【獣医師監修】犬を飛行機に乗せる方法とは?知っておくべき注意点、航空会社ごとのルールと手続きの流れについて解説

【獣医師監修】犬を飛行機に乗せる方法とは?知っておくべき注意点、航空会社ごとのルールと手続きの流れについて解説

帰省や引っ越しなどで愛犬と一緒に長距離移動する必要があるときに、飛行機の利用を検討する方もいるでしょう。犬を飛行機に乗せたいときは、どのような手続きを行えばいいのでしょうか。犬を飛行機に乗せるまでの流れや航空会社ごとのルール、注意点、飛行機に乗せることのリスクについて、獣医師の林美彩先生に解説していただきます。

犬を飛行機に乗せても大丈夫?

【獣医師監修】犬を飛行機に乗せる方法とは?知っておくべき注意点、航空会社ごとのルールと手続きの流れについて解説飛行機に乗せることは可能です。ただ、一般的に盲導犬や介助犬以外の犬は、人間のように飛行機の客室を利用することができません(※)。受託荷物として、「バルクカーゴルーム」という空調付きの貨物室に入れて運送されます。
※一部、外資系航空会社では、犬の客室同乗を可能としている場合がございます。


航空会社によっては愛犬を乗せられないことも

航空会社によっては、犬の運送自体を受け付けていなかったり、犬種によって受け入れを制限していたりするところもあります。

 

特に夏は熱中症、冬は凍傷や低体温症のリスクが高まるため、時期によって犬の受け入れを停止している航空会社も少なくありません。航空会社によって規定が異なるため、飛行機の予約前に必ずチェックしておきましょう。

犬を飛行機に乗せるまでの流れとは?

搭乗日当日の流れは国内線を使うのか、国際線を使うのかで変わってきます。それぞれの流れについてみていきましょう。


国内線を利用する場合

出発する空港に到着したら、航空会社のカウンターで同意書や確認書を提出し、航空会社の規定に沿ったクレート(航空会社が貸し出しているもの、または個人で用意したもの)に入れた愛犬を預けましょう。クレートには、普段使っている毛布やおもちゃを入れることができます。

 

到着地では、手荷物受け取りエリアで係員から受け取りましょう。空港によっては、ペットの返却場所を示す看板を設置しているところもあります。

 

犬を預けるときは、搭乗手続きに時間がかかります。普段よりも時間に余裕をもって手続きを行いましょう。手続きの受付締め切りは、いずれの航空会社も出発時刻の30分前までとなっています。


国際線を利用する場合

日本以外の国に入国する場合は、マイクロチップの装着や狂犬病の予防接種などの証明、入国許可証が必要です。入国条件や証明書の言語、入国許可証のフォーマットは国によって異なるため、各国の在日本大使館などで事前に確認しておくことをおすすめします。

 

日本を出国する前には、動物検疫所に愛犬を連れて行って検疫を受けて、輸出検疫証明書を発行してもらわなければなりません。検疫の時期は出国の7日前までが目安となっています。ただし、入国する国によって申請時期が異なる可能性もあるので注意しましょう。

 

目的地の空港に到着したら、犬は現地の検疫所に送られ、再び検疫を受けます。国によっては検疫に数日~数週間ほどの時間を要する場合もあります。検疫が終了したら、検疫所まで迎えに行きましょう。

 


ペットの死傷に関する同意書を書いて提出する必要がある

犬を飛行機に乗せるときは、「フライト中に犬が死傷しても、航空会社の責任を問わない」という内容の同意書にサインして空港のカウンターに提出する必要があります。

 

空港で用紙をもらえるだけでなく、航空会社のホームページからのダウンロードも可能です。愛犬を飛行機に乗せる場合、当日の手続きをスムーズに進めるため、あらかじめダウンロード、プリントアウトして記入を済ませておきましょう。

犬を飛行機の載せるときの航空会社ごとの料金と手続き方法

【獣医師監修】犬を飛行機に乗せる方法とは?知っておくべき注意点、航空会社ごとのルールと手続きの流れについて解説犬を飛行機に乗せるときのルールや手続き方法は、航空会社によって異なります。それぞれの概要をここで確認しておきましょう。


ANA/国内線の条件・料金

料金はペットケージ1つ、1区間あたり6,000円(一部区間は4000円)となります。


ANA/国際線の条件・料金

・料金はペットケージ1つ、1区間あたり25,000円〜40,000円が目安となります。

・犬または猫を日本に入国させる場合は、到着の40日前までに、動物検疫所への事前通知が必要となります。


JAL/国内線の条件・料金

・料金はペットクレート1つ、1区間あたり3,000円~6,000円が目安となります。

・出発空港での申請が必要ですが、乗り継ぎ時間が長い場合は、ペットにエサや水を与えることができます。


JAL/国際線の条件・料金

・飛行機の種類によって搭載できるクレートの数に制限があります。

・クレートを個人で用意する必要があります。(条件についてはチェックが必要)

・料金はチェックイン時にサイズなどを図ってからの提示となります。


LCCの利用は不可?

ピーチ、ジェットスター、バニラエアなどのLCCでは、ペットを飛行機に乗せることができません。どうしても犬を飛行機に乗せたい場合は、主要航空会社を利用しましょう。


その他の気を付けたいポイント

どの航空会社も、乗り継ぎ便の場合はその度にペットの料金がかかります。ペットを飛行機に乗せる場合の予約は不要で、利用当日、搭乗手続き時の申し込みで構いません。

 

ただし、レンタルクレートの数が足りなくなる可能性もあるため、心配な場合は事前に予約を済ませておきましょう。なお、スカイマークでは事前予約ができないため、当日カウンターでの手続きとなります。

犬を飛行機に乗せるための準備とは?

