犬が尻尾を追いかけるはストレスのサイン!主な原因とリスクを解説します【獣医師監修】

犬が尻尾を追いかけるはストレスのサイン!主な原因とリスクを解説します【獣医師監修】

愛犬が自分の尻尾を追いかけてぐるぐると回っている様子は、微笑ましく感じる人も多いのでは? ただじゃれているだけの場合もありますが、中にはストレスのサインとして尾追いをしているケースも。この記事では、動物行動コンサルティングはっぴぃているず所属の獣医師、フリッツ吉川綾先生監修の元、犬が尻尾を追いかける主な原因やリスクについてご紹介します。

監修/フリッツ吉川綾先生(獣医師、獣医学博士、日本獣医動物行動診療科認定医)

動物行動コンサルティングはっぴぃているず代表。東京都文京区なないろ動物病院(一般診療、行動診療)などに勤務。動物の心身の健康と、飼い主様のより幸せで充実したペットライフをサポートしている。そのほか、獣医動物行動学に関する研究、専門書の執筆、翻訳も。

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犬が尻尾を追いかける主な原因とは?

犬が尻尾を追いかける

愛犬が自分の尻尾をぐるぐると追いかけ回しているのを見て、「可愛いらしい」と感じたことはありませんか? この行為は「尾追い」と呼ばれています。尾追いの主な原因を見てみましょう。

 

ストレス・興奮・葛藤の現れ

散歩に行きたいけど行けない、怖い音がした、嫌いな犬に出会ったなど、犬が怖かったり、苦手だったり、我慢したりしている時や、ある特定の状況で尾追いをして、その状況が終われば尾追いもすぐに止まる場合はストレス・興奮・葛藤などの現れが原因の可能性があります。

 

体に違和感がある

体の痒みや違和感、痛みを紛らわせるために尻尾を追いかけていることも考えられますが、尾追いから犬がどこを痛がっているのかを飼い主が見分けることは難しく、獣医師の判断が必要です。

 

飼い主にかまってほしい

飼い主がいるときだけ尾を追いかけて回る、また飼い主の様子をうかがいながら回るときは遊んでほしいのかもしれません。くるっと回った時に、飼い主が注目したり、注意をしたりすると、回ったら飼い主がかまってくれると学び、注目を得る手段として尾追いをするようになることがあります。

犬が尻尾を追いかけることで考えられる病気は?

尻尾のまわりが気になって尾追いをしている場合がありますが、飼い主には犬がどこを痛がっていたり痒がっていたりするのかを正確には判断できません。考えられる病気は下記の通りですが、愛犬が尾追いをしていたら、まずは一度動物病院を受診しましょう。

 

皮膚炎

ノミやダニなどの外部寄生虫、アレルギー、外傷などの理由で皮膚に赤みや痒みが生じます。痒い部分を掻くためや痒みを紛らわせるために尾追いをすることがあります。

 

関節の異常

膝蓋骨、股関節などに異常があり、痛みや違和感を紛らわすために尻尾を追いかけている場合があります。

 

肛門周辺の異常

肛門の周りに強い痒みや痛みがある、または肛門線に分泌物が異常に詰まったり貯まったりして炎症を起こしてしまっているなど、肛門に関わる病気にかかっている可能性があります。

 

脳疾患

てんかんや脳の器質的な異常によって尾追いをすることもあります。抗てんかん薬が有効な場合もあるので、獣医師の判断が必要です。

 

常同障害(過度なストレスが関連した行動)

強いストレスによって同じ動きを繰り返す、「常同障害」と呼ばれるものがあります。尾追いの際に下記のような行動を繰り返している場合は、愛犬がストレスを感じているものを速やかに取り除き、獣医師などの専門家に相談する必要があります。

 

・特定されない状況で回り続ける
・どうして回っているのか分からない
・1日の中で複数回、尾追いをしている
・尾の毛が抜けたり、怪我をしたりするほど追いかけることがある
・飼い主がストップをかけてもやめない。

子犬が尻尾を追いかけることは問題ない?

子犬のうちは、戯れて遊びの一貫として尾追いをすることがありますが、これも執拗にやる場合には要注意です。社会的な活動、遊びやエネルギー発散の機会が少なくなっていると、尾追いが増えてしまいます。尻尾を遊び道具とせず、他の楽しい出来事を多く作ってあげることが必要です。

犬が尻尾を追いかけるとき、病院に連れて行くべきサインは?

どんな尾追い行動も、一度は動物病院を受信することがおすすめです。特に下記の場合は、てんかんなどの神経的病気、常同障害のような心理的病気のサインなので、必ず専門家に相談しましょう。

 

・特定されない状況で回る(どうして回っているのか分からない)
・1日の中で複数回、回ることがある
・回る回数や回るきっかけとなる状況が増えている
・尾の毛が抜ける、怪我をするほど追いかけることがある
・尾追い行動をやめさせることが困難(ストップさせようとして咬まれた、など)

犬が尻尾を追いかけるのをやめさせる方法は?

犬が尻尾を追いかける

最初は特定の状況のみで見られていた尾追い行動が、徐々に回数や程度が悪化してしまうことがあります。尻尾への自傷行動につながることがあるので気をつけてあげてください。

 

犬が尻尾を追いかける行為をやめさせるためには、まず愛犬がどんな状況で尾を追いかけることがあるかをチェックしましょう。普段の生活の中でもなるべくそのような状況を避けるように工夫して、もし尾を追いかけそうになったら声かけやおもちゃなどを使って犬の気を逸らし、他の楽しい行動やトレーニングに誘導するといいでしょう。

犬が尻尾を追いかけるのを防ぐ方法は?

そもそも尾追いをしにくくするためには、犬がストレスを感じないように、安全で快適な生活リズムを保つことができる環境にすることが大事です。「環境エンリッチメント」と呼ばれる5つの基準に沿って、愛犬との生活を見直してみてください。

 

1. 空間エンリッチメント

犬本来の行動に合わせた生活空間を整えましょう。下記の3つの項目を意識してください。

・長時間の狭いケージでの飼育や繫留は避ける
・クレートやベッドなどの安心できるプライベート空間を与え、ここには自ら常にアクセスできるようにする
・十分な散歩や運動の機会を与える

 

2. 採食エンリッチメント

狩猟本能を満たした後に食事を与えるなど、犬本来の摂食行動に近づけましょう。知育玩具、ノーズワークマット、箱などを用いておやつや食事を与えるのがおすすめです。

 

3. 感覚エンリッチメント

視覚・触覚・嗅覚などに刺激を与えましょう。下記の3つの項目を意識してください。

・犬が怖がったり嫌がったりしなければ、散歩時間を十分確保し、匂いを嗅ぐ時間を与える
・舗装道路ばかりではなく、さまざまな場所や道を通ってみる
・日常的に撫でたりマッサージを行ったりする

 

4. 社会的エンリッチメント

群れを作るなど、犬本来の社会を実現するために人や他の動物と関わる機会を設けましょう。下記の3つの項目を意識してください。

・犬と飼い主が楽しく練習できるように、食べ物を用いたトレーニングを行う
・犬が嫌がらなければ、散歩やドッグランなどで他の人や犬と交流する。
・おもちゃを使って一緒に遊ぶ

 

5. 認知エンリッチメント

犬が自分で考えて行動するための機会を与えましょう。

・簡単な知育玩具やを与える
・トレーニングを少しずつステップアップしていく

 

尾追いの中には、身体的な痛みや不快など飼い主が改善できない問題が関連している可能性も。愛犬に尾追い行動が見られたら、一度は獣医師に相談してくださいね。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

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