2023年10月16日 更新 (2023年10月11日 公開)

家事上手な犬? “仲良しチワワ姉妹”のあお&ものちゃん
お買い物にお料理、お洗濯をしたりする家事上手なチワワを知っていますか。
花びらのような耳と口元にのぞく舌がチャームポイントのチワワの「あお」ちゃん。大きな三角耳にモノクロの毛色が特徴の「もの」ちゃん。11歳と8歳のチワワの女の子です。

SNSには、あお&ものちゃんが作業をする様子がストーリー仕立ての動画になって投稿されています。まるで、ミニチュアの世界で本当に生活しているかのようなふたりの動きに、可愛いだけでなく「賢すぎる!」「CGみたい!」と感嘆の声が上がっています。
特別な練習をしているの? どうやって撮影しているの? と思わず聞きたくなりますが、
「撮影は何かをやらせるのではなくて、ふたりと一緒に遊ぶ、楽しいだけの時間にしています。あおとものが『今日も1日楽しかった!』と思いながら寝られるような毎日を目指しています」と語る飼い主さん。
動画に出てくる小道具のほとんどが飼い主さんの手作りです。安全性を考慮して、口に入っても安全なもので作っています。
制作に至った経緯や撮影・編集のこだわり、出会いから毎日のくらしのモットーまで、あお&ものちゃんの飼い主さんに聞きました。
愛犬がしつけ教室に。成果の記録として始めた動画制作
姉妹のようなチワワの「あお」ちゃんと「もの」ちゃんは、飼い主さんご夫婦の2人と2匹で暮らしています。

「ものが2才ぐらいのころ、散歩中にほかのワンちゃんに吠えるようになってしまったんです。悩んでいたらお友達がしつけ教室を紹介してくれて、レッスンを受けるようになりました」
あお&ものちゃんが習っていた教室は、ワンちゃん自身が自分で考えて行動できるように、飼い主が適切なタイミングで褒めるという方針です。犬に厳しく教えるのではなく、いい行動を誘導して、褒めて伝える教室でした。
レッスンでは、飼い主が犬と遊びながら褒めるタイミングを学んでいくもので、犬も褒められることで次第に行動が変わるそうです。


たとえば、散歩中にほかの犬に遭遇したときは、「吠えずに通り過ぎた方が楽しい」とワンちゃん自身に考えてもらうことを目標にしています。「吠えたら叱る」のではなく、「吠えることを我慢できたら褒める」というやり方です。
ものちゃんもあおちゃんも、たくさん褒めてもらえる教室が大好きでした。
「レッスンを受けるうちに少しずつできることが増え、記録として残しておきたいと思うようになりました。そこから、遊ぶふたりの様子を動画で撮り始めました」
レッスンで最初の頃に習ったのが、輪投げやバスケットボールの遊びでした。この遊びを覚えたことで、物をくわえて運ぶ動作ができるようになりました。次第に、「教室で学んだことを自分なりに応用できないか」という思いから、おうちで道具を変えて遊ぶようになったそう。
「『トランプのカードを使ったら面白いかも?』と思ったんです。トランプを1枚ずつ運べば、ババ抜きをしているように見えるかなって」
布をくわえてお人形の上に置けば、お布団をかけて寝かしつけをしているように見えるかもなどと、イメージがどんどんわいてきました。
台本は一切なし! 撮影中は、ただ愛犬と遊ぶ楽しい時間
さらに「動画を編集すれば、一連の動きにストーリー性を持たせられそうだと思い、今のような動画になりました」と、編集の視点もアイデアが湧いてきたといいます。
しかしストーリー性があるといっても、台本を用意しているわけではありません。
「ふたりと一緒に遊んでいるところを撮影し、撮れた素材を組み合わせて、楽しいストーリーになるように編集しています。ときどき『表情の演技がすごい』と言っていただくことがありますが、ふたりに演技をさせているわけでもありません。あおとものが自由に遊んでいる姿を撮影しているからこそ、いろんな表情が見えるのかもしれませんね」

投稿を見ていると、あお&ものちゃんの“スゴ技”につい目がいきますが、芸をしているわけではないのです。ただ楽しくふたりと一緒に遊んでいるだけ。
あお&ものちゃんの動きを改めて見ると、
「ものを運ぶ」
「取ってくる」
「お座りをして待つ」
「“お手”をする」
「ゴロンと転がる」などといった、シンプルな構造であることが見えてきました。
「撮影は何かをやらせるのではなくて、ふたりと一緒に遊ぶ、楽しいだけの時間にしたいと思っています」

機材はほぼコンデジ1台で、三脚に設置するだけで撮影の準備が完了します。ブルーの背景はセットではなく部屋の壁色です。ライトは立てずに自然光のもと、日常の一コマとして撮影をしています。
「あおとものは、コンデジが置かれると遊びの時間とわかるのか、テンションが高くなります」
撮影小道具はほとんど手作り。愛犬の安全を考えて布・紙製に

動画にはかわいい小道具もたくさん登場します。購入したものもあるそうですが、プラスチック製品以外はほとんどが飼い主さんの手作りです。
「小道具は、あおとものの小さな口にくわえられるサイズで、なめても安心な布や紙で作っています。口に入れるので接着剤は使いません。すべて手縫いで、お洗濯もできるようにしています」

飼い主さんのお仕事はデザイナーで、趣味は裁縫と動画編集です。映像作家のご主人のアドバイスも加わり、あお&ものちゃんのかわいい動画の世界観が作られています。
「撮影はあおとものにとって楽しい遊びの時間です。私も裁縫と動画編集が好きなので、終始楽しんで作っています。ただ、Instagramに投稿するときは、客観的な視点を持って悩む時間をとるようにしています。あおとものを見てマイナスな気持ちになってしまうのは悲しいので、誰が見ても不快にならないように気をつけています」
「これがチワワなんだ」偶然出会った控えめな犬に一目惚れ