犬を飛行機に乗せる前には、次のような準備をしておきましょう。


クレートに慣れさせる

犬を飛行機に乗せる場合は、クレートの使用が必須です。自宅での留守番のとき、車での移動のときなどにクレートに入れる習慣をつけることで、あらかじめ慣れさせておくといいでしょう。


健康状態の把握

飛行機での移動は、犬にとって強いストレスとなる可能性があります。また、病気の犬は航空会社で預かりを拒否されることもあります。健康状態を事前にチェックし、できるだけ無理をさせないようにしてください。


トイレを済ませておく

飛行機での移動中は、排せつを我慢してしまう可能性があります。犬を預ける前にトイレの機会をつくってあげましょう。


エサやりは早めに済ませる

搭乗直前にエサを与えると、飛行機の揺れによって吐き戻してしまうおそれがあります。早めに済ませておくのがおすすめです。

飛行機に犬をどうやって運べば良いの?

【獣医師監修】犬を飛行機に乗せる方法とは?知っておくべき注意点、航空会社ごとのルールと手続きの流れについて解説飛行機に乗せる場合、犬をはじめペットは、プラスチック製または金属製のクレート(ケージ、キャリー、ハウスなど)に入れた状態で運びましょう。基本的に貨物室に預ける場合もクレートに入れた状態で保管されます。ソフトキャリーなどの柔らかいケースでは預けることができません。クレートは各航空会社が無料で貸し出しを行っています。

犬を飛行機に乗せるリスクはあるの?

愛犬を飛行機に乗せることには、さまざまなリスクが伴います。考えられるリスクについてまとめましたので、飛行機に乗せる場合には意識しておくようにしましょう。


飛行中の暗室、大きな音によるストレス

分離不安がある犬を飼っている場合には、特に精神的ストレスが大きくなる可能性もあります。強いストレスによる自傷行為などのリスクも懸念されます。また、飛行中や離着陸の際は非常に大きな音が発せられるため、ストレスがかかるかもしれません。


空調管理や温度差

一般的な客室ではないので、空調や温度が整えられていない可能性があり、体調を崩すリスクは避けられません。また、機体への搬入や搬出の際は急な気温変化で犬の身体がびっくりしてしまいます。事前に行き先の天候や気温に注意しておくと良いでしょう。


貨物室は事前見学、チェック不可

前述したように犬は貨物扱いとなり、貨物室にて運ばれます。貨物室は一般客室と違って、乗客員などはいません。貨物のトラブルが起きても気付く人がいないため、到着するまで放置されることもあります。何か心配事や設備に対しての質問がある場合は航空会社に問い合わせをしておきましょう。


怪我をしたり、死亡したりするケースも

飛行中にクレートの扉が開いてしまう可能性もゼロとは言えず、最悪の場合は怪我や死亡事故が起こるおそれもあります。また、機体の老朽化により、設備不良や不測の事態などで怪我をしてしまう場合もあるようです。そういったリスクを十分に考慮したうえで、飛行機に乗せるかどうかを検討しましょう。

飛行機に乗せてはいけない犬の種類とは?

【獣医師監修】犬を飛行機に乗せる方法とは?知っておくべき注意点、航空会社ごとのルールと手続きの流れについて解説病気のある犬や幼犬、シニア犬、妊娠している犬は、飛行機に乗せることによって体調を崩すリスクが高くなります。事前にかかりつけ医に相談するようにしてください。搭乗できる年齢については航空会社ごとに規定されています。まずは、各航空会社のホームページをチェックしてみましょう。

 

なお、ANAJAL、スカイマークでは、短頭種の預かりに制限を設けています。


ANAの制限

ブルドッグ(ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ)、ボクサー、シー・ズー、テリア(ボストン・テリア、ブル・テリア)、スパニエル(キングチャールズ・スパニエル、チベタン・スパニエル)、ブリュッセル・グリフォン、チャウチャウ、パグ、チン、ペキニーズの預かりを510月のみ中止。


JALの制限

フレンチ・ブルドッグ、ブルドッグは通年預かり不可。その他の短頭種も6月~9月まで預かりを中止。


スカイマークの制限

パグ、シーズ-、ボストン・テリア、ペキニーズ、チン、ボクサー、ブルドッグ、チベタン・スパニエルなどの短吻種犬は預かり不可。

犬を飛行機に乗せる際に用意しておくと良いアイテムは?

貨物室内には空調が設置されていますが、無人のため客室のように適切な温度管理がされていません。夏は熱中症対策、冬は凍傷や低体温症のリスクがあるため、クレートの内の対策が必須です。

 

夏はタオルで巻いた保冷剤や給水ボトルを設置し、冬は使い慣れた匂いがついた毛布を入れましょう。給水ボトルで水を飲むのに慣れていない場合は、事前に練習させておくと良いでしょう。

 

ただ、アイテムなどの準備を万全に行なったと思っても飛行機に乗るのは非常に大きなストレスがかかるため、念のため獣医師さんに相談をしてから決めるのが良いでしょう。

※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント:

狭いクレートに閉じ込められ、十分な温度管理がなされていない貨物室内で過ごす飛行機での移動。暗くて気圧の変化も大きく、常にエンジンの轟音が聞こえるため、犬にとって大きなストレスとなります。事前の健康管理や当日のクレート内の環境調整に注意し、少しでも負担を減らすようにしてあげましょう。また、飛行機以外の移動手段やペットホテルの利用も検討してみましょう。

監修/林美彩先生(獣医師)

chicoどうぶつ診療所所長。大学卒業後、動物病院やサプリメント会社勤務を経て、体に優しい治療法や家庭でできるケアを広めるため、2018年に往診・カウンセリング専門動物病院「chicoどうぶつ診療所」を開設。著書に「獣医師が考案した長生き犬ごはん」(世界文化社)。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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