愛犬に健康に長生きしてもらうためにも、スコティッシュ・テリアがかかりやすい病気やアレルギーについて知っておきましょう。しかし、どの病気も明確な予防法はありませんので、日々の健康チェックや定期的な健康診断による早期発見が重要です。
重症筋無力症
顔や後ろ足などの部分的な筋肉、または全身の筋力が低下することで、運動や歩行能力の低下やうまく食べ物を飲み込めない嚥下障害やよだれ、食べたものをすぐに吐き出してしまうなど、症状が出る病気です。先天性と後天性があり、明確な予防法がある病気ありません。犬の様子に変化があれば、獣医師に診てもらいましょう。
悪性黒色腫(メラノーマ)
メラニンを作る細胞が癌化した、悪性の腫瘍のことです。皮膚と粘膜の境界にあたる部分に発生しやすく、唇や歯肉など口の粘膜に発生する事例が多いといわれています。外科手術での治療が基本です。
肝細胞腫瘍(進行性空胞性肝障害)
犬の肝細胞腫瘍は、肝臓にできる癌のことです。腫瘍が大きくなると、消化管が圧迫されて食欲不振や嘔吐の症状などが見られることがあります。犬のお腹が張っている場合は、飼い主が異変に気づくこともあるようです。一般的に外科療法を行います。
尿石症(シスチン尿症)
シスチン尿症は尿路に結石ができる病気で、先天的な要因(遺伝性)による発症例が多く見られます。定期的な尿検査により結石の形成がないこと、進行していないことを確認することが大切です。尿のアルカリ化、メチオニンが少ないタンパク質制限食などが予防に有効があります。
膀胱における移行上皮癌
移行上皮癌は膀胱にできる悪性腫瘍としては比較的多い疾患で、血尿や残尿感などの症状が現れます。スコティッシュ・テリアに飛び抜けて多い疾患ではありませんが、おしっこの様子が変だな…と思った時にはすぐに動物病院で診察を受けましょう。
肥満細胞腫
肥満細胞と呼ばれる細胞にできるガンで、皮膚にできる腫瘍の中では発症率が最も多いとされています。小さなポチッとした結節状のものから、周りが広く赤くなるものまで症状は様々です。比較的広範囲の切除が必要となり、全身にも広く転移するため切除後には抗癌剤の使用なども検討したほうがよいでしょう。
悪性リンパ腫
リンパ節や肝臓など様々な部位に発生する悪性腫瘍ですが、犬の場合、身体中のリンパ節が腫れる形で発見されることが多い病気です。スコティッシュ・テリアでは遺伝的な素因の関連が報告されています。抗癌剤が比較的よく効くので、発症が確認された際には抗癌剤治療が行われます。
フォン・ウィルブランド病(偽血友病)
「血が止まらない病気」として知られている人間の血友病に似た病気です。日常生活で軽くぶつけただけであざが強く残ってしまったり、手術や採血などで血が止まらなかったりすることで発見されることがあります。
監修/佐野忠士(獣医師)
酪農学園大学獣医学群獣医学類 准教授。
酪農学園大学附属動物医療センター集中治療科診療科長。
日本獣医畜産大学(現:日本獣医生命科学大学)卒業。
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程修了。
北里大学獣医学部やや日本大学生物資源科学部 獣医学科などへ勤務を経験。
獣医師や博士(獣医学)のほか、テネシー大学公式認定『犬の理学リハビリテーションセミナー』CCRP、世界基準の心肺蘇生ガイドラインインストラクター(RECOVER)の資格保有。
幼い頃より無類の動物好きで、今も変わらず動物全般が大好き! 高度医療に興味を持ち、専門を突き進めていく中で、縁の下の力持ちとしての仕事に生きがいを持って励んでいます。今後、国家資格化される動物看護師の教育・育成をライフワークとして継続していきます!
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