犬の問題行動の原因になる飼い主のNG行動5選【獣医師監修】

犬の問題行動の原因になる飼い主のNG行動5選【獣医師監修】

やたらと吠えたり、他の犬や人に対して攻撃的だったり、いたずらをしたりと犬の問題行動は飼い主としても本当に困りますよね。でも、実はその原因は飼い主の愛犬への接し方だったりもするんです。今回は、動物行動コンサルティングはっぴぃているず所属の獣医師、フリッツ吉川綾先生に犬の問題行動を引き起こすかもしれない、飼い主のNG行動を解説していただきます。

犬の問題行動って?

犬の問題行動とは、飼い主や周りの人が問題と感じる犬の行動、または人の社会に協調しない犬の行動のことを指します。犬にとってはごく自然な行動であっても、飼い主が対応や処理に困ってしまう行動は、全て問題行動と呼ばれます。

 

よく見られる問題行動には、例えば下記のものがあります。

 

・攻撃行動(噛み付く、噛もうとする、唸るなど)

吠え

トイレの失敗

・尾追い行動、自傷行動

・音への恐怖症

・過度の臆病

夜鳴き認知症を含む)

犬の問題行動の原因とは?

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犬の問題行動は、「飼い主が問題だと感じる行動」です。なので、飼い主の生活スタイルと犬の性格や行動が合わないと、問題行動に悩まされることが必然的に増えるでしょう。犬が人と生活する上で守るべきルールを教えられていない場合も同様。犬の性格や行動を正しく理解し、ルールをきちんと伝えておくことが大切です。

 

また、深刻な問題行動の多くは、犬の恐怖や不安と関連しています。犬の行動を決定するのは、遺伝的要因と環境的要因です。特に環境的要因で言うと、妊娠期の母犬のストレスが大きかったり、生まれた後母犬から十分なケアや授乳を受けなかったりすること、また子犬期にポジティブな社会的な経験が少ないことには注意が必要。将来、さまざまなことに恐怖や不安を感じるようになり、問題行動に結びつきやすくなります。

 

飼い主は、犬の問題行動にこれらの背景があることを理解して、愛犬に合わせた対応を心がけましょう。また、子犬期に限らず犬が受けたトラウマは、その後の問題行動のきっかけにもなりえます。

NG行動1. 犬の心身の健康に無頓着

普段から、愛犬が心身ともに健康で幸せに過ごせているかを意識できていますか? 飼い主自身の生活に追われてしまい、犬が犬らしく快適に暮らすためのケアが不十分の状態だと、犬はストレスを感じ問題行動に現われることがあります。

 

まずは、愛犬の体質や性格をきちんと知ろうとし、そのときの体調に合った食べ物や新鮮なを十分に与えましょう。家の中では、愛犬が恐怖や不安を感じない安全な環境を整え、愛犬が安心してリラックスできる休息場所を設けてあげるのも有効です。

 

愛犬が病気・ケガをしたらすぐに動物病院に連れて行くのはもちろん、日頃から予防に努めましょう。そして、散歩したり遊んだりして愛犬と楽しく過ごす時間を作ってあげてくださいね。

NG行動2. ルールや対応が気分によって変わる

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例えば、飼い主の帰宅に喜んで愛犬が飛びついてきたとき、笑って撫でてあげる日もあれば、疲れているからとあしらってしまう日もあるかもしれません。しかし、犬の行動に対して、飼い主の気分次第で褒めたり怒ったりするのはタブー。犬は何が正しいのか分からず、混乱してストレスを感じてしまいます。さらに、飼い主への信頼も失ってしまい関係が悪くなる恐れも。

 

犬の行動に対するリアクションは、ルールに決めて一貫した対応を心がけてください。犬にもそのルールをきちんと教えることが、しつけにつながりますよ。このとき、飼い主が期待した行動をとれなかったといって「だめ!」だけを繰り返さないよう注意を。犬が「だめ」の意味を理解していないと無意味で、もし理解していたとしても怒られるばかりではストレスになります。「だめ」ではなく、「 ~しなさい」と、犬に求めている具体的な行動を伝えるようにしましょう。

