとトレーニングを行いましょう。

 

✓充分な運動をさせてあげられる人
牧羊犬の先祖を持つだけあってスタミナが豊富です。一緒に運動を楽しめる体力と時間のある人に向いています。

 

✓トレーニングをきちんとできる人
ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは賢いので、飼い主の甘さを見透かして、犬の立場が上になってしまうようなことがあります。
落ち着いて根気強く接することが出来る人が向いているでしょう。

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアのかかりやすい病気や疾患、その予防法は?

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアがかかりやすい代表的な病気と対策方法を知っておきましょう。

 

✓股関節形成不全
大型犬にリスクの多い病気です。成長過程で、股関節に異常が出て痛みや歩行障害が起こります。急激な肥満などが誘発することがあるので、体重管理を心がけましょう。

 

✓進行性網膜萎縮症
網膜に異常が起きて視力が低下する遺伝性の疾患です。予防方法は現在のところありませんが、補助的治療や、万が一視力を失ったとしても視力以外の感覚や、フードや水の位置、家具の配置を変えないといった飼い主の工夫である程度補うことができます。

 

✓白内障
目の水晶体が何らかの原因で変性し、白く濁ってしまう疾患です。6歳以上で発症するものは老齢性ですが、2歳までに発症する場合は遺伝的な要因が考えられます。予防法はなく完治できませんが、早期に治療を始めることで進行を遅くすることができます。

 

かかりやすい病気や予防法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
>犬の熱中症の見分け方は?応急処置と予防法、室内や留守番時の注意点も解説【獣医師監修】

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアの日常のお手入れ

✓ブラッシング:週に2回程度
✓シャンプー:1カ月に1回程度
✓トリミング:必要なし

 

皮膚を清潔に保ち、抜け毛や毛玉対策のためには、定期的なブラッシングが必要です。
特に春と秋は換毛期で、春は冬毛から夏毛に、秋は夏毛から冬毛に生え変わるため大量に毛が抜けます。この時期は、こまめなブラッシングを心がけましょう。


ブラッシング以外にもスキンシップの時間も兼ねて、表面からは分かりづらい皮膚の状態をチェックしたり、日々触れ合う時間を作ったりすることで、愛犬との信頼関係も高まります。

 

歯磨きは毎日~3日に1回、耳掃除は1カ月に1、2回、外耳炎治療の場合は1週間に1、2回となることもあります。爪切りは1カ月に1回程度の頻度で行います。肛門腺絞りは必要のないことが多いですが、自分で出しづらい犬の場合、1カ月に1回程度がよいでしょう。
また足裏の肉球間の毛が伸びると、フローリング床で滑りやすくなるためカットしてください。

 

犬のお手入れ方法についてはこちらの記事もおすすめ!
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ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアとの生活で注意すべきことは?

✓飼育スペースは十分な広さを確保!飼育費も準備して
ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアを含む大型犬は、トイレも寝る場所も大きな体の分広さが必要になります。犬がゆっくりとくつろげる大きさのケージが必要です。さらに、食費やペットシーツ代などの消耗品や、医療費、ペットホテル費なども、小型犬、中型犬より高額になります。住居スペースや金銭的な負荷を考慮したうえで迎え入れるようにしましょう。

 

✓事故予防のための対策
ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアは大型犬のため、ちょっとしたことが事故につながってしまうことも考えておきましょう。頑丈なケージを用意したり、入ってほしくない場所には入れないように仕切りを設置したりするなどして事故を予防します。また力が強いので、人や動物に飛びついたりしないよう、日頃からのトレーニングも大切です。

 

✓脚・関節に負担をかけない
膨大な運動量が必要な犬種ですが、脚や関節への負担が大きいと股関節形成不全のような深刻なケガにつながります。身体への負担をできるだけ減らすために、体重管理に気を付けてください。また激しすぎる動きはさせないように配慮しましょう。

 

✓自治体の特定犬制度の対象か確認、準備しよう
シェパード系の犬種は、人に危害を与える可能性がある特定犬として飼育規制が設けられている自治体があります。各自治体で定められている遵守事項のほか、飼養義務があるためベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアを飼う際は条件を満たす環境であるか、確認しておきましょう。