犬の肛門腺は絞った方がいい?正しい絞り方と普段のお手入れについて解説【獣医師監修】

犬の肛門腺は絞った方がいい?正しい絞り方と普段のお手入れについて解説【獣医師監修】

犬には肛門腺という器官があるのをご存じですか。マーキングなどに必要な肛門腺ですが、分泌物が溜まってしまうと炎症を起こすことがあるので注意が必要です。今回は、犬の肛門腺の絞り方やお手入れについて、chicoどうぶつ診療所の所長である林美彩先生に解説していただきます。

監修/林美彩先生(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。著書に「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)。

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犬の肛門腺の役割とは?

犬の肛門腺は絞った方がいい?正しい絞り方と普段のお手入れについて解説【獣医師監修】犬の肛門腺とは、肛門の両脇に、時計の4時と8時の方向にある分泌腺です。犬は一頭ごとに異なる臭いを発するので、名刺代わりのように個体を識別する役割を担っています。肛門腺から発する臭いは、縄張り主張する意味があり、散歩途中のマーキングでは肛門腺の臭いをつけています。

肛門腺のつくりは犬種や性別によって違うの?

肛門腺の構造は性別、犬種による違いはありませんが、チワワトイプードルなどの小型犬や肛門括約筋が未発達な子犬は、自力で排出するのが難しい場合があります。高齢になって筋力が衰えた老犬にも同じことが言えます。ただし、どの犬種・年齢でも肛門腺の状態を、飼い主さんが定期的にチェックしてあげると良いでしょう。

犬の肛門腺のケアについて

犬の肛門腺は絞った方がいい?正しい絞り方と普段のお手入れについて解説【獣医師監修】肛門腺から出る分泌液は通常、便と一緒に排出されます。ただし、先ほどお話ししたように筋力が衰えている犬の場合は、自力で排出されないことがあります。そんなときは飼い主が肛門腺をケアしてあげるのが望ましいでしょう。


犬の肛門腺を絞らないとどうなるの?

犬が自力で肛門腺を外に出すことができないと肛門嚢(肛門の下にある袋状の器官)が閉まったままとなり、それが原因で肛門嚢が炎症を起こすことがあります。

犬の肛門腺絞りの目安は?

飼い主が肛門腺絞りを行う場合、月1回が目安になります。ただし、個体差があるのでどうしてもしなければいけないというわけではなく、愛犬の様子を見てから行うといいでしょう。肛門腺が溜まっているサインとしては、「お尻歩き」があります。また、犬が肛門を舐めたり、噛もうとしたりしている様子が見られたら肛門腺が溜まっている場合があります。飼い主が肛門腺を触って状態を確認できるのが理想的です。

犬の肛門腺絞りの正しいやり方

自宅で犬の肛門腺をする際は以下のやり方を試してみてください。その際にはビニール袋、ティッシュ、ウェットティッシュなどを用意しておくと良いでしょう。

 

1.尻尾を持ち上げて肛門部位が伸びるようにします。

 

2.肛門腺に親指と人差し指をあてて、下から上へ押し上げるように、肛門の方向に絞り上げます。この時、勢い良く出てきてしまったり、飛び散ったりしてしまうことがあるので、ティッシュで覆って絞ると良いでしょう。

 

3.絞った後はお尻の汚れを拭き取ります。

 

肛門腺には、液状のタイプやツブツブが含まれるタイプ、ペースト状のタイプなど個体差があります。お風呂に入れるときに肛門絞りをしてあげると、汚れを気にする必要もなくスムーズに行うことができるでしょう。

犬の肛門腺を自宅でケアできない場合は?

犬の肛門腺は絞った方がいい?正しい絞り方と普段のお手入れについて解説【獣医師監修】犬の肛門腺絞りを自宅ですることが難しい場合、放置してしまうことがあるかもしれませんが、炎症を起こして、愛犬に痛い思いをさせてしまうことになりかねません。愛犬がお尻のあたりを気にしていていても、肛門腺が溜まっているのかどうかの判断が飼い主には難しい場合や、自宅でうまく絞れない場合は、トリミングサロンや動物病院で診てもらってください。

犬の肛門腺炎や肛門腺破裂の症状と治療法

犬に筋力がなかったり、肛門腺の出口が閉じてしまっていたりすると、肛門腺を自力で排出できません。肛門腺炎(肛門嚢炎)や肛門腺破裂は、排出されずに肛門嚢に貯留している肛門腺が細菌に感染してしまうことで発症します。


犬の肛門腺炎や肛門腺破裂とはどのような症状?

肛門腺が溜まり続けると肛門腺炎(肛門嚢炎)を引き起こし、肛門周辺に赤みや腫れが見られ、排便しづらくなります。進行すると肛門腺破裂になり、皮膚に穴が開いて出血膿が出てきます。こうなると痛みも激しくなり、鳴きわめく子もいます。痛みから、食欲低下などを引き起こして全身の状態も悪くなってしまいます。


犬の肛門腺炎、肛門腺破裂の治療法は?

抗生剤の服用や炎症止めなどを使いますが、破裂してしまっている場合には十分に消毒したのちに縫合します。繰り返してしまう場合には肛門腺の摘出が必要な場合もあります。

犬の肛門腺に関する病気の予防方法は?

犬の肛門腺は絞った方がいい?正しい絞り方と普段のお手入れについて解説【獣医師監修】肛門腺を自力で排出できない場合は、自宅で飼い主がケアをして、定期的に絞るということが予防に繋がります。自宅でのケアも難しい場合には、トリミングサロンや動物病院で定期的に処置してもらうことをお勧めいたします。


犬の肛門絞りで注意したいこと

飼い主が自己流で肛門絞りを行う場合、無理に絞る事で炎症を起こしてしまわないように注意しましょう。また、無理やり尻尾を持ち上げると尾椎や腰を傷めてしまう場合もあります。肛門腺絞りの方法は病院やトリミングサロンでレクチャーを受けてから行うようにするようにしましょう。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント

犬の肛門腺は、マーキングにも使われる個体を区別する名刺のようなものです。排便時に排出されるのが自然ですが、体質や年齢などによって溜まってしまう子もいます。貯留から肛門腺炎を引き起こすと、痛みで愛犬に苦しい思いをさせかねません。日常的に肛門絞りが必要な愛犬をお持ちであれば、飼い主がときどき肛門付近をチェックして、必要であれば自宅で肛門絞りを行ってあげるといいでしょう。


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