飼い主さんご夫婦に愛されて暮らす、あお&ものちゃん。初めてご夫婦があおちゃんに出会ったのは、偶然立ち寄ったペットショップでした。
「夫婦の間で、散歩がてらペットショップに寄ることにハマっていた時期がありました。そこで偶然入ったお店に、ひとりだけ控えめに遊んでいる子がいたんです。『これがチワワちゃんなんだ!』『チワワちゃんってこんなにかわいいんだ』と一目惚れをしました」

夫婦ともに犬の飼育経験はなく、当時は犬種についての知識もあまりありませんでした。
しかし、住んでいる町には大きな公園があり、ドッグランやドッグカフェも多く、犬をよく見かける環境でした。犬への憧れも自然と育まれていたと振り返ります。
そんななかで出会ったチワワの子犬。その日は悩みながらペットショップを後にしましたが、ずっと気になっていたそうです。犬と暮らす覚悟を決めるため、ワンちゃんを飼っている友人に話を聞きながら、準備を重ねていきました。
「その間もずっとあおは、お店にいて、どんどん大きくなっていきました。その姿を見て『うちに連れて帰りたい』と、迎えることを決めたんです」
名前はブルーの毛をしていることから「あお」に。こうしてあおちゃんとの生活が始まりました。

不器用な愛犬のために妹分を。あお&ものコンビの誕生秘話
あおちゃんがお家にやってきた3年後、ものちゃんが家族にくわわりました。

「あおがお散歩のとき、すれ違うワンちゃんと遊びたがるようになったんです。あおはおだやかでフレンドリーな性格ですが、ちょっと不器用な子で……。ほかのワンちゃんのことが気になって近づくのですが、遊び方がわからないという状態でした。あおに“妹”がいれば仲良く遊べるのかもしれない。せっかくならあおと血のつながりのある子を、と思い探してみることにしました」
血統書のデータベースから親戚を探せるインターネットサイトがあり、調べてみたそう。するとSNSで繋がっていたワンちゃんが、あおちゃんの親戚であることが判明し、ブリーダーさんにたどりつきました。
「ブリーダーさんのブログを毎日チェックしていたら、とっても気になる女の子がいて会いに行きました。あおのおばあちゃんがその子のひいおばあちゃんで、親戚にあたります。出会った日はとてもおとなしくて、あおと雰囲気が似ていたので、仲良くなれるかもと感じました」

その子は、モノクロの毛色から名前が「もの」に決まりました。
あおちゃんは、新参者のものちゃんをやさしく迎え入れ、その日のうちに一緒に遊び始めました。その姿を見て、飼い主さんもひと安心したのだそう。
ただ、おとなしいと思っていたものちゃん、家に迎えてみたら、とても元気でやんちゃな性格であることが判明しました。
「あおはおっとりやさしい性格で、甘えん坊です。私の仕事が終わるのをリビングで“へそ天”をして待っていたり、作業をしていて振り向いてもへそ天をしていたり、構ってもらうのが大好きです。ものは、元気いっぱいでとてもやんちゃな性格です。あおがへそ天をしている横でも、常に元気に動き回っています」
いつも仲良しですが、飼い主さんのお膝をめぐってときにはケンカをすることも。そんなときも、一緒にお昼寝をすればすぐに仲直り。あお&ものちゃんはとても相性のいい間柄なのです。
「今日も楽しかった!」そう思える日々を愛犬と重ねていきたい
これからのあお&ものちゃんとのくらしについて、飼い主さんは「ふたりと楽しい時間が過ごせれば、それだけでいいです」と話します。

「私たちは特に大きなことは考えてなく、これからもあおとものと楽しい時間が過ごせれば、それだけで十分です。個人的にはキャンプが好きなので、家族でキャンプに行って撮影するのも楽しいかな、なんて思っています」

2023年6月には、写真集『あおとものの毎日』が発売されました。撮影もすべて飼い主さんが行ったそうです。あお&ものちゃんが一緒に遊ぶ記録を、写真でじっくり眺めることができます。
「動画を見てくださっている方も、初めて知ってくださった方も、あおとものを見て笑顔になってもらえたらと思って作りました。不安もありましたが、あおとものとの思い出を本という形で残せることはとても幸せです。発売後、たくさんの方から『良い本だった』とメッセージをいただきました。ふたりの表情や小道具をすみずみまで見られるのがいい、という声もいただいて、とても嬉しいです」
チワワと暮らして10年以上が経ちました。飼い主さんたちの生活は、すっかりあお&ものちゃんが中心になっています。
散歩は1時間ほどかけてゆっくり歩き、夜に散歩に出たときは、そのまま犬も入れるお店で夕食を食べることが多いのだそうです。あお&ものちゃんはときどきおやつをもらえるので、この外食の時間が大好きなんだとか。
「いつも家族みんなでゆっくりと過ごしています。あおとものを迎え、毎日が本当に楽しくなりました」

あお&ものちゃんも年齢を重ね、シニアへとなってきました。飼い主さんも、これまで以上に健康を気遣うようになったといいます。
「私たちは、あおとものが毎晩寝る前に『今日も1日楽しかった!』と思いながら寝られるような毎日を目指しています。ふたりとずっと一緒に生きていけるわけではないからこそ、1日1日を大切に、幸せな寝顔が見られる毎日を作っていきたいと思っています。引き続き変わらず、この子たちと楽しく過ごしていきたいです」
