犬が夜に吠える原因は?病気の可能性と病院に行くべき症状について解説【獣医師監修】

犬が夜に吠える原因は?病気の可能性と病院に行くべき症状について解説【獣医師監修】

気持ち・生態

2022年09月10日 更新 (2022年06月25日 公開)

Animal Life Partner代表。ペット栄養管理士など様々な資格を生かし、診療や往診のほかに、セミナー講師やカウンセリング、製品開発など幅広く活動。

犬が夜に吠える原因は?病気の可能性と病院に行くべき症状について解説【獣医師監修】

犬が夜に吠える理由は?

犬が夜に吠える原因は?病気の可能性と病院に行くべき症状について解説【獣医師監修】犬が夜に吠えるのにはいくつかの理由があります。具体的にどんな理由があるのか見ていきましょう。

お腹が空いた、遊びたいなどの要求を満たすために吠える

吠えることで欲求がかなうことを学習している犬は、おやつが欲しかったり、遊んでほしかったりなどの欲求があると、吠えることで飼い主に伝えようとします。

警戒して吠える

怖がりだったり、視力が弱くなったりしていると、ちょっとした物陰や物音などにおびえ、警戒して吠えてしまうことがあります。

寂しくて不安で吠える

いつも一緒に過ごしている飼い主が夜になってベッドに入ると、寂しくなって吠えてしまうことがあります。

日中の運動不足など生活リズムが崩れて吠える

運動不足や生活リズムの乱れは犬にとってストレスになり、夜に限らず日常的に吠えたり、問題行動が増えたりする傾向があります。

病気やケガによる痛みで吠える

犬は痛みや体調不良を直接伝えることができないので、吠えることで身体の痛みを訴えることがあります。

犬が夜に吠える原因となる病気は?

犬が夜に吠える原因は?病気の可能性と病院に行くべき症状について解説【獣医師監修】犬が夜に吠えるのは、病気が原因である場合があります。特にシニア犬の場合は原因として疑われるのは認知症です。認知症にはどういった症状があるのか見ておきましょう。

犬の認知症とは?

認知症は脳神経細胞や自律神経がうまく機能しないことで引き起こされます。認知症になると、夜に吠えるほかに、昼夜の逆転、無目的に歩き回る、壁などにあたると後退できない、無駄吠え、同じ場所をぐるぐる歩く、反応が鈍くなる、一日中寝てばかりいるなどの症状が現われます。

犬が夜に吠える場合は病院へ連れて行くべき?

犬が夜に吠える場合、どんな状態であれば病院に連れていくべきでしょうか。シニア犬でない場合とシニア犬の場合をご紹介します。

シニア犬でない場合

要求吠え、警戒して吠える、不安で吠えるなどの行動は病的なものではないので心配はいりませんが、気になる場合は行動診療科のある動物病院に行った方がいいかもしれません。「病院に行くほどではないけれど、夜に吠えるのが少し気にかかる」という場合は、ドックトレーナーの方に相談するのもいいでしょう。

また、吠え声が家族のストレスや近所迷惑になっている場合、それは問題行動なので行動診療科の診察が可能な病院を受診しましょう。飼い主側では要求吠えなのか、威嚇なのか判断できないことがあります。吠え声で困っている場合には、獣医師に相談した方が、悪化を防ぐことができるかもしれません。

シニア犬の場合

シニア犬の場合、認知症が吠えの原因となっていることがほとんどです。以下のような症状が出ている場合は既に認知症にかかっている可能性があるので、獣医師に相談してみましょう。

・自宅やいつも行く場所、散歩コースなのに認識できていない

・飼い主や家族を認識できていない

・落ち着かず、家の中でウロウロと歩き回る

・立ち往生したり、室内になるものを避けたりすることができなくなる

・遊びやコマンドに無関心になる

・同居犬に対して攻撃性が強くなる

・夜に寝なくなったり、逆に寝る時間が異常に長くなったりする

・夜中にウロウロと徘徊する

・失禁したり、トイレ以外で排泄したりする

犬が夜に吠える場合の対処法は?

認知症以外で犬が夜に吠える場合の対処法をご紹介します。

犬が安眠できる環境づくり

暗くなると不安を感じることが多いので、少し明かりをつけてあげましょう。飼い主を感じられるように飼い主の服を置いたり、寝心地のいいベッドを用意したりして、少しでも不安や寂しさを解消し、犬が落ち着いて眠れる環境を作ってあげます。

犬の生活リズムを整える

寝る時間が増えても、陽が出ている時間帯に起こして日向ぼっこをさせたりお散歩に連れ出したりして、生活リズムを整えるようにしましょう。

食事の時間や回数を見直す

お腹を空かせて鳴く可能性もあるため、体格と見合わせながら痩せているようであれば食事の回数や内容を増やしてもいいでしょう。

犬の認知症の対処法は?

シニア犬が夜に吠えることの原因となる認知症。そんな認知症にはどのように対処すれば良いのでしょうか。

行動療法

昼夜逆転の改善のために、日中外に出して日光を浴びることで体内時計の改善につながります。元気なうちは頭を使ったゲームをすると認知症を予防することができます。

犬の脳トレをする

人間と同じように犬も頭を使うことで若々しくいられます。ただし、シニア犬の場合は体に負担のかからない方法で行ってください。例えば、紙コップ2つのうち、1つにおやつを入れて当てさせる、また室内におやつを隠して探させるなどの方法が挙げられます。

食事療法

きちんと朝晩の時間にご飯を与えることで体内時計の改善につながります。また、DHAEPAを含むサプリメント、フェルラ酸などを含むサプリメントが認知症に有効といわれています。

薬物療法

昼夜が逆転していたり、興奮が激しかったりする場合には、夜にしっかり寝られるように薬で補助することがあります。


ケガを予防する

認知症の治療にはなりませんが、狭いところに入り込む予防として、ガードをつけたり、クルクル歩き回る際にケガをしないようにクッションを柱などにつけたりして保護してあげるといいでしょう。

犬が夜に吠えている時、飼い主がしてはいけないNG行動は?

犬が夜に吠えている場合、飼い主がしてはいけない行動があります。具体的にどんな行動がNGなのかを知っておきましょう。

必要以上に叱る

吠えている原因よって対応が変わります。おびえて吠えている場合に𠮟ることは逆効果ですし、認知症にかかっている犬の場合には叱ること自体が無意味になります。

無視したり、放置したりする

おなかがすいた、排泄をしたいなど何か欲求があって吠えている可能性があるので、無視するのではなく原因を考えてあげましょう。

寂しそうだから一緒に寝る

吠えている原因によっては有効な場合もあるので、一緒に寝ることが必ずしもNGではありません。ですが、恒常的に一緒に寝ることで、要求吠えが悪化する可能性もあります。自己判断する前に動物病院やドッグトレーナーに相談してみましょう。

犬が夜に吠えるのをやめない場合はひとりで悩まず専門家に相談を!

犬が夜に吠える原因は?病気の可能性と病院に行くべき症状について解説【獣医師監修】犬が夜に吠えている際は、まず何が原因なのかしっかりと向き合ってあげてください。そして、認知症による吠えの場合は一人で悩まずかかりつけの先生に相談すると改善方法が見つかるかもしれません。

動物病院では投薬治療やサプリメントでの改善も

動物病院では薬物治療やサプリメント、行動療法などさまざまな治療方法を提案してくれます。犬と飼い主が平穏な夜を迎えられるよう、環境を整えていきましょう。