NG行動3. 犬が苦手なことを無理強いする

犬が怖がっていること、嫌がっていることを「慣れてもらうため」「愛犬のためだから」と無理強いするのはいけません。無理強いして犬が拒否しようとした際、指示に従わないことを怒るのはもってのほかです。犬は苦手なことをますます受け入れられなくなります。

 

犬に苦手なものを慣れてもらうためには、「これは大丈夫なものだ」と思ってもらう経験の積み重ねが必要です。まずは対象から、愛犬が嫌がらないぐらいの距離をとって存在に慣れさせ、大丈夫そうであれば少しずつ近づいてみるなどの工夫をしてみましょう。

NG行動4. 犬の要求に従ってばかりいる

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では、「人が多少不便でも、犬の自由にしてあげれば幸せなの?」と言うと、そうでもありません。人は犬よりも大脳新皮質と言われる、合理的で複雑な分析や思考を司どる部分が発達しています。つまり、状況をふまえて場面に適した振る舞いをしたり安全を確保したりするためには、人の判断が必要な場面もあるのです。

 

一緒に生活する上で、犬や家族の安全を守るためのルールをしっかりとしつけておくと、そのルールに沿って行動することが犬の安心につながります。飼い主と犬が共にトレーニングをする過程も、成功の喜びを共有しながら乗り越えることで絆が深まるはず。また、「おすわり」「待て」「伏せ」といった号令でコミュニーションがとれると、いざというときにも犬の安全を守れます。徐々に、犬自身が考えて穏やかで安定した行動をとれるようになる場面も増えてくるでしょう。

NG行動5. 他の犬や先住犬と同じことを求める

犬には、それぞれ個性があります。見かけや体質はもちろん、性格や行動の特徴もさまざまです。愛犬の個性を考えずに、他の犬や先住犬と比べて同じことを求めてしまうと、愛犬のできないことや苦手なものばかりに目が行き、なかなか絆が深まりません。

 

愛犬の個性を知って受け入れることから始めましょう。そして、愛犬の個性に合ったお世話やしつけの方法を考えて取り入れてみてくださいね。

犬の問題行動に悩む飼い主ができること

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愛犬の問題行動に悩んでいる飼い主の中には、自分の飼い方や育て方に問題があるのではと悩んだり、罪悪感を感じていたりする人も少なくないでしょう。しかし上記の通り、犬の行動は遺伝的な要因や、母犬の妊娠期の過ごし方、子犬期から飼い主の元にやってくるまでの経験にも大きな影響を受けています。愛犬の個性を理解して受け入れ、家族として愛情を持って対応していくことが大事です。今現在、愛犬の深刻な問題行動に悩んでいる場合は、獣医行動診療科認定医をはじめ行動診療を行う獣医師に相談してみましょう。

 

また、子犬を飼い始めたばかりという飼い主は、小さいうちからなるべく多くのポジティブな経験をさせてあげるように心がけてくださいね。問題行動が深刻になる前に、専門家に相談する選択肢もありますよ。


※記事内に掲載されている写真と本文は関係ありません。

専門家のコメント

犬の問題行動は、犬にとっては自然な行動でも人が問題だと感じる行動のこと。飼い主のライフスタイルと愛犬の個性がうまく噛み合わなかったり、犬への接し方にブレがあったりすると生じやすくなります。改めて、愛犬への接し方を振り返り家族としての絆を深めてください。飼い主のみなさんと愛犬がより快適で幸せな生活ができるように願っています。

監修/フリッツ吉川綾先生(獣医師、獣医学博士、日本獣医動物行動診療科認定医)

動物行動コンサルティングはっぴぃているず代表。東京都文京区なないろ動物病院(一般診療、行動診療)などに勤務。動物の心身の健康と、飼い主様のより幸せで充実したペットライフをサポートしている。そのほか、獣医動物行動学に関する研究、専門書の執筆、翻訳も。

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著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

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